石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

吸い上げる米国と中国、吐き出す日本:UNCTAD「世界投資レポート2020年版」(7)

2020-07-13 | その他
(世界ランクシリーズ その9 2020年版)
http://mylibrary.maeda1.jp/0509WorldRank9.pdf

(世界ランクシリーズ その9 2020年版)

3.FDI Inward Stock(FDIインバウンド残高) 
(世界で3番目に高い投資残高を有する香港!)
(1) 2019年末のFDI Inward Stock(FDIインバウンド残高) 
(表http://rank.maeda1.jp/9-T03.pdf参照)
 2019年末の世界のFDIインバウンド残高(FDI Inward Stock)は総額36兆ドルである。2018年末の残高は33兆ドルであり、1年間で残高は3.5兆ドル(11%)増加している。2019年末の残高が最も多い国は米国の9.5兆ドルであり、全世界の26%を占めている。米国一国だけで世界の直接投資の4分の1を吸い上げている。これに次ぐFDIインバウンド世界2位は英国の2兆ドル、3位香港(1.9兆ドル)、4位中国(1.8兆ドル)、5位オランダ(1.7兆ドル)である。

香港は英国植民地時代以来東洋の金融センターとして確固たる地位を保ち、中国への返還後も一国二制度を許されて、社会主義経済の中国と自由主義経済の欧米を橋渡しする金融の拠点となっている。この長い歴史が高いFDIインバウンド残高の要因である。但し、中国政府が香港への介入を強化し、これに対して欧米各国の警戒感が強くなっており、今後も東洋の金融センターとしての名声を維持できるか問題含みである。実際、2018年と比べた場合上位5か国のうち香港を除く4カ国はいずれもインバウンド残高が増加しているが、香港のみは2018年より5%近く減少しており、世界ランクも2位から3位に転落している。

 上位5カ国以外の主な国の残高を見ると、ドイツの2019年末FDI Inward Stockは9,500億ドルで世界10位、米国の10分の1である。ロシアとインドの残高はそれぞれ4.6兆ドル、4.3兆ドルであり、世界ランクでは20位前後につけている。日本のFDI Inward Stock(FDIインバウンド残高)は2.2兆ドルであり全世界に占める割合は0.6%、世界30位にとどまっている。日本の残高は米国の40分の1である。

 中東諸国の中で2019年末の残高が最も多いのはサウジアラビアの2,360億ドルであり、これは日本よりも多い。サウジアラビアに続くのはイスラエル(1,660億ドル)、トルコ(1,650億ドル)、UAE(1,540億ドル)、エジプト(1,270億ドル)である。イランのFDIインバウンド残高はこれら各国より一桁少ない570億ドルにとどまっている。前年(2018年)末残高と比較した場合、イスラエル、トルコ、及びUAEはいずれも140~210億ドル増加している。これに対してサウジアラビアは50億ドルの増加にとどまり、イランの場合はわずか15億ドルの増加に留まっており、いずれも世界ランクが下がっている。

(続く)

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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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データベース更新のお知らせ

2020-07-13 | データベース追加・更新

下記データベースを更新しましたのでご自由にご利用ください。

 

・UAE連邦政府閣僚名簿(2020年7月5日改造)

 

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