当時わたしは、某音楽振興会の某地区の中ではちょいと名の知れた、小さなお山の大将でした。
もともと優秀だった子が、もともとの力を発揮していただけなのに、その子達を担当してるからってんで、
振興会から『核講師』なんていう物々しい名前をいただき、無料だけど、外出一切禁止の厳しい教習なんかも受けたりして、
自分もすっかりその気分、他の講師から見ると、きっといけ好かないバリバリ女だったんだろうなあ。
けれども、そんなことをおくびにも出さずに、研修に出かける車中や、会議が終わってからのお茶タイムには、
わたしにいろんなことを聞いてくれたり、わたしの経験談(いわゆる自慢話ですね)に耳を傾けてくれたり、
後輩の講師達の、その時の真剣な眼差しを、わたしは今も覚えています。
ある朝、かなり早い時刻の近鉄特急に乗り、講師仲間と研修を受けに名古屋まで行きました。
その日の車中も、何の話だったかさっぱり忘れちゃいましたが、なにやら熱く語っていたわたし。後輩達の頷く姿に満足満足。
電車が名古屋駅に到着して、改札口に急いでいると、後ろから「先生、先生、」と呼び止められました。
「なに?」
「あの……なんかヒラヒラしたのがそっから……」と、彼女が指差す先はわたしの右足のくるぶし辺り。
自分の足下なのに、しかも、彼女の指摘通り、なにやら怪しくヒラッとした物も見えるのに、さっぱりよく分かりません。
「なんやろコレ?」と言いながら、怪しい物を指で掴んで引っ張りながら歩き始めたわたし。心配そうに見守る後輩達。
なかなか動かないそのブツがわたしの引っ張る力に負けて動き出した時、背骨のあたりにスウッと冷たい風が……。
イヤな予感……。わたしの人生に比較的よく吹く風です。
そのブツは、わたしの引っ張りに抵抗しきれず、左のスネから腿を経て股を通過、
そしてわたしの右足の腿からスネを通過して、晴れて世間(名古屋の朝の込み合ったプラットホーム)に姿を現したのでした。
わたしの右手にしっかり掴まれていたのは、昨日履いてたよれよれのパンティストッキング。
わたしを囲む後輩達のあの時の表情。目が点になる、というのを映像でくっきりと見た瞬間でした。
無精なわたしは、その日の前日まで、蛇の皮脱ぎという技を駆使して着替えておりました。
住んでいた地域が寒かったというのは都合の良い理由。めんどっちいので、パッと脱いでパッと着られるのが気に入ってたんです。
なので、下着のパンツ+パンティストッキング+ウールのパンツをひとまとめになんて当たり前、
次の日に着る時に、ばばちくなって洗わなければならないのだけをシュッと抜き取って、またまた重ね着してました。
その日はたまたま寝坊して焦ってたってこともあり、ばばちくなったストッキングを抜くのを怠ったんですね。
その日の晩から、もちろん、1種類ずつ脱ぐようになりました。
人間って、失敗を重ねて学び成長していくんですね。
話はその2に続きます。多分……いつか……。
P.S.
昨日、かなりしんみりした気分でベッドに入ろうとした時、すでに深い眠りに落ち入っていた旦那がこう言いました。
「あ、乾電池あらへんわ……」し~ん……。
ありがとうよ旦那。あまりにもアホらしくてワケ分からんくて、気分がちょびっと救われただよ。
もともと優秀だった子が、もともとの力を発揮していただけなのに、その子達を担当してるからってんで、
振興会から『核講師』なんていう物々しい名前をいただき、無料だけど、外出一切禁止の厳しい教習なんかも受けたりして、
自分もすっかりその気分、他の講師から見ると、きっといけ好かないバリバリ女だったんだろうなあ。
けれども、そんなことをおくびにも出さずに、研修に出かける車中や、会議が終わってからのお茶タイムには、
わたしにいろんなことを聞いてくれたり、わたしの経験談(いわゆる自慢話ですね)に耳を傾けてくれたり、
後輩の講師達の、その時の真剣な眼差しを、わたしは今も覚えています。
ある朝、かなり早い時刻の近鉄特急に乗り、講師仲間と研修を受けに名古屋まで行きました。
その日の車中も、何の話だったかさっぱり忘れちゃいましたが、なにやら熱く語っていたわたし。後輩達の頷く姿に満足満足。
電車が名古屋駅に到着して、改札口に急いでいると、後ろから「先生、先生、」と呼び止められました。
「なに?」
「あの……なんかヒラヒラしたのがそっから……」と、彼女が指差す先はわたしの右足のくるぶし辺り。
自分の足下なのに、しかも、彼女の指摘通り、なにやら怪しくヒラッとした物も見えるのに、さっぱりよく分かりません。
「なんやろコレ?」と言いながら、怪しい物を指で掴んで引っ張りながら歩き始めたわたし。心配そうに見守る後輩達。
なかなか動かないそのブツがわたしの引っ張る力に負けて動き出した時、背骨のあたりにスウッと冷たい風が……。
イヤな予感……。わたしの人生に比較的よく吹く風です。
そのブツは、わたしの引っ張りに抵抗しきれず、左のスネから腿を経て股を通過、
そしてわたしの右足の腿からスネを通過して、晴れて世間(名古屋の朝の込み合ったプラットホーム)に姿を現したのでした。
わたしの右手にしっかり掴まれていたのは、昨日履いてたよれよれのパンティストッキング。
わたしを囲む後輩達のあの時の表情。目が点になる、というのを映像でくっきりと見た瞬間でした。
無精なわたしは、その日の前日まで、蛇の皮脱ぎという技を駆使して着替えておりました。
住んでいた地域が寒かったというのは都合の良い理由。めんどっちいので、パッと脱いでパッと着られるのが気に入ってたんです。
なので、下着のパンツ+パンティストッキング+ウールのパンツをひとまとめになんて当たり前、
次の日に着る時に、ばばちくなって洗わなければならないのだけをシュッと抜き取って、またまた重ね着してました。
その日はたまたま寝坊して焦ってたってこともあり、ばばちくなったストッキングを抜くのを怠ったんですね。
その日の晩から、もちろん、1種類ずつ脱ぐようになりました。
人間って、失敗を重ねて学び成長していくんですね。
話はその2に続きます。多分……いつか……。
P.S.
昨日、かなりしんみりした気分でベッドに入ろうとした時、すでに深い眠りに落ち入っていた旦那がこう言いました。
「あ、乾電池あらへんわ……」し~ん……。
ありがとうよ旦那。あまりにもアホらしくてワケ分からんくて、気分がちょびっと救われただよ。