(世界ランクシリーズ その5 2021年版)
(格差が大きい政治分野、小さい教育分野!)
3.分野別のランクとスコア
(表http://rank.maeda1.jp/5-T02.pdf 参照)
男女格差指数は(1)経済参画分野、(2)教育分野、(3)健康・寿命分野及び(4)政治参画分野の4つの分野について公表されたデータに基づいて詳細な比較検討が行われている(本稿第1章参照)。本章では第2章で取り上げた国々、すなわち世界の上位5か国及び日本を含む主要各国並びに中東主要国について4分野のスコアと世界ランクを概観する。
- 経済参画分野の男女格差
総合世界1位のアイスランドはこの分野でも世界4位(スコア0.846)と高い地位を占めている。
米国は30位、英国は55位であるが、日中韓印のアジア4か国は、中国の69位が最も高く、日本は117位、韓国123位、インド151位である。
(2)教育分野の男女格差
WEFが各国の統計値をもとに判断した教育分野の男女格差は極めて小さい。即ちノルウェー、フィンランド、米国のスコアは1.000であり男女格差が無いとされる。格差指数は1.000が上限であり、国によっては1を超える(即ち女性と男性の逆格差)ケースもあり、教育格差指数1.000は156か国中37か国に達する。また156カ国中の半数を超える87カ国の格差指数が0.990以上である。
この結果日本のスコアは0.983でありトップ(1.000)との格差は0.017にとどまるが世界ランクは92位である。同様に中国と韓国はスコア0.973で共に世界103位である。中東諸国ではイスラエルがスコア1.000で世界1位グループに入っている。その他UAEは世界89位(スコア0.987)、サウジアラビア97位(同0.980)であり、エジプト、トルコ、イランは世界100位以下である。但し世界118位のイランのスコアは0.953でトップグループのイスラエル或いはUAEと比べスコア格差はさほど大きくない。
(3)健康・寿命分野の男女格差
世界1位のスコアは0.980で、ブラジル、ロシア、ミャンマーなど29カ国が並んでいる。スコアがわずか0.007しか違わない0.973の日本は世界順位が65位とされている。この分野の世界最下位は中国であり同国のスコアは0.935である。トップとのスコアの差は0.045で、この格差の中に156か国がひしめいており、わずかなスコアの差がランク上の大きな差となって表れている。
留意すべきは健康・寿命格差は各国の医療福祉水準の良し悪しを比較したものではなく、あくまでも当該国において医療福祉にアクセスする場合の男女の格差を示したものである。先進国、発展途上国を問わず一般に女性の平均寿命が男性よりも長いことは事実であり、指数化して比較すると一見男女格差が無いように見える点に注意すべきであろう。
(4)政治参画分野の男女格差
この分野の世界1位はアイスランドで同国のスコアは0.760である。これに続く世界2位はフィンランドであるが、同国のスコアは0.669でありアイスランドと大きな開きがある。3位、4位はそれぞれノルウェー、ニュージーランドであり総合順位と全く同じである。日本はスコア0.061、世界順位147位であり、米国 (世界37位)、インド(51位)にはるかに及ばず、韓国(68位)、中国(118位)とも大きな差がある。中東諸国と比べても日本はUAE(24位)、イスラエル(65位)、エジプト(78位)と大きな差があり、トルコ(114位)、サウジアラビア(138位)よりも低い。
この分野トップのアイスランドのスコアと日本のスコアの差は0.699と極めて大きい。因みにこの分野の最下位はパプアニューギニアの0.000(即ち男女格差は無限大)であり、4分野の中では国別格差が最も大きい。
政治の男女格差は女性国会議員数、閣僚数、或いは過去50年間の女性元首(首相等)の在任期間でランク付けされているため全体的に各国ともスコアが低く、また同じ先進国でもヨーロッパに比べ日米のランクが低い結果となっている。
(続く)
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