石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

吸い上げる米国と中国、吐き出す日本:UNCTAD「世界投資レポート2020年版」(5)

2020-07-05 | その他
(世界ランクシリーズ その9 2020年版)

2.FDIアウトバウンド(FDI Outflows, 対外直接投資) (続き)
(資本の動きが活発なイスラエルとUAE!)
(2)主要国のFDI Inflows(FDIインバウンド)とFDI Outflows(FDIアウトバウンド)の差
(図http://rank.maeda1.jp/9-G02.pdf参照)
米国、インド、中国、イスラエル、サウジアラビア、ドイツ及び日本の7か国のFDIインバウンド(FDI Inflows、1-(1)参照)とFDIアウトバウンド(FDI Outflows、2-(1)参照)を比べると各国ごとの特徴が見受けられる。

米国、インド、中国、イスラエルの4カ国はFDI Inflows(FDIインバウンド)がFDI Outflows(FDIアウトバウンド)を上回っている。即ち資本の純流入国である。これに対してサウジアラビア、ドイツ、日本の3カ国はFDIアウトバウンドがFDIインバウンドを上回る資本の純流出国である。前者は直接投資を世界から吸い上げ、一方後者は世界へ向けて吐き出していると言えよう。

米国はFD Inflows 2,460億ドルに対しOutflowsはその半分の1,250億ドルにとどまっており、差引純流入額は1,210億ドルである。米国と対照的なのが日本であり、Inflowsが150億ドルに対し、Outflowsは2,270億ドルに達する。差引2,120億ドルの純流出である。ドイツも日本と同様OutflowsがInflowsを上回り620億ドルの純流出となっている。

FDI Inflowsが世界2位でOutflowsが世界4位の中国は両者がバランスしており241億ドルの流入超過となっている。インドはこれら3か国に比べてFDI Inflows(506億ドル)、FDI Outflows(121億ドル)とも金額は少ないが、InflowsがOutflowsの4倍以上であるため差引純流入額は384憶ドルで中国よりも多い。

中東の投資大国であるサウジアラビアとイスラエルを比較すると、イスラエルはFDI InflowsがOutflowsを上回る直接投資の純流入国である。これに対してサウジアラビアはOutflowsがInflowsを上回る直接投資の純流出国である。イスラエルには同国の先端技術を対象に外国資本が流入し、一方投資の魅力に乏しいサウジアラビアは外国からの投資が少なく、国内資本も外国投資に目が向いているようである。

(続く)

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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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