石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

本年1-7月のOPEC+(プラス)協調減産を検証する (上)  

2021-04-16 | OPECの動向

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0530OpecApr2021.pdf

 

 本年(2021年)1月からOPECとロシアを中核とする非OPEC産油国は新たな協調減産体制のもと、毎月閣僚会合(OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting)をビデオ会議方式で開催し、減産量を調整している。

 

 本稿は昨年12月の閣僚会合で合意[1]されたReference Production(参考生産量)及び1月以降のAdjustment(減産量)並びにRequired Production(基本生産量から減産量を引いた各国生産量)について1月から7月までの決定事項をまとめたものである。

 

*詳細な数値については「OPEC及びNon OPECの協調減産量(2021年4月現在)」(表1-D-2-35)参照。

 

 協調減産体制に参加しているのは以下の通りOPEC10カ国及び非OPEC10カ国の合計20の産油国である。なおOPEC加盟国のうちイラン、リビア及びベネズエラ3か国は経済制裁あるいは内政の混乱により原油生産が極端な不振状態にあるため協調減産には加わっていない。

 

OPEC(10カ国):

アルジェリア、アンゴラ、コンゴ、エクアトール・ギニア、ガボン、イラク、クウェイト、ナイジェリア、サウジアラビア、UAE (アルファベット順)

 

非OPEC(10カ国):

アゼルバイジャン、バハレーン、ブルネイ、カザフスタン、マレーシア、メキシコ、オマーン、ロシア、スーダン、南スーダン(アルファベット順)

 

  1. Reference Production (参考生産量)

 12月に決定されたReference Production(以下Ref. Prod.)はサウジアラビアとロシアが共に1,100万B/Dである。両国に次ぐ有力産油国の生産量はOPECではイラク(465.3万B/D)、UAE (316.8万)、クウェイト(280.9万B/D)であり、また非OPECではメキシコ(175.3万B/D)、カザフスタン(170.9万B/D)などである。

 

 Ref. Prod.はOPECと非OPEC(以下OPECプラスと略称する)の協調減産が始まった2018年12月に各国の直前の生産量をもとに算定されたものであるが、OPECプラスの二大産油国サウジアラビアとロシアについては今回1,100万B/Dに統一された。この結果12月の合同閣僚会合で20カ国合計のRef. Prod.は4,385.3万B/Dとなり、これが今年1月以降の減産調整の基準となっている。因みにOPECと

非OPECの内訳はOPEC 2,668.3万B/D、非OPEC 1,717万B/Dである。

 

(続く)

 

本件に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

荒葉一也

Arehakazuya1@gmail.com

 

[1] The 12th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting concludes

2020/12/3 OPEC Press Release

https://www.opec.org/opec_web/en/press_room/6257.htm

 

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石油と中東のニュース(4月16日)

2021-04-16 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(コロナウィルス関連ニュース)

・イスラエル、屋外でのマスク着用義務を解除

(石油関連ニュース)

・IEA、今年の石油需要予測を570万B/D上方修正、9,670万B/Dに

(中東関連ニュース)

・ウィーンのイラン核協議再開

・イラン大統領:ウラン60%濃縮はイスラエルのナタンズ攻撃に対する回答

・クウェイト、裁判所がジャービル前首相に拘束命令:地元紙報道。 *

*「クウェイト首長家々系図」参照。

http://menadabase.maeda1.jp/3-2KuwaitSabah.pdf

・総裁交代下のトルコ中銀、公定歩合19%を維持。専門家は年央から15%以下との見方が支配的

・シリア、通貨を1,250/ドルから2,512/ドルに切り下げ

・ヨルダンの公的債務、GDPの85%に達する。若者の失業率も55%

・アブダビADNOC、スーパータンカー2隻を購入

・カタール、上場企業の外資100%保有を解禁

・UAE、高度技能者の呼び込みで世界トップスリーを目指す

・UAE、日本の宇宙企業iSpace通じ2022年に月面探査衛星打ち上げ

 

 

 

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サウジアラムコと五大国際石油企業(IOCs)の2020年業績比較 (9完)

2021-04-16 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0528AramcoVsIoc2020.pdf

 

(原油生産量はアラムコ1社がメジャーズ5社合計を上回る!)

7. 原油・ガス生産量 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-6-31.pdf 参照)

 昨年のアラムコの原油生産量は日量平均920万バレル(以下B/D)であり、天然ガス生産量は石油換算で320万B/D、両者あわせて1,240万B/Dであった。IOC5社で原油生産量が最も多いのはExxonMobilの235万B/Dであるが、アラムコはExxonMobilの4倍の生産量を誇っている。そして最も原油生産量が少ないbp (123万B/D)と比べると約8倍である。メジャーズ5社の合計原油生産量は879万B/Dであり、アラムコの生産量はこれを上回っている。

 

 一方、ガスの生産量はアラムコの320万B/D(石油換算)をIOC5社と比較すると最も多いShell(158万B/D)はアラムコの49%、最も少ないbpでもアラムコの4割弱であり、原油生産量ほど大きな差は無い。因みに五大企業の石油と天然ガスの合計生産量は1,548万B/Dでありアラムコ一社を上回っている。

 

 各社の原油と天然ガスの比率はアラムコが原油74%に対しガス24%で原油はガスの3倍である。これに対してIOC5社はExxonMobil及びChevronの原油:ガス比率は3対2であり、Shell、bp及びTotalは原油がガスを少し上回る程度である。アラムコはIOC5社に比べ原油の比率がかなり高い。

 

 これは両者のガスに対する取り組み方の違いにあると考えられる。即ちIOC5社の場合、近年天然ガスに対する需要が増加しているため独自の開発生産に力を入れており天然ガスの比率が年々高まる傾向にある。これに対してアラムコは原油の生産販売を目的とする国営石油会社であり、これまで天然ガスは国内の発電・造水向けであったためガス田開発にさほど積極的でなかったことがあげられる。

 

アラムコの場合、天然ガスは原油生産に伴って生産される随伴ガスを自家燃料として消費し、或は国内の電力・海水淡水化国営企業に供給している。最近では電力・海水淡水化用の需要が急増しており、今後は天然ガスの生産比率が高まるものと予測される。

 

以上

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

 

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