ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

ホッケの一夜干し

2008年10月25日 | 家族とわたし
この二日間、寝る前に咳止めのツボにマグネットを貼って寝ています。
ベッドに入ってから体が温まってくると、少しの間だけ乾いた咳が出るけれど、眠ってからは咳で起こされることはありません。
おかげで、朝まで続けて眠れるようになりました。
まだ首の付け根の周りに、風邪菌がべったり居座っているようで、耳や鼻の奥がボォ~ッと熱くてだるいです。
なんだか、ぬるめのお湯にずうっと浸かっているような感じで、軽い湯あたりでもしてるような……。
これがほんとの温泉だったらええねんけどなあ……。
旦那も、こんな長い風邪はまうみとしては珍しいと感心?しています。
わたしもそろそろ飽きてきたので、今日の仕事が終わったら、本格的な鍼治療を旦那に頼もうと思っています。
一家に一台、いや一人、鍼灸師

昨日、熱々のホッケを2人でつついているところに、息子Tから旦那に電話がかかってきました。
旦那の携帯から時々漏れて聞こえるのは確かにTの、ちょいとハスキーなボソボソ声ですが、英語でしゃべっています。
この夏以降から彼が乗っている日産のスポーツカーは旦那の父親のお下がり。御年20才のポンコツ、いやもとい、アンティーク。
それが突如全く動かなくなり、調べてもらったところ、ギアを全面的に替えないといけないそうで、それの相談でした。
英語で話す2人の声を聞きながら、そしてもちろんホッケをつつきながら、わたしはちょっと感動していました

息子Tが旦那と一緒に暮らし始めたのは、彼が5才の時でした。
それから去年までの15年間、彼と英語(言葉としてだけではなく、英語から派生する事柄や人間関係も含めて)は葛藤をし続けてきました。
こちらに移って来たのは彼が13才の時。それからたった5年で大学に入り、難しい学科を学んでいる彼の英語力は、わたしなんかの比ではなく、相当進んでいるはずです。
でもTは、旦那と話す時、あるいは旦那の質問に答える時、絶対に英語を使いませんでした。たったの一言もです。
日本に居た時、わたしが軽く英語で彼に話しかけたりすると、「日本人のくせに英語なんか使うな!」と怒鳴って抗議しました。
どちらかというと物静かで、自分が人に嫌がられないように気を遣い過ぎてしまう傾向があるT。
この子なりに、口には出さないいろんな感情が胸の中に渦巻いていて、それが時々言葉になって飛び出してくるんだろうな。
そう思って、Tの心の渦巻きがいつか小さくなって、本人でさえもあまり気にならないようになるまで待つことにしました。

そして今年、もういつだったか忘れてしまいましたが、それも電話の声でした。旦那の携帯からTの英語が聞こえてきました。
「英語、しゃべってたやん、T」
「うん、英語やったな」
旦那もわたしもしばらく無言でした。

それから後、どんどんエスカレート?してきて、メールはもちろん全文英語、わたしのアドレスにも英語?なんでやねん?
とてもカジュアルで自然な英語だそうで、旦那はかなり嬉しがっています。
三年寝太郎どころか、十五年寝太郎と花子だったわたし達。
でも、それほどの時間がかかるぐらい、彼にとっては大変なことだったんだろうなあと思います。

電話を切ろうとするTに、「あ、ちょっとちょっと」と慌てて日本語で言う旦那。
何事かとわたしも耳をすましていると、
「あんな、今、おかあさんとホッケ食べてんねん。めっちゃうまいで~
うちから遠く離れ一人暮らしをしている息子に、しかもホッケが大好物の……どもならんな、このオッサン……



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« さらにつけたし | トップ | 雨降りのひとりごと »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。