(英語版)
(アラビア語版)
(目次)
プロローグ(11)
011.フセイン・マクマホン書簡(2/2)
そしてファイサルの作戦参謀として活躍したのが英国陸軍将校トマス・ロレンス、いわゆる「アラビアのロレンス」である。「アラビアのロレンス」はあたかもロレンス自らが機知策略を弄して無知蒙昧なアラブ人の先頭に立って戦ったかのごとき印象を与えるが、これは英国側でかなり脚色された虚像である。彼は英国軍との連絡係であり、英国からアラブ側に補給される資金や武器弾薬の窓口であったというのが正しいであろう。彼自身は自分の国イギリスが書簡の約束を忠実に守ると信じ込んでいた。
しかし第一次大戦後、実際にアラブ人に割り当てられた土地は彼らが期待していたものとは程遠かった。そのためロレンスはアラブ側の信頼を失い帰国した後、オートバイ事故で自らの命を失う羽目に陥る。アラブ世界ではロレンスは「英国の走狗」とみなされ全く評価されていないのである。戦勝者はいつの世も自分に都合の良い英雄を作り出すものである。
(続く)
荒葉 一也
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