BPが恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2020」を発表した。以下は同レポートの中から石油に関する埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したものである。
*BPホームページ:
https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/bp-statistical-review-of-world-energy-2020-published.html
3.世界の石油消費量
(世界4位の日本に肉薄するサウジアラビア!)
(1) 国別消費量
(表http://bpdatabase.maeda1.jp/1-3-T01.pdf 参照)
国別に見ると世界最大の石油消費国は米国で、2019年の消費量は1,940万B/D、世界全体の20%を占めている。第二位は中国の1,406万B/D(シェア14%)である。米国と中国を合わせたシェアは34%であり両国だけで世界の3分の1の石油を爆食していることになる。
3位はインドで前年比3%増の527万B/Dであり、これに対して世界4位の日本の消費量は381万B/Dで前年より1%減少している。2015年にインドと日本の順位が入れ替わったが(BPエネルギー統計2016年版参照)、両国の差は年々広がっておりインドが米国、中国に次ぐ世界第3位の石油消費国に定着している。
日本に続く世界第5位の石油消費国はサウジアラビアの379万B/Dである。サウジアラビアは人口・産業規模とも日本と大きくかけ離れた産油国であるが、発電・造水・運輸などで大量の石油を消費するとともに、大規模な輸出専用製油所が稼働しているため石油の消費量が多く、また年々消費量が増加、2019年の対前年増加率は0.5%である。従って今後も日本の消費減少傾向とサウジアラビアの増加傾向が続けばサウジアラビアの消費量が日本を追い抜く日は遠くなさそうである。
6位以下10位まではロシア(332万B/D)、韓国(276万B/D)、カナダ、ブラジル(各240万B/D)、ドイツ(228万B/D)と続いている。石油は日米などの先進国及びBRICsと呼ばれる中国、インド、ロシア、ブラジルの新興4カ国に大産油国でもあるサウジアラビアを加えた10カ国で世界の6割強を消費している。
上位10カ国の中で消費量が前年より減少した国は米国、日本、韓国及びカナダの4か国であり、その他の6か国は前年より増加している。6カ国の増加率は中国5%、インド3%の両国の伸びが大きく、ロシアは1%、その他サウジアラビア、ブラジル、ドイツは1%未満である。消費量世界一の米国は対前年比0.1%と減少しているが、生産量ベースでは11%と言う非常に高い伸びを示している(第4回参照)。これは米国でシェールオイルの生産が急激にアップし、石油の自給率が100%に近づいていることを示している(自給率については本章後段で説明)。
国別消費量を前章の国別生産量と比較すると興味ある事実が浮かび上がる。米国と中国は消費量世界一位と二位であるが、生産量についても米国は世界1位、中国は世界7位である。両国は石油の消費大国であると同時に生産大国でもある。そしてサウジアラビア及びロシアは生産量で世界2位、3位であり、消費量では5位と6位でいずれもベストテンに入っている。その他消費量8位のカナダは生産量世界4位であり、消費量9位のブラジルも生産量世界10位である。
このように石油消費量上位10カ国のうち6カ国は石油の生産量も多い国々である。一方、消費量ベストテンに入っていても生産量が皆無もしくは非常に少ない国はインド、日本、韓国及びドイツの4カ国である。このように石油を大量に消費する国といえどもその状況は各国によって大きく異なる。従って「消費国」と言うだけで結束して産油国(例えばOPECなど)に対峙することは容易ではないのである。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
*BPホームページ:
https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/bp-statistical-review-of-world-energy-2020-published.html
3.世界の石油消費量
(世界4位の日本に肉薄するサウジアラビア!)
(1) 国別消費量
(表http://bpdatabase.maeda1.jp/1-3-T01.pdf 参照)
国別に見ると世界最大の石油消費国は米国で、2019年の消費量は1,940万B/D、世界全体の20%を占めている。第二位は中国の1,406万B/D(シェア14%)である。米国と中国を合わせたシェアは34%であり両国だけで世界の3分の1の石油を爆食していることになる。
3位はインドで前年比3%増の527万B/Dであり、これに対して世界4位の日本の消費量は381万B/Dで前年より1%減少している。2015年にインドと日本の順位が入れ替わったが(BPエネルギー統計2016年版参照)、両国の差は年々広がっておりインドが米国、中国に次ぐ世界第3位の石油消費国に定着している。
日本に続く世界第5位の石油消費国はサウジアラビアの379万B/Dである。サウジアラビアは人口・産業規模とも日本と大きくかけ離れた産油国であるが、発電・造水・運輸などで大量の石油を消費するとともに、大規模な輸出専用製油所が稼働しているため石油の消費量が多く、また年々消費量が増加、2019年の対前年増加率は0.5%である。従って今後も日本の消費減少傾向とサウジアラビアの増加傾向が続けばサウジアラビアの消費量が日本を追い抜く日は遠くなさそうである。
6位以下10位まではロシア(332万B/D)、韓国(276万B/D)、カナダ、ブラジル(各240万B/D)、ドイツ(228万B/D)と続いている。石油は日米などの先進国及びBRICsと呼ばれる中国、インド、ロシア、ブラジルの新興4カ国に大産油国でもあるサウジアラビアを加えた10カ国で世界の6割強を消費している。
上位10カ国の中で消費量が前年より減少した国は米国、日本、韓国及びカナダの4か国であり、その他の6か国は前年より増加している。6カ国の増加率は中国5%、インド3%の両国の伸びが大きく、ロシアは1%、その他サウジアラビア、ブラジル、ドイツは1%未満である。消費量世界一の米国は対前年比0.1%と減少しているが、生産量ベースでは11%と言う非常に高い伸びを示している(第4回参照)。これは米国でシェールオイルの生産が急激にアップし、石油の自給率が100%に近づいていることを示している(自給率については本章後段で説明)。
国別消費量を前章の国別生産量と比較すると興味ある事実が浮かび上がる。米国と中国は消費量世界一位と二位であるが、生産量についても米国は世界1位、中国は世界7位である。両国は石油の消費大国であると同時に生産大国でもある。そしてサウジアラビア及びロシアは生産量で世界2位、3位であり、消費量では5位と6位でいずれもベストテンに入っている。その他消費量8位のカナダは生産量世界4位であり、消費量9位のブラジルも生産量世界10位である。
このように石油消費量上位10カ国のうち6カ国は石油の生産量も多い国々である。一方、消費量ベストテンに入っていても生産量が皆無もしくは非常に少ない国はインド、日本、韓国及びドイツの4カ国である。このように石油を大量に消費する国といえどもその状況は各国によって大きく異なる。従って「消費国」と言うだけで結束して産油国(例えばOPECなど)に対峙することは容易ではないのである。
(続く)
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