ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

米国『小さな町の小さな床屋さん』事情

2024年10月08日 | 米国○○事情
夫はかれこれ10年以上、この床屋さんで髪の毛を切ってもらっています。
理髪師さんの名前はフレディ、御年78歳のバリバリの現役です。
夫は店から戻ってくると必ず、順番待ちをする客たちや世間話をしにくるだけの常連たち、そしてもちろんフレディのその日の様子をわたしに話すのですが、最後にいつも「まうみも行って見たらいいのに」と言うのです。
そんな、髪の毛を切ってもらうわけでもないのに、夫にくっついて見に行くだなんて変じゃないのか?
と思いつつ、話を聞きながら想像していた世界と比べたくなって、とうとう一緒にお店に入らせてもらいました。

壁一面の写真、今はもう用済みとなったバーバーチェアに陣取り世間話に花を咲かせる常連さん、自分の番をひたすら待つお客さん、そしてフレディ…。


冒頭の写真は新聞の切り抜きです。『一部の本物のイタリア人にとって、ソプラノズは核心を突いている』(めっちゃ直訳😅)と書かれたタイトルのすぐ下に、20年ばかり若いフレディが写っています。
アメリカのテレビ界の歴史を塗り替えたとも言われているドラマ『ソプラノズ』の最後のシーンの撮影が、フレディのお店の真向かいにあるダイナーで行われた際の取材記事のようです。
このドラマは伝説のドラマとして今も君臨していて、6シーズンの間にエミー賞でのノミネートは96回、6年間でのべ18部門を受賞しました。
ドラマの紹介文には、マフィア=現代社会のダークサイドを過激なリアリズムと知的なブラックユーモアで描いた怒涛のヒューマン・ドラマ、などと書かれています。
わたしは10代の頃から20代後半まで、日本のヤクザさんたちに散々な目に遭わされたので、今でもとても強い拒否反応があって、ドラマでも映画でも、ヤクザやマフィアが登場するものは観ることができません。
それがちょっと残念。

話がそれましたが、フレディをはじめ、このお店の常連さんたちはイタリア人。
夫は散髪が必要になるとまず、彼のお店の混み具合を調べに行き(フレディがお客一人にかける時間はほぼ20分)、髪をカットしてもらうかどうかを決めます。
散髪代はたったの14ドル、夫はチップ込みで20ドル払います。
フレディはお客たちと陽気に話をしながら、コームで掬い上げた髪をハサミでチョキチョキと整えていくという動作を、毎日朝から夕方まで延々と繰り返します。
たまによそ見をして切り残しがあったりしますが、なにしろ14ドルですし、夫は細かいことに無頓着な人なので、全体的にすっきりしていればそれで良し、めでたしめでたしなのでした。

フレディは、散髪中にもかかわらず、わたしの腕をとって写真の前に連れて行き、犬や猫と一緒の写真がいっぱい貼ってあるのを指差して、「僕は動物が好きなんだ、とりわけ大きなサイズのね」と言って特大のウィンク😉。
中に羊が写っているのもあったので、「羊も飼っていたの?」と聞くと、「ああ、これは合成写真だ、ワハハ!」とフレディ。


何百と並ぶ写真は彼の人生そのもの。ずっと見ていても見飽きることはありません。

誰の毛髪か、もはや全く区別がつかない床😅。


フレディ、これからもよろしく!

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