ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

落ち葉舞い、大ボケかます、親子かな

2009年10月29日 | アホな小話
昨日の記事の題名、ここに謹んで変更させていただきます
事情は、UNKOWNさんのコメントと、わたくしの返事の中に
こんなわたくしですが、これからもみなさん、見捨てずに、どうぞよろしくお願いいたします
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落ち葉舞い、大ボケかます、息子かな

2009年10月28日 | アホな小話
「おかん、やってもた!」
「今度はなに?」

冷静を装っているけれど、この手の電話がかかってきたらいつもドキンと心臓が大きく震えます。
けれどもありがたいことに、今回も大した問題では無さそうです。

「財布も免許証もコートもパソコンも、ぜ~んぶ車の中に入れたままインロックしてしもた!」

まずはどこに連絡すべきか。日本でいうジャフはこちらではAAA(トリプルA)。けど、どうしてだか会員証とかが全く見つかりません。
そこで、治療中とは知りつつ、旦那に連絡してみました。
「AAAじゃなくてガイコ(車の保険会社)!」
早速Tに電話して(携帯電話だけは無事でした)、会社の☎番号と会員証ナンバーを伝えようとすると、
「そんなぎょうさんの数字覚えられへん!」
なにも無いのでどうしようもありません。
そこでわたし、「コンクリートになにか書けるもんない?石とか」と聞いてみました。
するとT、「そんなん、オレのアイデンティティばればれやん」……それもそうやな。
そこでT、ちっちゃい石を数字だけ集めるとか言い出しまして、とりあえずわたしは大量桁の数字を言い始めました。
2とか3ならいいけれど、9とかになると、電話の向こうで「ひゃ~」とか言うT。
まったく……親子でなにやってんだか……。
それでもなんとか覚えることができ、息子は保険会社に連絡。この保険会社はこういう時の対処がとても迅速で親切。
無事にアパートに辿り着けたという電話がかかってくるのに、それほどの時間はかかりませんでした。

ついでなので、学校のこと、クラスのこと、11月にあるボストンでのジョブフェアのこと、12月の卒業式などのことを話していると、
「え?卒業式は19日やで」
「そんなはずないわ。卒業式はあんたの誕生日、18日」
「え~、オレ、そんなことメールで送ってないし」
「なにボケてんの!それやったらその日にあるおばあちゃん(旦那母)の70才サプライズパーティ、わたしらも欠席せなあかんやん!」
「そんなこと言われても、19日は19日!」
「もういっぺん予定表確認しなさい!」
「ありゃりゃ?18日やった。オレっちの誕生日じゃ~ん。なんて特別な日なんっしょ」
(なにこの明るいボケ方……)

なんのこっちゃない、19日だと思いっきり勘違いしていたT、だから自分は祖母のパーティに行けないと思い込んでいたそうな。
結局は、トンデモな思い違いが解決して良かったってことですが……Tよ、あんた、マジで12月、卒業できるんやんな、するんやんな
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なまごみなまごめなまたまご

2009年08月18日 | アホな小話
今夜は、治療中にいきなりインスピレーションがわいたということで、旦那がバジルペーストを作り、パスタに混ぜ混ぜしていただきました。
バジルと松の実とパルメジャンチーズとニンニクとオリーブオイルと塩こしょう、これをただただ細かくして混ぜたペースト、メチャうま!

舌もオイルで滑らかになったのか、旦那がいきなり早口言葉を言い始めました。
「なまごみなまごめなまたまご!」
わたしも負けじと「なまごみなまごめなまたまご!」
「でもな、これって何回も続けて言わなあかんねんで」
「なまごみなまごめなまたまご、なまごみなまごめなめたまご!」
「おいおい、たまご舐めてどないすんねん。なまたまご!」
「なまごみなまごめなめたまご、なまごみなまごめなめたまえ!」←かなりやけくそ気味。
「しゃあない、わたしがいっぺんお手本聞かせたるわ。なまごみなまごめなまたまごなまごみなまごめなまたまごなまごみなまごめなまたまご、ん?」

生ゴミなんて言うてたっけか……

ちゃうがな~!なまむぎやがな~!
お後がよろしいようで

はぁ~~~あぁあぁ~~~、またまた始まりましたよ、民謡のお時間。
今日は旦那、なんと患者さんの治療用BGMに、民謡特集CDを使ったそうです。
いくら自分が気に入ったからって……と文句言ったら、みんなスヤスヤ眠ってたで~って……ほんまかいな?
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四月ばか

2009年04月01日 | アホな小話
旦那からの一通目のメール。

I won the lottery!

そして二通目。

April Fool...

aho...


なにがムカついたって、一瞬信じた自分にムカつきました

えぇ~っ宝くじが当たったってことは、ええとええと、家の支払いとかいっぺんで済んで、ほんで日本とかにもスイスイっと簡単に行けて
TとKの学費と生活費もホイホイ払えて、プリウスの2009年モデルとかも買えて、ほんでほんで、シュタインウェイの中古をと……、

ここまできてやっと気がつきました

きっと旦那は、瞬間にせよ、必ずわたしがひっかかることを確信していたのでしょう。二通目には、その自信がありありとにじみ出ています
そこがまた、よりいっそう憎ったらしいです!どっか~んと一発ゲンコツかましたりました。

↑それにしても……ほんの一瞬にせよ、大金が入ったことに対して思い浮かぶ物事のあさましいことよ
ぜぇ~んぶ自分達のための物やら支払いやら……そこにたったひとつでも、人様のために役立てることを、なんてのが入ってたらまだしも……。
もうちょっと人間としての品格が備わるように、修行を積まなければならないようです。

我が家の2009年版四月ばかでした。
ええ、ええ、そうですよ、どうせわたしは四月生まれのばかですよ~だ
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Immanuel KantとWitchの法則

2009年03月06日 | アホな小話
もう今から16年以上も前のお話です。

初めて旦那の実家を訪れることになった、緊張度120%の訪米中の、これまた初めて旦那の親友のお宅を訪ねた時のこと。
地下にあるレンガ造りのオーブンで、自家製のピザの焼き上がりをまだかまだかと待つわたし達、
温かなレンガの壁の周りに集まってビールなんぞをいただきながら、和やかな会話の花がそこかしこに咲いておりました。
その頃のわたしは、英語を聞き取ることがまだまだ難しくて、頭の中に針金が一本ピーンと張ったような緊張感とともに、ただただ聞き役に徹していました。
なのに突然、それがいったいどんなきっかけだったかてんで覚えていないのですが、哲学者カントの名前がパァッと浮かび、これならわたしも話に入れてもらえるとばかりに、勢い良く旦那に向かって「ア、カントね」と言ったわたし。
それまでずうっと黙っていたので、声の大きさの調整がうまくいかず、それは結構そこに居る人達全員が聞こえるほどの大声だったようです。
目の前の旦那は目をまん丸にしたまま固まり、周りの人達もなぜだかマネキン状態に。
「あ、あはは、あははは、まうみってさ、ほら、発音がね、まだちょっと、だからさ、Kantね、ほら、哲学者のKant、あはははは!」
「は、はは、ははは、そうだよねえ、はははは!」

わたしの発音は「cunt」日本名「ま○こ」だったようで、先日のお話ではありませんが、思いっきりの『ポリティカリーインコレクト』だったのですね


さて、そういうインコレクトならお手の物のわたしではありますが、なんぼなんでも生徒の前ではそういうことが無いように気をつけてはいます。
そりゃまあ、わたしも人間ですから、失敗することもまあ、たま~にはあります
最近は特に、その注意力も増し、かなりいい線いってるんちゃう?と自負しておったのに……ああそれなのにそれなのに、

今夜の夕飯の支度をしようとキッチンに行くと、仕事から戻ってきた旦那が開口1番に、
「まうみ、エミリーって子、難しいの?」と聞きました。
「エミリーって、スコットとマイケルの家の?」
「そう」
同じ町に住む3人の兄妹弟トリオを教えていますが、その3人の中ではちょっと教えにくい女の子ではあります。
そこで、「まあ、そんなに難しいってことはないけど、やっぱティーンやから」とお茶を濁していると、
「今日はそこんちのマイケルのアレルギーの治療したんだけどさ、まうみ、エミリーの前でビッチって言ったんやって?」
「はぁ~~~?!」
言うてません、そんなこと、神さんに誓てもええです、絶対に言うてませんって
「大丈夫大丈夫、気にせんでもええって。あの家族、みぃ~んなまうみのことめっちゃくちゃ好きやから。最高の先生やって喜んでたから」
だから、そぉ~ゆぅ~問題やないっつうの!!言うてへんもんは言うてへんっつぅの!!

それからかなり頑張って、記憶の糸のヨレヨレをほぐしながら、必死にレッスン時の自分の言動を思い出してみました。
あっ……
彼女は基本的に、別になぁ~んにもしたくない、努力も嫌いなティーンの女の子。けれども、母親がなんとしても、音楽に携わっていて欲しいと願っていて、
本人のエミリーとじっくり話し合ったところ、歌ならいいかも、というので、最近ピアノの他に、ブロードウェイの歌を歌い始めたのです。
それで……ついこの間、オズの魔法使いから歌を選んでいる時に……魔法使いのウィッチ(Witch)のWを、もしかしたらヴィって読んだ、かも……
んでもって、発音が中途半端とかで、ビッチ(Bitch)に聞こえちゃった、かも……
でもですよ、それじゃなんでその時に、「あ~っ!まうみったら~、ビッチなんて言ってぇ~!」とか言って大騒ぎしてくれなかったのかなあ……。
そうすりゃわたしだって、「ええぇ~っ!そんなこと言うてへんよぉ~、ウィッチって言おうとしただけやんかいな~!」と訂正できたのに……。
きっとエミリー、あのレッスンの後、母親にコソコソ、兄弟にコソコソ、ほんでもって夕飯時には家族中でガハハ!なんちゅう教師だぁ~なんて盛り上がり、
それを今日、マイケルの治療に付き添ってきた母親ニーナが、楽しそぉ~に旦那に話した、というわけですね。
その部屋に居たマイケルは、その話を聞いている間どないしてたん、と聞くと、彼もニヤニヤ、とっても楽しそうだったと……。

再びの、思いっきりの『ポリティカリー インコレクト』だったのですね
外国で、その国のネィティブさんに囲まれて外国語を話す時には気をつけましょう、ね、みなさん
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お得なクーポン券

2009年02月13日 | アホな小話
我らがコメント頭領のハッピーが、こてこての名古屋弁を披露してくれまして、それを声に出して読んでいるうちに、パァッとよみがえった思い出のお話です。

母方の親戚は大阪、父方の親戚は大阪と三重県。そんなんで、わたし達家族は大阪と三重県を行ったり来たり、よく引っ越ししました。
三重県は名張市という町に住んでいましたが、どういうわけなのか(ほんとはかなりしょーもない理由をいっぱい聞いて知っています。でも、あまりにしょーもないのでここでは内緒です)隣りの上野市(現在の伊賀市)と仲が悪く、
少なくともわたしの周りの大人達は、よほどの用が無い限り、上野方面に足を運ぶことがありませんでした。
そして、なぜだか上野とパックになって、名古屋方面にも行きたがらなかったんですね。上野市の連中は名古屋によく行くから、みたいな感じでしょうか。
というか、事実、名張からは大阪の方が断然行き易かったんですね。上野に行くのと同じ時間電車に乗ってると着いてしまいましたから。

そういう、そこの地域に根強く漂っている偏見ガスってのは、毎日そこで暮らしていると必ず吸い込むので、じわじわと血に染み込んでしまいます。恐い恐い。
なので、上野にある高校に進学するまでは、上野と名古屋は禁断の町だったわけです。

わたしは多分、高校生だったと思います。どうしてその日、名古屋に行かなければならなかったのか、それがどうしても思い出せません。
でも、とにかくその日、決死の覚悟で名古屋行きの近鉄急行に乗って出かけました。
その頃には上野市で住み始めて数年経っていたので、偏見ガスの血液濃度も徐々に薄まり始めていました。
なんや、上野って全然恐ないやん。~やんか→~やして、~やわ→~やしてに変わるのはちょっと気色悪いけど、別におんなじようなヒトが住んでるやん。
ってなことで、名古屋にも行ってみる勇気が出たのかもしれません。

駅ビルから外に出てみると、斜めに2本、変な形をした白っぽい柱が立っていて、へ?と思いながら見上げていくと、ゲゲッ!!デカいマネキン?!



そこで一気に引いてしまったわたし。なんでこんなもんがこんなとこに立ってるねんやろ?この人形の股くぐりしたらご利益があるとか……、
なんて、ブツブツ考えながら、目はマネキンの顔を見上げながら近寄っていくと……「ねえ君」、ギクッとして声のした方を見ると、イケメンのお兄さんがニコニコ顔で立っていました。
「今時間ある?5分、あ、多分10分ぐらいになっちゃうけど、それって君に無理言っちゃうことになるのかなあ~」
お兄さんはそう言う間もずっとニコニコ、とっても爽やかな笑顔を絶やさないまま小首をちょっと傾げてわたしをじっと見つめています。
「え……っと、5分ぐらいなら多分……」
「そぉ~!ほんとっ!ありがとう!いやあ、君、そのスカート可愛いねえ、すごく君に似合ってるよほんと。いや、もちろん君も可愛いよ」
「いえ、そんな……」
「だってさあ、ボク、ずっと向こうに居る時から目に入っちゃったもん。あ、可愛い子だな、話できるかなって」
「……」
「あのね、簡単なんだ、話っていうより、ボクの質問に答えてくれたらいいだけ。もしかしたら5分もかかんないから、そしたらもっと君のこと聞きたいな~なんちゃって……」
もじもじしているわたしの横で、お兄ちゃんはゴソゴソ、ショルダーバッグから用紙の挟まったボードを取り出しました。
「ええっと、まず第1問。あなたは旅行が好きですか?」
「あ、はい」
「では第2問。あなたは甘い物が好きですか?」
「はい。でも……」
「でも?」
「ニッキが入ってるのは嫌いやけど……」
「ニッキ?」
「ええと、生八つ橋とかの」
「なんかいいなあ……関西弁、ゾクゾクしちゃうよボク」
なんて調子で始まった問答、気がつくと30分以上時間が経っていました。
いったいなんでこんなことに答えてるんやろ?と、その頃になってようやく思い始めたわたし。
「あのぉ~、そろそろわたし……」
「あ~っ!ごめんごめん、君とおしゃべりしてると楽しくってついつい、ごめんね~すんげ~延長しちゃってたね~」
「いえ、別にそんなこと……」
「ね、ちょっとここで待ってて。ボクさ、君の答をあそこに居るボクのボスに伝えてくるから。彼はね、すごい人でさ、滅茶苦茶お得なクーポン券、いっぱい持っててね、その人その人にピッタンコのクーポンを選べるんだ。それを今、君のためにもらってくるから、ね、いいね、動いちゃだめだよ。待っててね」
お兄ちゃんがダッシュして行く方向に、サングラスをかけた、お兄ちゃんよりはちょっと年長風の男性が立っていました。
お兄ちゃんから一言二言聞いた男性がわたしの方を見たかと思うと、2人揃ってこちらに向かって来ました。

さて……それからどうなったか……。
なぜだかそこから記憶が途切れているんです。あ、だからといって、クロロホルムを嗅がされてどこかに監禁?!みたいなことでは無く、
男性が何かをわたしに話しかけ、お兄ちゃんがウンウンと頭が外れるかと思うくらい大きく頷き、2人に挟まれたまま、路地裏のプレハブの建物の中に入ると、そこには小さな机を挟んでパイプ椅子に座っている若者と、お兄ちゃん風のお兄ちゃん達がいっぱい居たことは覚えています。
お兄ちゃん達と若者達の間の机の上にはピンクやブルーの用紙が置かれていて、お兄ちゃん達はひたすら説明をし、用紙のあちこちを指差したりしていました。
何を押し売りしていたのか、全然覚えていません。でも、それは、高校生だったわたしには未経験の、アンケート調査で釣れた無知な若者に、高額な商品をローンで買わせる、なんとも恐ろしい集団でした。

結局わたしは高校生で、ローンなんて組ませることもできん役立たずってことで、男性が胸ポケットから出してきたクーポン券の冊子を1冊1500円で譲ってあげるってことになりました。
もう恐くて、その場所から即刻出たくてたまらなかったわたしは、「じゃあ1冊お願いします」と言って財布を出すと、
「あのねえ~、君のためにボクら、こ~んなに時間使っちゃったんだよぉ~。1冊だって?冗談だろ?ね、今いくら持ってんの?」
「えっと……5000円」
「5000円か~、じゃ、3冊譲ったげるよ。こんなお得なクーポン、友達に見せたらさ~、売って売って~って群がっちゃって、大もうけできるかもよ~」
膝をガクガク震わせながら、3冊受け取ってしまいました。財布の中には百円玉と十円玉しか残っていません。

へとへとに疲れました。頭もじ~んと痺れていました。また巨大マネキンの近くまでトボトボと歩いて戻りました。
やっぱり名古屋は恐いとこやった。来たのが間違いやった。ああ恐かった。
マネキンの足にもたれて息を整えていると、少しだけ胸のドキドキが治まってきました。
落ち着いてまわりを見回してみると、わたしと同じように呼び止められている若い子が何人かいました。
あかんあかん!立ち止まったらあかん!
わたしは心の中で叫びながら、それでもなんにもする気力も無くて、ぼんやりと近鉄の駅の方に歩いて行きました。
切符売り場まで来て、そこで初めて、500円では家までの電車賃が足りないということに気がつきました。
どないしょ~
名古屋には知り合いも誰もいません。知り合ったのは、あの世にも恐ろしい詐欺師集団だけです。
考えました。うんうんと文字通り唸って考えました。
(よし、やっぱりこれいりませんって言うて、お金返してもらお)
もう一度、マネキンの付近まで戻り、彼らの姿を探しましたが、仲間は居ても彼らは居ません。恐々プレハブの方も覗いてみましたが、やはり見つかりません。
お昼近くに名古屋に着いたのに、もう夕暮れ時になり、お腹はぺこぺこ、足はへろへろ、心はくたくたになって、それでも物陰に隠れて待ちました。
辺りが薄暗くなった頃、突然彼らが戻って来たのを見た瞬間、わたしはもうなにも考えずに彼らに向かってダッシュしていました。
「すみません、わたし、家に帰る電車代が無くなっちゃったんです。だから、これ、返しますから、お金返してください!」
チッという舌打ちする音が聞こえました。「田舎っぺが」という小さな声も聞こえました。2人とも、顔つきまですっかり変わって不細工に見えました。
「あのね~、君に譲ってあげた時点でさ、ナンバーが向こうに登録されちゃってるんだよね。だからさ~、そう簡単にハイそうですかって訳にゃいかんのよ」
「でも、返してください!電車に乗れないですから」
「ったく……これだから……」

1冊だけ買ったことにしてもらいました。3千円を返してもらい、そのまま脇目もふらずに電車の駅に行き、とにかくなんでもいいからそこから離れることができる電車に乗りました。
電車の窓から景色を眺めながら、アホ!アホ!アホ!アホ!と、ずっと自分で自分を責め続けました。

家に戻って、かなり落ち着いてから、鞄の中に押し込まれてくしゃくしゃになったクーポン冊子の中を詳しく見てみると、
絶対に行きそうもない土地のホテルの割引や、スキー用具の割引などがペラペラの紙に印刷されていました。

大人になって、ヤマハ講師になり、研修のために名古屋に頻繁に出かけるようになり、名古屋にも同じような普通の人が生きていることを知るまで、わたしの名古屋恐はかなり強烈に続いたのでした。

長い長い思い出話でした。ここまで読んでくださったみなさん、ほんとにどうもありがとう。
巨大マネキンさんには『ナナちゃん』という可愛い名前がついているそうです。
誤解の無いように追加しておきますが、今では名古屋はわたしにとって、大好きな友達が住む町として、なんの偏見も恐怖もなく、喜々として訪れる町です。
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いたずら好き

2009年01月10日 | アホな小話
キッチンテーブルの上に、なぜだか上下逆さまになったマグカップがポツン。

そして、もっとなぜだか、とっくにお眠な時間のはずの旦那が、両肘をテーブルについて、なんの用も無いのに座っています。

そこにTがやって来ました。

「喉乾いたやろ。なんか飲んだら?」と旦那。
「いや、別に」とT。
「けど、飲んだ方がええと思うけど」
「なんでやねん」

旦那の視線が……その逆さまカップに。

「なんで逆さまになってんねん」とT。
「さあ……」と旦那。怪し過ぎ。

逆さマグの下には、茶色のゴキブリのおもちゃが隠されていたのです。
息子にしっかり無視されてしまった旦那。「まったく……」と言いながら深いため息をつくT。

少しして、もう一度キッチンに行くと、逆さマグは逆さではなくなっていて、ゴキブリも消えていました。
またいつか、すっかり忘れた頃に、ヒェッと驚かされるに決まってます。

「ちょっと、あのゴキブリどこよ!」と、旦那の寝室のドアの前で怒鳴ってやりました。
「それは僕だけのひ、み、つ……ヒヒヒ
深いため息をつくわたしなのでした……


ゴキブリの前は、鍼灸学校に行ってた頃に、生徒みんなが持っていた、全身のツボを赤や緑や青の点々で記されている、裸の等身大の人形でした。
ビニール製で、風船のように息を吹き込んで膨らませるのですが、その彼の顔がなんとも……なぜかニヤニヤ笑っているというか、暗い所で見たらちょっと声が出てしまう類いのお顔だったんです。

それを旦那は、ふうふう無駄な息を吹き込んで膨らませ、照明の消えた寝室やクローゼットに隠し、わたしが入って来るのをまだかまだかと待っていたのです。
なんかふっくらしてるなあと思いながら、さあ寝ようと布団をめくるとバ~ン!
真っ暗なクローゼットに入ろうと電気をつけたらジャ~ン!
お~の~れ~!!

ニタニタしながらグロい人形を膨らませている旦那の姿を想像すると、ますます腹が立ってしまったものです。

もう40も過ぎたんだから、ちょっとは大人になってもらいたいもんです
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ピラテス

2009年01月06日 | アホな小話
エクササイズという方面では三日坊主クィーンのわたしが、奇跡的に2年以上も続けているのがピラテス。
旦那のオフィスがあるビルで教えている女性に、ちょっとやってみたら?と誘われて始めたのがきっかけでした。
クラスの人数が少ない上に、2人のインストラクターが丁寧に教えてくれたのは良かったのだけど、やっぱり会費が我が家的には高額だったので、YMCAのクラスに移りました。

大抵のことはできるのだけど、なぜか腹筋運動がメチャかっこ悪いわたし。
ブラスバンドに入ってた時なんか、腹式呼吸のために、なんていって、スイスイ起き上がれていたのに、一度仰向けに寝たが最後、二度と起き上がれません?!
まるで裏返された海亀。手と足と首だけがバタバタと空しく空を切り……。
結構見てる人にはおもろいかも……なんて、かなり自棄自暴になってます。

さて、それはともかく、そのクラスに1度、とんでもないことが起こりました。
クラスには、誰でも、いつからでも入れます。運動用のマットもいろんな小道具もすべて揃っているので、何一つ用意する必要もありません。
ただ、運動に適した服装だけは、まあ、常識として、ねえ……。
ところがある夏のこと、超ミニスカート&へそ出しタンクトップでやってきた若い女性、てっきり見学しに来たのかな~と思っていたら、
えぇ~!マジっすかぁ~
クラスのど真ん中にマットを敷いて、最初のストレッチをおもむろに始めちゃったのでした

わたしはたまたま彼女の後ろに位置する所に居て、彼女の横にはピーターという常連さんの男性も居て、
大股開きで堂々と背を伸ばす彼女を唖然として見つめていました。

なんというか、運動着でやってても、種類によってはちょっとね……というのがあるのに、もう強烈に堂々と展開される超刺激的ポーズ。
わたしの弟がもしここで居たら、鼻血が二本、滝のように流れてるやろな……と思いながら、どうしてもついつい目が一点に
結局素知らぬ顔で彼女はすべてのポーズを終え、ピーターは途中退場、彼はその後、しばらくの間クラスに復帰してきませんでした。
こちらの男性って、映画とか雑誌とかで吹聴されているのとは違い、みんなシャイなんですね。
なんせ、『鼓童』というグループの和太鼓の演奏会で、最後に演奏者がふんどし姿になったりすると、客席のみんなが一斉にうつむいてしまうんですから。

とにかく、その事件を早速帰ってから旦那に話すと、お腹を抱えて大笑いしてから、「また来るかな」とポツリ。
「また来たらどないやっちゅうねん」とギロリとガンつけるわたし。
「いや、別に」とすっとぼけるスケベ野郎。
「でもさ、いったいどんなポーズとるん?」という旦那のリクエストに応えて、いろいろと見せたら、ヒィヒィ泣きながら笑てました。
もし興味がおありでしたら、ネットかなにかで検索してみてください。
そのポーズを、ビキニパンツ丸出し、しかも上はブラだけ、みたいな格好でやったとしたら……。

気の弱い方、興奮し易い方、想像力豊かな方はご遠慮ください。

ほんまにあの彼女、いったいなんのつもりであの日、あそこに、あんな格好でやって来たんでしょうか。
今も、誰にも答が出せない伝説の謎です。
そして今も、まだひっくり返された亀さんやってるわたしです
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プッシー&プッシー??

2008年11月02日 | アホな小話
夕飯食べてホッと一息入れながら、旦那と今日のことを話しておりました。

今日の会場を作ってくれた家族の娘、ジュリアのレッスンを、来月1ヶ月無料にしたいと言ったのだけれど即刻却下!
「やっぱり上手な言い回しできんかったからかなあ」、という話になり、
「まあ、ああいうことはネイティブの僕でもうまく言うのは難しいから」と、珍しく慰めてくれる旦那。
「でもさ、やっぱりあんまりプッシーに言うのも……」と、ここまで言った途端、大きくのけぞる旦那の姿が。
ど、ど、どないしたん?!

「あんなあ、プッシーちゃうって、プッシー!」
そんな叫ぶなっちゅうに……。
「プッシー」
「ちゃうちゃうっ!プッシー!」
なにマジ真剣なってんのですかぁ~?

どうやらわたしが『押しつけがましい』の意味で言っているつもりのプッシーは、『女性のアソコの俗称』の発音のようです。
それからなんべん言い直したか。「プッシー」「ちゃう、プッシー」「プッシー」「も~ちゃうって、プッシー」
ssとshの違いってのが、どうしてだか苦手なわたし。RとLは大丈夫なのに……。

「もうプッシーっていう言葉使わんとき。危な過ぎやから」
と捨て台詞を残して部屋から出てった旦那。

しばらくすると、ビールを飲みながらシアトルに住む弟に電話をかけていた旦那がやってきてニヤニヤ。
ふ~ん、あんたの企んでることなんかミエミエじゃわい。ま、ええか、ノッたるわ。
「ちょっとおもろいの聞かせたるわ。はい、まうみ、用意はいい?、She is a little」
「プッシー!」←もちろんpushyのつもり。決してpussyではございません。
おいおい、スピーカーフォンやないのに聞こえ過ぎ。そぉ~んな大声で笑わんでもええんちゃいます?

うぅ~、練習してやる。RとLの時みたいに、めちゃんこ練習して、君達をアッと言わせてみせようではないか。
まあ、アッと言うてもらうほどのことでもないのですけどね。

ああめんどくさ。ほんま、ちょっとぐらい音が違たって、まあそういう意味やろなって理解するのが男の優しさちゃうん?
でもまあ、この言葉に関しては、間違って言うととんでもなくアホに思われてしまうので、やっぱ注意してもらうべきかもね。

そうや、クリスマスの寸劇にしよっと
……………深いため息をつく連れ合い



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真っ赤な北海道

2008年10月15日 | アホな小話
久々の運動の後は、覚悟してた通りの筋肉痛(筋肉ってあったのね)。
今日はその痛みを取り込んでしまわないように、ストレッチしまくらなくてはなりません。
今朝、朝ご飯を食べ終わり、立ち上がって伸びをしていると、
「あれ?昨日、そういえば生理になったんとちゃうの」と旦那が言いました。
「なったよ」
「で、ピラテス行ったんや」
「行ったけど?」
「ふぅ~ん……」意味深な響き……あ、ヤツがなにを考えているか分かりました。

わたしがピラテスを始めたきっかけは、旦那が仕事をしているCENTER FOR HEALTHY LIVINGで開催された健康フェア。
そこで知り合ったピラテスのインストラクターさんの勧めで始めてみたら、珍しく自分に合いそうな気がしたんですが、
如何せん、彼女のクラスの受講料が、わたし的予算からいうとちょい高!なので、格安なYMCAに転校?したのでした。

YMCAでは、朝の5時半から夜の9時まで、覚えきれないほどの種類のエクササイズクラスがありますが、
どのクラスも、なんでやねん?と来てる人に聞きたくなるほど満員?!びっくりです
マットやボール、それからダンベルでもなんでも、クラスに必要なものは無料で借りられるのだけど、
なんか、こんなこと言うとあかんのかもしれないけど、マットがどうしても臭うんですねえ、たくさんの汗を吸って
なので、マットだけは自前のを使おうと決め、腰と膝がすぐ痛くなるので、肉厚のピラテス用とかいうマットを購入しました。

さて、底抜けに明るいインストラクターメリッサのクラスに通い始めて1年が過ぎた頃、その凄惨な事件は起こったのでした。

わたしは今、生理がそろそろ終わるかな、まだ終わらんのかな、の時期に居る(つもり)更年期予備軍です。
まだホットフラッシュという、寝ている最中に理由もなく、理不尽なほどに大汗をかくという体験は1回だけ。
まだまだひよっ子のかわいい?おばちゃんです
まあ、旦那の方はそうは思ってないと思いますけどね。
なにやら、生理の前の数日間はかなり荒れる、というか、いつでも荒れる用意が整っている、というか、これまでにも増して迫力満点なんだそうです。
確かに、ここ数年は、生理前になるとなんとも言えない気怠さに覆われてしまいます。
指でちょっと押されたら、その場でコテッと寝ちゃいそうな眠気もあります。
テーブルを拭こうとする旦那が、布巾をちゃんと絞らないのを見た途端、おらぁ~!しっかり絞らんかいっ!と心の中で叫んだり。あ、これは生理とは関係ないか……ハハハ。
そんなんで、生理の内容そのものも変化してきておりまして、微妙に予測が付かない事もあったりするんですね。

その日は、生理が始まってからすでに4日が経っていて、わたし的にはほとんど終わっておりました。
ピラテスのクラスが始まり、ブロックを挟んだ両足を上げ、お尻をクイックイッと上げる運動が終わった時に違和感が……。
その後仰向けに寝転んだままの運動が各種続き、足を突き上げたり開いたり、運動と運動の間にチャイルドポーズで休憩したり、
そしてついに、テーブルのポーズという四つん這いになった時、わたしはそれを見てしまいました。
血染めのマット
水色の、それまで何の変哲も無かったマットの真ん中に、直径15センチはあろうかと思われる真っ赤な北海道
そして、所々に、飾りのように、真っ赤な離れ小島が
ウギャ~!!とばかりに立ち上がったわたし。びっくりする周りのメンバー達。
やっと気がついたのね、と言いたげな、わたしの後ろ側でやってた女性の方々。
クラスの部屋は大きくて、下手すると30人以上はいるんですね、そこ。
わたしはほぼ、その集団の真ん中に居りまして、男性もちらほら居るんですが、後方ではなかった……救われました
でもね、見られちゃってたんですよね、やっぱり
お尻突き出してたもんなあ、しっかり……ちょっと変やなあと思いながら……思たその時に確かめろよおまえ

そんなことあるわけない。
ってことが起こりがちなのがわたしの人生。
それをいつだって肝に銘じとかなあかん!

そんなことを遅ればせながら言い聞かせ、マットをゴシゴシ、パンツをゴシゴシ、車のシートをゴシゴシ、隠れ蓑に使ったコートをゴシゴシ、

ほの悲しくも切ない(どこがやねん?!)思い出なのであります


コメント
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