株に出会う

独自開発のテクニカル指標で株式市場の先行きを読む!

トレーディングで成功する41の原則から(6)-最終回

2005-08-07 00:33:49 | 行動ファイナンス理論など
今日はいよいよ行動ファイナンス理論の実践原則の最終回です。テーマは「認知の不協和をいかに解消するかの7原則」です。

認知の不協和とは、自分に都合良い情報を探し出し、それを過大評価してしまう性向のことだそうです。人は、都合の悪い情報は逆に無視してしまいます。何だか、イエスマンだけを揃えた会社の社長のようですね。そのような裸の王様にならないための原則が下記の7原則というわけですね。例によって、アドリブと気付け薬が少々入っていますのであまり真に受けないように。

■認知の不協和を如何に解消するかの7原則

(1)手持ちのポジションに集中せよ。「~たら」、「~れば」は考えないこと。

これは筆者も日々性懲りもなく思わず考えてしまいます。昨日あの値段で売っていたらとか、この銘柄の代わりにあれを買っていれば今頃ストップ高なのに、などです。しかし過ぎ去った過去は戻ってきません。そして二度と同じ状況には会うことがないのが複雑系の市場というものです。人生も同様です。「この女と結婚していなければ」などと夢想しても、過ぎ去った時間は返ってこないのです。それどころか、なぜか以心伝心で悪妻にその心理状態が伝播してしまい、その夜悪夢にうなされるだけです。要はこのような愚痴ともいえる「反省」をしたところで、結局は自分自身に嫌気がさすだけです。そうであれば、いっそのこと、「たら、れば」は一切考えないようにした方がよっぽど精神状態に良いでしょう。手持ちのポジションに集中するとは、今の悪妻(持株)に集中すると言い換えても良いかも知れません。それほど相場も人生も理不尽なものと考えることで、逆説的ですが、思わぬ御利益があるかも知れません。それは、「集中することの快感」のようなものであり、「あばたもえくぼ」という古今東西の不可思議な現象との遭遇かも知れません。

(2)ポジションを清算するか、放置するか迷ったときは、購入価格を意識しないこと。以前の取引結果に基づいて意志決定してはならない。

筆者がいつも考えてしまうのは、今売ったらいくらの損になる。昨日の引けに売っていれば、これこれの損で済んだのに、何で売らなかったのだろう。待てよ、もう1日だけ待てば、これこれ上がるかも知れない、などと思わず無意識のうちに購入価格を気にしていることです。そのように考えてずるずると損失が拡大していく様子を、先人は「塩漬け」と名づけました。塩を使って漬けているので腐ることはないと皆さんお考えかも知れませんが、実は日々きちんと腐っているのです。その証拠に換金するときは、腐った部分は切り取られてしまっているでしょう?ここまで考えて思い出しました。ナメクジは塩に溶けることを。すると、実態はナメクジ=購入価格ということになります。筆者なら気持ち悪くてその日に投げ出します。ナメクジをずっと抱え込んでいる投資家の心理とはいかなるものか?

(3)利益が出ているときは、自分のポジションに不利な市場の動きに慌てないこと。健全なトレンドに調整はつきものである。

小幅の調整に驚いて、過度に早く利益を実現するのは慎むことということですが、とにかく人は、利益が出ている時は誰でも臆病になっているということを思い出して下さい。損が出ている時は逆にリスク選好となります。なぜ利益が出ていれば臆病になるのでしょうか? これは人間の「業」というものですが、人は誰でも自惚れ意識が強いものです。利益が出ている時に早く確定すれば、自分の力でこれだけ稼いだという事実がそれだけ早く手に入ります。ところが、損失が出ている時は、損切りを早くすればするだけ、自分の負けをそれだけ早く認めてしまう(自惚れるどころか、自尊心が傷つく)ことになります。その時人は何故か、「起死回生」という言葉を思い出したりします。一発逆転満塁ホームランのようなものですね。これが本当に実現したとすると、人生、これに勝る快感はありません。ヒーローになるといっても過言ではありません。しかし、市場は冷淡で理不尽です。そんなあなたの気持ちを忖度して、突然上がり出すなどということはありません。たまたま別の理由によって上がることがあるだけです。それを自分の力だと勘違いをしてしまうところが、これまた「業」というものですね。

(4)機会を見逃したくないという理由で市場に戻ってはならない。もし放っておけないのなら、一番最近の取引を忘れること。それでも、また新しい取引を始めたいと思うだろうか?

よく身に覚えがあるのは、ちょっとばかり儲けた銘柄にまた欲を出して参戦することです。儲けたということは、買った時点から上がったということですね。仮に下がっていたら、それは下がると思って売ったとも言えますね。初めて買う時は、ちょっと高すぎるから止めよう、と考える人でも、成功体験があるため、また勝てるとつい思いこんでしまうものなのです。つまり、認知の不協和の罠ですね。ところが、ちょっと高いと考える値段で自分が買ったということは、他の人もちょっと高いと考えているのを忘れないで下さい。つまり、買ったはいいが売る相手がいないということになりかねません。そこに、変な株式ジャーナリズムが暗躍する余地が生まれます。ラスベガスのカジノでも何でも、最初は勝たせてその気にさせて、最後に身ぐるみ巻き上げる、という例の古典的ギャンブル胴元戦術に似ているのが、株式市場と思うくらいがちょうど良いかも知れません。

(5)損失の出ている取引を正当化したり、自分のポジションをよく見せるために、第3者の意見を利用してはならない。

これは、粉飾決算をするような会社がよく使う手ですね。カネボウもこれで身を滅ぼしました。今話題のアスベストも、アスベスト協会のPRビデオに大学教授の権威をうまく利用しました。世の中はこのように一皮めくればどろどろした悪行に充ち満ちているからと言って、何も手前の金で買った「株」まで、そこまでの悪に引きずり込むことはないでしょう。株そのものには何の罪もありません。そもそも人がなんと言おうと、その株を最初に選んだのは自分ですから。その結果、ソクラテスのようにクサンチッペという「悪妻」を選んだからといって、世のソフィスト(詭弁家)の助けを借りて、「悪妻」を「良妻」に変えようたって、そうは問屋が卸しません。

(6)自分が聞きたいことを言ってくれるという理由で、アナリストを選んではならない。自分には合っていないと思えても、鋭い分析を積み重ねるアナリストを探せ。

今の金融市場には、「鋭い分析を積み重ねる」アナリストは果たして何処にいるのでしょうか?学問の世界なら、白川静さんのような方もいるでしょう。ノーベル賞学者を揃えたからと言ってLTCMは破綻したくらいですから市場は甘くはありません。できることは、様々な意見を持つその道のプロに出会ったら、あまり選り好みをしないで耳を傾けるということでしょうか。オーケストラでも様々な楽器が寄り集うことにより、あれだけの表現が可能となるのです。しかし、指揮者不在のオルフェウス室内管弦楽団のような例では、意見の集約に結構な時間をかけて音の表現に関する「共通認識」を作り上げる、つまり、認知の不協和とならないよう隠れた努力がされていると聞いております。その点、持株の「指揮者」はあなた自身ですから、異種混交の意見さえ集まってくれば、不協和音を作り出すのも、出さないのも、結局はあなたの責任ということになります。

(7)金融市場に友人はいない。損失を認めたくない人たちが一時的に連帯するにすぎない。

それはその通りでしょう。掲示板など見ていると一時的な連帯はよく見られます。かといって、その連帯する人々が友人かというと、そんなことはまずありえません。不思議なことに、「損失を認める人たち」が掲示板で連帯するのは、あまり見たことはありません。多分、一旦損失を認めてしまったら、そこで終わりとなり、何も連帯をする必要性がないためでしょうか? 例えて言えば、熟年離婚をされたくない男達は、そのためのノウハウを共有するために「連帯」することはあっても、既に熟年離婚をされてしまった男達が集まって連帯することがないのは、結局は「後の祭り」だからです。祭りの後は寂しいものです。しかし、幸いかな、株式市場においては、絶えず祭りが繰り返されているようです。ボロ株祭りだとか、萌え祭りだとか。参加したい人は参加するのは自由ですが、余計なことですが、御輿を担ぐ方には回らない方がいいですよ。しかし、担ぐ人がいなければそもそも御輿が成り立たず、その結果、祭りも成り立たないのが、古今東西変わらぬ真理というものでしょうか。

以上で、「トレーディングで成功する41項の原則」シリーズを終わります。「膨大な経験と血と汗と、破産と富の結果を、論理的に検証し、まとめられた原則」と言われているのが、この41の原則のようですが、ちょっと原則にしては多いと個人的には思います。会社などでも、「社是」なるものはせいぜい3つか4つです。それでも、そんなことを心に浮かべながら社員が一生懸命仕事をしている訳ではありません。同じように、41もの原則をもれなく記憶し心してトレーディングをやれば、果たしてトレーディングで成功するものでしょうか? もしそうなら、段々と勝者が多くなってしまい敗者がいなくなります。そうなると、そもそもゼロサムゲームを旨とするトレーディングの世界が成り立たなくなります。 それでは、このシリーズで書いたものは一体全体何だったのか、ということになりますが、人の歴史は、五箇条のご誓文や17条の憲法を持ち出すまでもなく、反省と誓いの歴史で彩られているのが常です。このようにまとめたものを見ると、何となく心が落ち着くとすれば、そうした先人達の知恵を我々人類は遺伝子レベルで引きずっていると言えます。

というわけで、真面目に解説するのも少々気が引けるものですから、少し斜交いに構えた表現も混入しました。お役に立てましたでしょうか? 「なるほど!」、と膝を叩くような原則が見つかりましたでしょうか? 念のため申し添えておきますが、筆者の妻が「悪妻」で筆者に「熟年離婚」を迫っている訳では(幸いにして今のところ)ありませんので誤解のないように。


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トレーディングで成功する41の原則から(5)

2005-07-31 08:27:13 | 行動ファイナンス理論など
7月24日の「アンカリングリスクの9原則」に続いて、今日は行動ファイナンス理論の実践原則から「取引のタイミングの3原則」と「利益が出ている時の行動の2原則」、そして「損失が出ているときの行動の8原則」について、少々思うところを記してみます。少しアドリブを入れていますのであまり真面目に解釈し過ぎないように。

■取引のタイミングの3原則

(1)個々の取引では、ターゲット価格と、ストップ・ロス(辞める時の損失枠)を決めておくこと。目標利益は、リスクにさらせる額の3倍程度を目安にする。ストップ・ロスは低すぎないこと。

最近筆者、この原則に無頓着になってきております。その日に手仕舞いするかどうかは、一応、その日の4本足から判断するようにしていますが、どうしてももう1日待てば、「ここまで下がったのだから明日上がるはず」、と勝手に思ってしまい、いわゆる損失が出ている時のリスク選好に陥りがちです。目標利益も必ずしもきちんと定めておりませんでした。下がれば「そろそろ上がる」と考えるくせに、上がれば「もっと上がる」と考えてしまうのです。この「業」を断ち切らねば相場に明日はありません。

(2)高い的中率は、必ずしも、高い利益を意味しない。

コツコツ勝って大きく負けるという、例のパターンですね。相場は勝率や点数ではありません。従って、学校で勉強のできた秀才が必ずしもトレーディングで勝てる訳でもありません。かといって、勉強ができなかった人が相場に勝てる訳でもありません。何しろ相手は複雑系です。猪突猛進、徒手空拳が相場を制することもあります。とにかく、仕事と同じでドラッカーではありませんが、「自分の強み」を生かすことでしょうか。

(3)トレーディング・ボリュームを一定に保つこと。成功が続いたからと言って取引額総額を増やしてはならない。失敗が続いたからと言って、取引総額を増やしてはならない。

よくあるケースは、競馬で最後のレースにその日の稼ぎを全部かけて「おから」になってしまうケースです。一攫千金を狙いたい気持ちは誰でも持っているものです。しかしよく考えてみて下さい。相場は今日で終わりではありません。ずっと続きます。あわてることはありません。自分のペースで淡々と勝てるトレードを行えばよい訳ですね。勝負をかけすぎると、思いこみも激しくなるのは人の常です。そこに落とし穴が待ちかまえております。

■利益が出ている時の行動の2原則

次の「感応度低減の原則」を思い出すのが大切なようです。

「1000円利益をあげているときの100円の追加利益に比較し、2000円の利益があがっているときの追加利益の200円(同じ10%)は、感応度が鈍って、小さく思える。」

こういう例も錯覚します。7月29日はエンジャパンは58万から60万2千円Kへと2万2千円上がりました。一方、アルバイトタイムスは1079円から1130円と51円上がりました。どちらが早く利確したくなるでしょうか。エンジャパンの2万2千円を取りたくなりますね。しかし、上昇率はエンジャパンが3.8%に対して、アルバイトタイムスは4.7%です。


(1)長らく利益を待っていたので我慢できないとか、恐ろしくなったからという理由で、ポジションを清算してはならない。

目標利益はリスクに晒す金額の3倍程度と最初に書かれております。感応度低減の原則からすれば、これは絶対額ではなく、投資金額に対する比率で考える必要がありますね。

(2)目標利益に到達する前に利益を確定したいという誘惑に駆られたときは、反対のポジションのときならどう考えていたかを想像して欲しい。利益でなく損失のときはどうしていたか? 損失を確定させるだろうか?

これも原則は分かりますが、長期か短期かによってやり方は変わってくると思われます。また、その日のその銘柄の勢いもありますので、デイトレなどの場合には、「利食い千人力」が勝つこともあるでしょうね。その代わりに損失確定は持ち越さずに、その日終わりまでにという「厳しい戒律」も守らないと、結果的にはずるずるとトータルでは負けていくということになりかねません。

■損失が出ているときの行動の8原則

(1)取引の前にストップ・ロスを決めておくこと。いかなる状況のときも、それを超えて取引してはならない。

筆者の場合、買値から5%とか10%とかを損切りラインに決めたことがありましたが、リスク選好に陥りがちなこともあり、うまくいきませんでした。それは、その根拠が自分自身でも納得できていないからだと気が付きました。現在は、テクニカル分析により、明日も下がる見込みが強ければその日の終わりに手仕舞うことをしています。上がるのであれば持ち越すことになります。もちろん当たらなかった時は、その理由を分析する材料として前向きに捉えれば、それはそれで納得できるものとなります。

(2)利益の上がらないポジションで、無駄な時間を費やしてはならない。資金がそこで固定されていることを忘れてはならない。

いわゆる塩漬けというのは、単に資金がそのまま固定されているのではなく、じりじりと資産額が目減りしていることをお忘れなく。その上、他に買いたい銘柄が出てきても買えないという二重の弊害があります。

(3)損失を抱えたら、難平(ナンピン)買いでポジションを膨らませてはならない。ナンピン買いはポジションを拡大させ、リスクを増やす。

そうは言っても、逆張りでの底値を狙った場合と、順張りで上値を追っての売買の場合では、ナンピンに対する考え方は多少変える必要があるのではないかと思います。前者の場合はナンピンもある程度やむを得ないのではないでしょうか。それも2-3日以内でのナンピンですが。

(4)調子が悪いときもストレスに耐えられるような、維持可能なポジションのサイズを選ぶこと。

これも、人それぞれの器に応じた投資額があるようです。筆者の場合は、当初はお金があればほぼ全部張っていました。これでは自由度がないと段々と思うようになり、今ではキャッシュポジションが半分程度占めていることが多くなっております。有り金全部を1つの銘柄で勝負する人もおりますが、それはそれでその人のやり方であり、ストレスにも耐えられる器をお持ちであるなら良いのではないかと思います。

(5)例え難しくても、ポジションの大きさを一定に保つこと。最近好調だという理由で、ポジションのサイズを大きくしてはならない。

最近好調だからといって、明日も好調かどうかは保証の限りではありません。さまざまな要素によって相場は一転します。個人の力量でカバーできるとは思わないことですね。いわゆるコントロール幻想に陥ると、段々と自分を見失うという、ギャンブルにつきものの精神状態に陥ります。

(6)損失が続いたとき、ポジションのサイズを縮小すると、奪回に非常に時間がかかる。損失回避というリスクは、困難でフラストレーションを感じさせるものである。

逆に負けが続いて萎縮するのも良くないものですね。場全体が上昇している場合は、一つひとつのポジションは同じサイズでも、自ずと利益確定できる機会が多くなるため、いわゆる回転が効いていくことになります。その時の相場全体の流れに乗り利益を取り戻すためには、淡々と同じ程度のポジションを張っていくことが必須のようですね。

(7)偶然生まれた棚ボタ利益を、安易に特別視してはならない。同様の損失が発生する可能性があり、それは簡単には取り戻せない。

たまたま買った翌日に分割発表があったり、マスコミに取り上げられたりして棚ぼたの利益があがることがあります。逆に業績下方修正や公募発表などのリスクもあります。こうしたネタに頼りすぎると、情報のリスクやアンカリングのリスクの原則で述べたようなように、市場の大きな波に単に翻弄されるだけということになりがちです。これではコントロール幻想の逆であり、株をやっていてもあまり面白くありませんし、結局は損が出ないまでも、勝てることもできなくなり、株をやっている時間だけ無駄ということになりかねません。

(8)海外証券では、為替リスクを過小評価しないこと。

これは日本株には関係ありませんが、参考までに。為替リスクを隠蔽している最たる商品は外貨定期預金です。1ヶ月定期が年率6%のキャンペーンなどと言っておりますが、これは12ヶ月換算ですので、実質金利は0.5%に過ぎません。しかしその1ヶ月の間に円・ドルが1円動いただけで、仮に1ドル100円の場合は1%も動いてしまいます。実際はひと月に動くのは1円どころではありません。筆者も1昨年から今年年初までのドルの下落で随分と損失を抱えました。

この項、週末に続く
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トレーディングで成功する41の原則から(4)

2005-07-24 07:05:21 | 行動ファイナンス理論など
7月18日の「情報リスクの4原則」に続いて、今日は行動ファイナンス理論の実践原則から「アンカリングのリスクの9原則」について思うところを考えてみます。

アンカリングとは、その人が、意識的または無意識に重視し、最終判断に影響を及ぼすような、情報、意見、または人のことです。

(1)単一のアンカーに頼ってはならない。特に楽観的な予測と悲観的な予測をバランスしてみることが重要である。

単一のアンカーに頼って失敗したのは、今年の2月につけた1ドル101円の円高の時の見通しでした。特に新聞の論調では、90円の円高もありうること、またこれまでも一時的に円安に振れても、それは3週間ほどしか続かず、また円高になるといった見通しがなされておりました。現に筆者は2003年の夏に120円少々でドルを買いましたが、その後2度にわたっての大きな下落を経て101円まで来ていました。もうこれ以上の損失は勘弁して欲しいとの気持ちから、この情報を過度にアンカリングし、2月にドル預金を101円の最安値で解約し、その後105円に戻した3月にドル建ての投資信託まで解約しました。後から振り返ると最悪のタイミングでした。実は、昨年からの第一生命経済研究所の嶌峰さんのレポートでは、中長期での円安が報告されていましたが、短期的なドル・円の動きの前に、その意見をバランスをとって解釈をすることができなかったのです。投資信託を解約する際も相手の営業部長からは、「これからはアメリカと日本の金利差から円安に向かう」との助言を、営業トークとして軽くみてしまいました。もっと、他の情報源をきちんと見るべきだったと反省しております。

(2)取引にかかわっているアナリストの予測レンジ(幅)は、自己正当化のために、普通、極度に狭いことを忘れてはならない。

新聞やシティバンクのマーケット情報でのアナリスト予測は、まさにこのやり方ですね。週末までのイベントに対する為替や株価への影響度に限っての狭い範囲での予測が中心です。「基本的な方向はどちらを向いていて、現在はこういう材料がありこうした局面にあるので、マーケットがこういう風に反応している」、といった大所高所に立った上での解説というのはあまりないように思えます。テロを巡るメディアの報道なども同じ傾向ですね。局所的な情報ばかりが報道され、どうしてイスラム世界とキリスト教世界が反目するに至ったのか、十字軍あたりまで遡る歴史的な流れを踏まえての報道はまずありません。これはニュース性にこだわらざるを得ないマスメディアにのみ頼るのではなく、関係する良質な本を数多く読むことによって、宗教を巡る問題と現在のアメリカの新保守派の政治的な思惑、戦略などを合わせて理解しなければ解けないと思います。同様のことが株式についても言えるのではないでしょうか。

(3)自分とおなじポジションをもっている第3者の分析や情報で、自分の意見の正当性を確認してはならない。

これだけ継続的に儲けるのが困難な株式投資だからこそ、様々な分析情報が行き交います。その中には、自分の見方を支持するものも多く見つかるでしょう。仕事の企画書づくりでも同じようなことを人はしますね。企画を通すのに有利な情報やデータだけをうまく利用するのです。有能な経営者は、そのようなご都合主義の企画が、本当に会社にとって今の段階で必要かどうかを確認するために、「その企画が実現しない場合には、我が社にどのようなインパクトがあるのか?」という質問をするといいます。それがきちんと説明できない企画には「ノー」と言うためです。同様に、ある株を買いたいと思えば、買うべきでないという人の意見をむしろ沢山集めるべきなのですが、掲示板で両極の意見が飛び交っていても、人は自分が思っている意見を無意識のうちに重くみてしまう傾向があるようです。(もっとも、掲示板というのは信頼できるメディアには入らないと考えた方がよさそうですが。)

(4)キリのいい数字や、心理学的な水準で注文を出してはならない。皆がこの水準に注目しているので、取引が活発になって、トラブルに巻き込まれることが多い。

トラブルに巻き込まれるかどうかは別にしても、確かにきりのいい数字には売買の板が厚く並んでいるようですね。その中に自分が並んでも、順番が回ってくるのが遅くなり約定できず、そのまま持ち越しといったことになりがちです。売買の価格はキリの良い数字で決めるのではなく、市場参加者の多くが、このラインを越えれば買いだとか売りだとか考えている、その金額を基準にするべきでしょう。例えば、前日終値、高値、安値、直近の高値などです。よく見ているとそうしたところで株価がもみ合っていることが多いものです。筆者の場合、売りの目安については、終値が前日安値を抜けなかった、その前日安値を一つの基準にしています。

(5)情報はまずは信じないという態度で接すること。特に、複雑な情報が、信頼できるように思えたときは、逆を考えてみること。

複雑なリポートは、細部で惑って大筋を外しているため、結論がおかしくなっていることが多いようです。本を読んでいても、やたらに細部にこだわりすぎる記述が多く、いったい著者は何が言いたいのかはっきりしない本があります。逆に、あまりにも論旨が明快で、読んでいてすっと入ってくるため、かえって信じがたい思いをする場合もあります。「相場は複雑系」と以前に書いておりますが、トレーディングの世界はゼロサムゲームであることを基本にした場合、複雑系の方程式を解きほぐして、必ず勝てる方程式を導くことは並大抵のことではありません。ましてやその根幹部分を情報として一般に開陳するものでもないでしょう。そのように考えた時にすべての株を巡る情報は何かの意図があって流通していると考えた方がよいかも知れません。後で考えると、「特定筋のはめ込みだった」というような訳の分からない説明がされることもあるようですね。

(6)出所が異なって、おなじ結論のときは、その予測の信頼性は高い。

これは、(1)で言われているように、種々様々な情報源に接してバランスをとって判断するとして、たまたまそれらの情報源が、ロジックは違うかも知れませんが同じ結論を導いている場合は、その予測の信頼性は高いといっている訳であり、当たり前のことですね。例えば、今、半導体業界が調子が良いと言われております。ある人は、これをインテルの増益発表やナスダックの株価で根拠づけをし、また別の人は、半導体のシリコンサイクルから説明し、あるいはBBレシオから裏付け、またある人はパソコン販売の回復を結び付けるなど、異なる立場から同じ結論を得ている場合には、確かに半導体業界は好調かも知れません。しかし、よく考えてみると、株価が反応する来期の見通しという長期のサイクルと、過去のパソコン販売のデータと、業界内だけの特殊な数字であるBBレシオやシリコンサイクルは、本来時間や空間の次元を異にする異質な尺度です。果たして、これらが偶然に波長があっての同じ結論となっているのかどうかは、それらの異分野のニュースソースを統合して評価できるだけの力が必要です。これは個人である我々ができる範囲を超えています。かといって、ある特定の組織に属している人がこれらの情報を加工した場合は、その人が属する組織のバイアスが必ずかかっているものです。要は、何事も一本調子には信頼しないこと、また後で具体的な事実から検証し、良いニュース源とそうでないものを峻別することも必要なようですが、これも難しい。

(7)トレンドは、それが始まったときは、だれも信じていないものだ。皆が行う、トレンドへの追随は、誤りを生む。

これは、日本の稲作型の一勢投資、同質行動に多い誤りと言われています。バブルの時期の投資行動がその典型ですね。清原さんがあれだけの投資成績を上げることができたのも、この同質行動をうまく使ったからだと言われます。現に、彼の属する会社が買った株に人気が出ております。この傾向をうまく利用するのが欧米の狩猟型の投資家だそうです。筆者はどちらかというとへそ曲がりなので、ベストセラーの本はまず読まないし、人気が陰ってきた株をわざわざ買ったりします。それで随分と失敗もしております。そこで、あまりへそを曲げすぎないで、人が群がる取引の多い銘柄にも注目するようになりました。その方がテクニカル指標も素直に反応し易いからです。そして自分なりのテクニカル分析により、一足先に安く買ったり、高く売ったりする「快感」も得られます。逆張りにこだわる理由でもあります。

(8)金の卵は自分がもっているときだけ、価値がある。もし市場参加者の多くがおなじ意見をもっているなら、利益を獲得する取引相手を見つけることはできないだろう。

幸か不幸か金の卵を持ったことがないので何とも批評できませんが、株は相手がいないと買ったり売ったり出来ませんね。そして、「勝ち・負け」も他の誰かの「負け・勝ち」に支えられてます。ということは、皆が同じ意見(上がるという)を持ち、同じ株に参加しているとき、その株はバブル状態になっていると言えます。バブル時代に筆者は株やその他の金融には手を染めていませんでしたが、その時に手を染めていた人の結果はどうだったでしょうか?弱小、零細な個人投資家は、大きなスパンで見るとかなりの損失を出したと聞いております。要は「人の行かない道を行く」ためには、周りの参加者がどのような意見を持っているか、専門家達がどんな見方をしているかを知ることは大切ですが、それは大きな流れ(筆者がドル投資で失敗したようなことにならないための)をきちんと把握するためであり、そして人の行かない「正しい」道を見つけるためであると思っております。

(9)市場参者がカリスマ視する専門家を信用してはならない。自分も他人とおなじ船に乗ることになる。船が沈めば集団でコントロールを失うリスクがあり、パニックに陥る。他のアナリストの意見も求めことが必要である。

これも経験のある方は身をもって実感していることではないでしょうか。考えるべきは、カリスマ視されている専門家には、その意見に追随する人々が多いということですね。そうすると理屈の上では、そのカリスマ専門家が推奨する株の売買の時には、買う時は売り手が、売る時は買い手が少なくなるということを意味します。にもかかわらず、売買が成立して株価が上がっていくということは、全員が安全に降りる(利確する)ことは不可能ですから、いずれパニックになって船が沈んでしまうことは必定となります。つまり逆説的な言い方ですが、カリスマ専門家は、世に知られた時には既にカリスマ性は失われているとも言えます。にもかかわらずその有名なカリスマ専門家を信じて株の売買をするなら、このことのリスクをきちんと承知しておいた方がよいと思います。

何だか、禅問答のようなアンカリングリスクの9原則でした。
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トレーディングで成功する41の原則から(3)

2005-07-18 21:19:38 | 行動ファイナンス理論など
今日は、下記の情報リスクの4原則について考えてみます。

▼ 情報リスクの4原則

(1)自分が利用しやすいニュースや情報は、他人にとっても利用しやすいものだと認識していなければならない。そうしたときは、価格はすでにそれを折り込んでいる。

朝の日経の記事に反応したところで、勝ったり負けたりするだけで効果はありません。ところが、あるニュースがきっかけでその株が長く取引高を増やすケースがあります。最近ではサイバードやインデックスがそうでした。また、分割前のアセットマネージャーがそうでした。中期経営計画で魅力的な事業戦略を提示し、そこから長期に上がりだしたのです。従ってニュースには一過性のものと、そうでないものがあることに注意しなければなりません。株に限っては出来高の継続的な上昇がその1つの目安になるのではないでしょうか。

(2)市場や経済状況については、自分と異なる意見の人や情報を探すこと。

これはマスメディアではなかなか難しい。筆者はたまに第一生命経済研究所の嶌峰義清さんのレポートを見ておりますが、こうした専門家の良質なレポートをいくつかチェックするのがよいかも知れません。
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/shima_index.html ブログにも専門家顔負けのキャリアと知見を持った方が書いているものもあるので、そのような非公式情報も役に立つと思います。

(3)細かい情報に反応せず、意志決定の基本となる大局に目を向けること。

これが大切なのは分かりますが、果たしてどうやってその大局観を身につければよいのか?例えば、今REITが急落しているらしい。これは不動産関係の株式銘柄に対してどう関係しているのか、もっといえば、不動産ビジネスというのは、今後数年にわたってどう動こうとしているのか? 素材インフレの影響が地価にも現れないと不動産ビジネスの旨味はないのか?こういった大局に目を向けないと相場の方向が読めないのですね。不動産について言えば、IT化の一層の進展と団塊の世代の退職でオフィス需要はピークを打つのかどうか?少なくとも少子高齢化で住宅需要は、都心回帰に現れているようにバブル期のような郊外への波及はないでしょう。こうした問題意識を持って、日々の新聞その他の情報を意図的にスクリーニングしながら、問題の根底にある現象に目を付ける以外にはないかも知れません。

(4)頑固であってはならない。意見がおなじ人は、おなじポジションをとっている人が多い。似たようなフレームワークで考えてはいけない。

フレームワーク、つまり意見が出てくる元となる考え方の基本、これが同じであれば似たような結論が出るのは当たり前です。別の意見を探すには、別のフレームワークを探すこととなります。筆者は以前に「相場は複雑系」と書きました。また「テクニカル分析の限界」も書きました。そして、日本の「国家財政が既に破綻」していることも書きました。例えば、最後の点については、何とか説得力のある、国家財政回復のシナリオを提示している論客はいないものかとずっと新聞・専門書その他の記事を探しておりますが、セクター分析がよくできたものはあっても未だ見あたりません。また相場は複雑系といっておりますが、この複雑系という流行語の裏側にある本当の複雑系については、ここ10年くらい前から様々な書物から、また退職後に通っているある研究会での討論から得ているところですが、例えば、「相互作用」という考え方で人と人、人と社会の関係をとらえる社会構築主義のような立場もあることをここ2-3年で知りました。株もまさにこの相互作用のメカニズムで動いてものの、その絡み方があまりに複雑であり、これといった定式を見つけるのが難しいのでしょう。かといって意見を出さないと仕事が成り立たないので、世の論客達は様々なフレームワークをもとにして、自分なりの意見を出しているようです。そのフレームワークを形作っているものまで理解しないと、様々な株を巡る意見に翻弄されるばかりですね。

以下、この項週末に続く。
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トレーディングで成功する41の原則から(2)

2005-07-17 08:31:07 | 行動ファイナンス理論など
7月10日の「動機を振り返る3原則」に続いて、今日は行動ファイナンス理論の実践原則から「情報を得る6原則」を引用して思うところを書きました。

(1)情報や分析に対し不注意であってはならない。最初に決めたときとおなじように、慎重に振る舞い続けること。

これは、自分の投資パターンを、ある情報や分析手法に基づき決めているとすれば、そこから外れた投資パターンを取らないこと、とでも言えるだろうか。私の場合、典型的な失敗はスパークスやD3パブリッシャーでした。

スパークスは250Kがボトムとの思いこみで、それ以下の値段でナンピンしていました。たとえテクニカルには一旦手放すべきと分かっていても、値動きを都合良く良い方に解釈をしていました。いわゆる銘柄に惚れていたのです。

D3は萌え銘柄ブームの時、たまたま、マネックスビーンズのマーケットライブというニュース速報のような記事で、この株もその一つであることを知り、早速データ分析を行い押し目があると思って買ってしまいました。その日の引けに随分と下げられておかしいと思いましたが、少し戻したのでそのままにしておきました。その日(金)の場が引けた後に、下方修正のニュースが出ておりました。しかたなく翌週の月曜日には寄りで売りました。
発作的になじみのない銘柄に手をつけても、このような落とし穴があるということの教訓。

そうならないために、今は、ウォッチ株(売買候補)を定期的に見直すこととしておりますが、その時の条件は、①右肩上がりの株であること、②出来高がそれなりに多いこと、③MSCBなど投資家を犠牲にするファイナンスを行わないこと、④成長が見込める業態であること、等を一応の目安にしておりますが、そこから逸脱した銘柄を、思わず買ってしまうこともまだまだあります。LTTバイオに最近こだわり過ぎていることなど、その良い例。

(2)自分の判断や決定(コミットメント)に反する情報を探すこと。同時に、自分の意見に賛同する情報を探すこと。

人は不安になると、自分の意見と同じような情報に頼ってしまう傾向があります。悪いニュースは聞きたくないのです。しかし、それでは単なる思いこみで投資をすることと同じ事になってしまいます。掲示板は雑多な情報が混在しているので、参考までに見ている程度ですが、最近は「情報」や「意見」というよりは、非常に程度が低い投稿や宣伝が増えているので、分割や公募などの情報漏れがないかどうかをざっとタイトルから判断するために、時々眺めるだけにしております。良質なブログを見つければ有効な判断媒体になると思い始めているところ。

(3)情報過多は避けること。重要と思われる情報を選択し、それを集中して分析すること。

個人が情報過多になろうとしても、これはかける時間と人手、そしてシステムの違いから、機関投資家や職業アナリストのプロにかなうわけがありません。これが、私が独自のテクニカル分析にこだわる理由でもあります。相場を取りまく全ての思惑は、結局は日々の数字に表れるものです。しかし、前にも述べたようにテクニカル分析はもちろん万能ではないし、そんなものは作れる訳もありません。しかし、80%方当たればよいと思っております。予期せぬニュースや場全体の急な悪化など不確定要素で上がるはずが下がることはよくあります。しかし、上がろうとしている株は、下げからの反発エネルギーも大きい。そこを読めれば、15日のクリードの底値からの反発にも乗れた筈ですね。

(4)自分のコミットメントとポジションとは無関係な、おなじことをしていない人の情報を求めること。自分のポジション(賭け)をもっている人は、その人にとっての都合のいい情報しかもたらさない。

これは(2)とも関係します。同じことをしていない人の情報を求める、といってもそのような人を探すのが実は大変です。證券会社関係から発信される情報は、いうまでもなく、あまり市場全体にとって悪い話は出さないものです。場が急落する前兆が分かっていても、それでは取引高が縮小し仕事にならないため、「回転が効いているが上値が重くなっている」、などという表現にとどめるのが普通です。そして最後には、「ここを抜ければさらなる高値更新も期待できるであろう」、といった表現を付け加えてバランスを必ずとっているのです。日経の記事のトーンも同じですが、気を付けた方がよいのは、新聞に載るということは、それなりの事態の積み上げがないと記事にならないということです。上がる予兆の段階で新聞ネタになることはまずありません。つまり、話題性を裏付ける事実が積み上がらないと記事にならなりません。ということは、記事が出た段階では、そのニュースはもう旬を過ぎているのが、日々複雑系で動く相場というものではないでしょうか。筆者は豪ドルを少し持っている関係上、ここ2年以上豪ドルに関する日経の記事を目にしてきておりますが、このことを身にしみて実感できております。日経記事と逆の行動をとった方が多くは良い結果が実際に出ているのです。更にいうと、新聞に限らず、メディアは過去に自らが行った予測記事を振り返って反省の記事を載せることは、私は寡聞にして知りません。それをやっていては記事の信憑性がますます失われるからでしょう。ここでも良質なブログなど非公式で利害のないニュースソースに期待するところです。

(5)自分にとって新しく思える情報でも、他の人はすでに知っていて、その情報を折り込んで、今の価格や相場が形成されていることがある。注意すること。

インサイダーでもない限り、自分が知っている情報は、他の人も知っており、その結果、既に株価に織り込まれているという風に考えた方がよいでしょう。そして、注意すべきは、多くの人に知れ渡れば知れ渡るほど、その情報の意味が昂進される(オーバーラン)ということ。つまり、楽観的なニュースはそれが相場では行きすぎる(上がりすぎる)ことであり、逆の悲観的なニュースでは下がりすぎるということ。そこを狙っている方も多い。ローソン参入で下がった九九プラスや、サイバーテロで急落したカカクコムがその良い例。MSCB発行の銘柄もその傾向があるし、業績下方修正ですら、後から下がりすぎが必ず修正されております。この反発タイミングを読むのも、結局はテクニカル分析しかないのではないでしょうか。行き過ぎかどうかを情報で判断するにしても、その情報はもう既に皆に行き渡っているのだから。

(6)自分の意志決定では、そのことの核心が何であるかに集中すること。聞きかじり、ニュース、喧伝(けんでん)される大声のプロパガンダに惑(まど)わされてはならない。

「情報の核心」というのは、なかなかの表現です。先ほどのカカクコムの例では、確かにサイバーテロで一時的な売上は落ちます。ドンキホーテの火災でも、一時的に客足が遠のき売上に影響がでます。しかし、その会社が持っている強みがそれによって損なわれてしまうほどのインパクトがあるかどうかを判断しなければなりません。九九プラスの例でいうと、ローソンが容易にまねができるビジネスモデルならやはり株価調整は長期にわたるだろうし、もし一朝一夕にはまねが出来ないものがあれば、それは、新参者による市場拡大というメリットすら見込めます。これは時間をかけて九九プラスのビジネスを調べなければ、自分で納得できる「情報の核心」をつかむことができません。今のところそこまでの時間をかけてはおりませんが、筆者の経験では、5月24日11時35分の記事でも述べたように、(バイオ)テクノロジーを使った生鮮野菜の生産工場といった方向にいずれは行くので、そこにローソンが目を付けているなら、九九は危ないと見ております。それはバイオ企業をはじめとした異業種との提携や投下資本の総額がものを言うからです。人の行く道と逆の道を行けばいつも勝てるほど相場は甘くないということでもあります。

以上、今日は「情報を得る6原則」を引用し、私のつたない経験を綴った次第。

この項、続く。
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