椎名誠 「おれたちを跨ぐな! わしらは怪しい雑魚釣り隊 」読了
この、「怪しい雑魚釣り隊」は2015年で結成10周年を迎えたそうだ。いまから30年ほど前、ちょうど就職したころ、日曜日の早朝だったと思うが、「わしらは怪しい探検隊」というテレビ番組があって、それが文庫本と連動していて内容も面白くてそれから著者の本を読み始めた。「リンさんチャーハン」というキャンプで食べると恐ろしく美味しいチャーハンが出てきて、それを一所懸命家で再現してみたけれどもちっとも美味しくなかった。
この、「雑魚釣り隊」はその延長線上にあるらしく、やっぱり大人の男たちが旧式、もしくは普通ならそこには持っていかないようなごく普通の道具をたずさえ、食料は魚を釣ってまかなうというキャンプを著者が記録したものだ。
ずっと前、2012年ころにこの本の2作目を読み、これはその6冊目の本になるそうだ。著者が書く文章はやはり歳を経るうちに見事に枯れてきたというか、ものすごくしんみりした文体に変わってきたような気がしていたが、このシリーズでは昭和軽薄体と言われた往年のおもしろおかしい臨場感たっぷりの文体が健在であるというところがうれしい。
著者は隊員たちのことを、愛情を込めて“バカ隊員”などと呼んでいるものの、本当のバカならこんなことはできない。仕事ができる人ほど遊びもとことん遊びつくせる。あの、サラリーマン転覆隊も同じではあるけれども、「雑魚釣り隊」にも一線で活躍しているであろう編集者、IT企業家、法曹家、ミュージシャン、きっと活躍はしていなくても仕事に対する自信と誇りはかならず胸に持っているという人たちに違いない。そうでなければ椎名誠という人とも対峙できないであろうし、外から見ればばかばかしいと思えるようなことを真剣にはできないのである。
「釣り師は心に傷があるから釣りに出てゆく。しかしその傷がどんなものであるかを知らない。」というのは師の言葉であるが、僕にはどうも傷ではなくて何かに対する、それでも何に対してなのかがわからないものに対する後ろめたさがつきまといとことんバカになって突き進めない。サッと海に出てサッと帰ってくるのが精一杯だ。だからこんな人たちを見ると無性にうらやましくなる。
椎名誠は今年で御年73歳。仕事とは言え、確かに普通のジジイがやっているようなことではないような気がする。僕もそんな歳になってもそういうことが楽しそうだと思える心だけは持ち続けたいと思うのだ。
この、「怪しい雑魚釣り隊」は2015年で結成10周年を迎えたそうだ。いまから30年ほど前、ちょうど就職したころ、日曜日の早朝だったと思うが、「わしらは怪しい探検隊」というテレビ番組があって、それが文庫本と連動していて内容も面白くてそれから著者の本を読み始めた。「リンさんチャーハン」というキャンプで食べると恐ろしく美味しいチャーハンが出てきて、それを一所懸命家で再現してみたけれどもちっとも美味しくなかった。
この、「雑魚釣り隊」はその延長線上にあるらしく、やっぱり大人の男たちが旧式、もしくは普通ならそこには持っていかないようなごく普通の道具をたずさえ、食料は魚を釣ってまかなうというキャンプを著者が記録したものだ。
ずっと前、2012年ころにこの本の2作目を読み、これはその6冊目の本になるそうだ。著者が書く文章はやはり歳を経るうちに見事に枯れてきたというか、ものすごくしんみりした文体に変わってきたような気がしていたが、このシリーズでは昭和軽薄体と言われた往年のおもしろおかしい臨場感たっぷりの文体が健在であるというところがうれしい。
著者は隊員たちのことを、愛情を込めて“バカ隊員”などと呼んでいるものの、本当のバカならこんなことはできない。仕事ができる人ほど遊びもとことん遊びつくせる。あの、サラリーマン転覆隊も同じではあるけれども、「雑魚釣り隊」にも一線で活躍しているであろう編集者、IT企業家、法曹家、ミュージシャン、きっと活躍はしていなくても仕事に対する自信と誇りはかならず胸に持っているという人たちに違いない。そうでなければ椎名誠という人とも対峙できないであろうし、外から見ればばかばかしいと思えるようなことを真剣にはできないのである。
「釣り師は心に傷があるから釣りに出てゆく。しかしその傷がどんなものであるかを知らない。」というのは師の言葉であるが、僕にはどうも傷ではなくて何かに対する、それでも何に対してなのかがわからないものに対する後ろめたさがつきまといとことんバカになって突き進めない。サッと海に出てサッと帰ってくるのが精一杯だ。だからこんな人たちを見ると無性にうらやましくなる。
椎名誠は今年で御年73歳。仕事とは言え、確かに普通のジジイがやっているようなことではないような気がする。僕もそんな歳になってもそういうことが楽しそうだと思える心だけは持ち続けたいと思うのだ。