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(目次)
第1章 民族主義と社会主義のうねり(3)
019.大西洋憲章(3/3)
こうして戦後の中東でも理想実現に向かって国民国家の独立運動が始まった。その嚆矢が1946年のヨルダン王国及びシリア共和国の成立であった。もちろん両国成立の背景には複雑な事情が絡んでおり、国民国家の独立と単純に割り切ることはできない。しかしあえて単純化するとすればヨルダン王国は英国とアラブの名門部族ハーシム家が結んだフセイン・マクマホン協定の産物であり、シリア共和国はフランスが帝国主義支配の隠れ蓑として作り上げた極めて脆弱な共和国だったのである。
ヨルダン、シリアに続いてこの後中東では次々と国家が成立する。しかしそこにあるのは民族(血)と宗教(心)と政治思想(智)が溶け合うことなく自己主張を重ねる世界であり、さらに米国とソ連の東西対立の代理戦争の世界であった。
(続く)
荒葉 一也
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