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プロローグ(15)
015.バルフォア宣言(2/2)
バルフォア外相がロスチャイルド卿に送った書簡には次のような文言が記されていた[1]。
「英国政府は、ユダヤ人がパレスチナの地に国民的郷土を樹立することにつき好意をもって見ることとし、その目的の達成のために最大限の努力を払うものとする。ただし、これは、パレスチナに在住する非ユダヤ人の市民権、宗教的権利、及び他の諸国に住むユダヤ人が享受している諸権利と政治的地位を、害するものではないことが明白に了解されるものとする。
貴殿によって、この宣言をシオニスト連盟にお伝えいただければ、有り難く思います。」
ここにはユダヤ人がパレスチナにホームランドを建設することを支援する英国政府の意図が明確に示されている。但しユダヤ人がパレスチナに住んでいたのは紀元1世紀までのことであり、それ以来2千年近くの間パレスチナに住み続けたのはアラブ人であった。そのためさすがの英国政府も「パレスチナに在住する非ユダヤ人の市民権、宗教的権利(中略)と政治的地位を、害するものではない」と言う但し書きを付けたのである。しかしその後この但し書きが守られることは無かったどころか、イスラエルは4度の戦争を通じてパレスチナにおける領土支配を進め、今も入植地を拡大し続けているのである。パレスチナを含むアラブ圏の全ての人々はそれをただ手を拱いて見ているだけである。
(続く)
荒葉 一也
E-mail: Arehakazuya1@gmail.com
[1] ウィキペディア「バルフォア宣言」よりhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%82%A2%E5%AE%A3%E8%A8%80