石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

中堅国家が軒並み格下げ、不吉な予兆?:世界主要国のソブリン格付け(2020年7月現在) (1)

2020-07-02 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0507SovereignRating2020Jul.pdf

 

 

 本レポートは著名な格付け会社Standard & Poors (S&P) の7月1日現在の世界主要国及びMENA諸国のソブリン格付け を取り上げて各国を横並びに比較するとともに、いくつかの国について過去3年間にわたる半年ごとの格付け変化を検証するものである。

 因みにS&Pの格付けは最上位のAAAから最下位のCまで9つのカテゴリーに分かれている。このうち上位4段階(AAAからBBBまで)は「投資適格」と呼ばれ、下位5段階(BBからCまで)は「投資不適格」又は「投機的」とされている。またAAからCCCまでの各カテゴリーには相対的な強さを示すものとしてプラス+またはマイナス-の記号が加えられている 。なおCCC以下でS&Pが債務不履行と判断した場合はSD(Selective Default:選択的債務不履行)格付けが付与され、さらに格付けを行わない場合はN.R.と表示される。

*過去のレポートは下記ホームページ参照。
http://mylibrary.maeda1.jp/SovereignRating.html 

(産油国のクウェイトが格下げ!)
1.2020年7月現在の各国の格付け状況
(表:http://menadabase.maeda1.jp/1-G-3-01.pdf 参照)
2020年7月現在の格付けを半年前の2020年1月と比べると最高格付けAAA(トリプルA)のドイツ、シンガポール等の国々を含めAA格付けの韓国、A+格付けの日本、中国など格付け上位の主要な国々に変動はなかった。

G7の国々のうちドイツ及びカナダはAAAの最高格付けであり、米国は1ランク下のAA+、英国及びフランスはさらに1ランク低いAAである。そして日本はAAAより4ランク低いA+に格付けされ、イタリアは投資適格ではあるがBBBにとどまっている。因みに格付け定義ではAAは「債務を履行する能力は非常に高く、最上位の格付け(トリプルA)との差は小さい」とされ、これに対して格付けAは「債務を履行する能力は高いが上位2つの格付けに比べ、事業環境や経済状況の悪化からやや影響を受けやすい」とされている。そしてBBBの定義は「債務を履行する能力は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によって債務履行能力が低下する可能性がより高い」である。

G7以外の国ではアジア諸国のうちシンガポール及びオーストラリアがAAAに格付けされ、またMENA諸国では、アブダビがAAに、カタール、イスラエル及びクウェイトがAA-に格付けされている。なお産油国のクウェイトはこれまでアブダビと同じ格付けであったが、今年上半期に1ランク格下げされている。

サウジアラビアの格付けはA-である。アジア諸国では香港がAA+、韓国はAA、台湾はAA-であり、中国及び日本の格付けは台湾を1ランク下回るA+である。

(続く)

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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp


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石油と中東のニュース(7月2日)

2020-07-02 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(コロナウィルス関連ニュース)
・WHO:中東のコロナ禍拡大に深刻な懸念、MENA22カ国で感染者108万人、死者2.5万人
・エジプト、3か月ぶりに観光客受け入れ再開
・UAE、市民及び居住者の海外渡航に病気治療など7条件明示

(石油関連ニュース)
・米石油備蓄減少で油価2%上昇。Brent $42.07, WTI $39.86
・Shell、第2四半期に220億ドル欠損引き当て見込み、BPも130憶ドル。  *
・サウジアラムコCEO、Daniel Yerginと対談。中国のガソリン需要回復で第2四半期石油市場は楽観

*「ExxonMobil、BP、Shell3社は損失計上:五大国際石油企業 2020 年 1-3 月期決算速報」参照。

(中東関連ニュース)
・アラブ同盟軍、イエメン空爆再開
・IMF、今年のサウジGDP成長率を-6.8%に再度引き下げ。SAMA総裁、悲観的過ぎると反論。  **
・茂木外相記者会見:パレスチナ2国家共存策を支持。  ***

**「大恐慌以来最悪の景気後退(The Great Lockdown):IMF 世界経済見通し 2020 年 4 月版」参照。
***外務省記者発表参照。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/kaiken4_000976.html#topic6
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