石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(9)

2023-06-10 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

プロローグ(9)

 

009第一次大戦中の英国の3枚舌外交

 第二次世界大戦後の中東を語る際にどうしても言及しなければならないのは第一次世界大戦中に英国が行ったいわゆる「三枚舌外交」と呼ばれるものである。

 

 第一次世界大戦は英仏を中心とする連合国(日本もその一員であった)とドイツ・オーストリア・オスマントルコの同盟国との戦争であった。連合国側が勝利し、1919年に英国とフランス主導による戦後処理をめぐるパリ講和会議でベルサイユ条約が締結された。この条約は敗戦国ドイツに対して過酷極まるものであり、ドイツは領土をむしりとられ、莫大な賠償を強いられた。そこに見られたのは勝者総取りの図式である。英国とフランスはドイツと共に敗戦国となったオスマン・トルコ帝国に対しても容赦しなかった。両国はトルコ民族固有の領土である小アジアを除くレバント、チグリス・ユーフラテス一帯をオスマン・トルコから取り上げ、それぞれの支配下においたのである。それは19世紀から連綿と続くヨーロッパ帝国主義国家による植民地獲得競争の最終仕上げとでも言うべきものであり、その地に古くから生活を築いてきたアラブ民族のことなど一顧だにされなかったのである。

 

 中東の現在につながるこのような状況が生まれる原因となったのが第一次世界大戦中に英国が結んだ三つの約束―フセイン・マクマホン書簡、サイクス・ピコ協定及びバルフォア宣言―である。これら三つの約束はそれぞれ約束の相手が異なるだけでなく、内容が全く矛盾する約束であった。そのためこれら一連の英国の外交は3枚舌外交と酷評されたのである。否、酷評されただけでは済まず百年後の今日まで中東全域に災いをもたらす結果を招いたのである。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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今週の各社プレスリリースから(6/4-6/10)

2023-06-10 | 今週のエネルギー関連新聞発表

6/4 OPEC

35th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting

https://www.opec.org/opec_web/en/press_room/7160.htm

 

6/5 石油連盟

石油連盟会長コメント  第35回OPECおよび非OPEC閣僚会合の終了にあたって

https://www.paj.gr.jp/news/692

 

6/5 INPEX

次世代蓄電池の開発を行う「TeraWatt Technology社」への出資について

https://www.inpex.co.jp/news/2023/20230605.html

 

6/8 コスモエネルギーホールディングス

第8回定時株主総会の議案(第5号議案 )に関する議決権行使助言会社レポートに対する当社見解について

https://www.cosmo-energy.co.jp/ja/information/press/2023/230608.html

 

6/9 経済産業省

「夏季の省エネルギーの取組について」を決定しました

https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230609003/20230609003.html

 

6/9 経済産業省

2023年度夏季の電力需給対策を決定しました

https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230609009/20230609009.html

 

6/9 TotalEnergies

Kazakhstan: TotalEnergies signs a 25-year PPA for a 1 GW Wind Project

https://totalenergies.com/media/news/press-releases/kazakhstan-totalenergies-signs-25-year-ppa-1-gw-wind-project

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