わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 107 陶芸での失敗事例11?

2015-04-06 22:45:40 | 素朴な疑問
7) 施釉の失敗事例。前回の続きです。

 ⑥ 釉を掛けの失敗例。

   釉を掛ける際作品を破損する。生の釉は同じ様な色の物が多く間違え易い。施釉の際釉の中に

   作品を落とす。流れ易い釉を厚く掛け過ぎ、棚板まで流れる。畳付きや底の釉を剥がし忘れる

   蓋物の蓋が取れなくなる、又は蓋が合わない、その他色々な失敗があります。順次述べたいと

   思います。

  ) 釉掛けの際、作品を破損する。素焼きまでは問題なかった物が、施釉する段で破損する

     事が時々起こります。

   a) 丼や鉢など容量の大きい作品(容器)に施釉する際、容器ごと釉の入っている器に

     全て沈めて、内外一度に釉を掛ける事があります。その際、内側に入った釉を作品を

     片手又は両手で持ち、斜めにして片側から釉を外に出します。完全に出し終えてから、

     手板に載せます。十分な器の釉が抜けきらない内に作品を持ち上げると、釉の重みで

     作品の縁が破損する事があります。特に口縁が薄造りの際には、注意が必要です。

   b) 容器に作品をぶつけて破損する。

     釉が入っている容器が小さい時、作品を中に入れる際や、中で動かしたりした場合に、

     容器に作品をぶつけて、破損する場合があります。特に高台内に施釉する際、釉を波立た

     せて、高台内に釉が掛かる様にする時は注意が必要です。

   c) 高台のある作品は高台を持って施釉する事が多いです。

     但し、高台が持ち易い形状に成っていないと、施釉途中で取り落とす事があります。

     釉の入った器内で取り落とした場合には、水分があるので比較的破損する事はありま

     せんが、それ以外の場所では、確実に破損します。又、施釉したばかりの作品は直ぐには

     触る事は出来ません。手板などを使います。この手板で取り落とす事もあります。

     手板に作品の底が2/3程度載れば安全です。更にこの手板をテーブルに載せる際にも、

     注意が必要です。手板を持つ手がテーブルの外に出る状態で水平にして、テーブルの上を

     滑らせて移動させます。

  ) 生の状態の釉は、同じ様な色の物が多いですので間違わない事です。

   a) 鉄系の釉には、鉄分を弁柄(べんがら)から取る事が多く、黒天目釉、油滴天目釉、

    黒マット釉、鉄赤釉、飴(あめ)釉、ソバ釉、柿天目、黄瀬戸釉、伊羅保釉などがあり

    ます。慣れないと見分けが付きません。

   b) 生の釉で白い釉には、透明釉、乳白釉、藁灰(わらばい)釉、白萩釉、白マット釉薬、

     志野釉、その他があります。

   c) 緑系の釉として、銅を使った、織部釉、青銅釉、青銅マット釉などがあります。

   d) 釉が入ってい容器には、名前や名札が付いているはずですので、それを確認すれば、

     間違える事は少ないはずです。間違い易いのは、同じ様な色の釉を同時に使う時で、

     柄杓(ひしゃく)等に取った釉を元の容器に移す際に、間違って他の容器に戻して

     しまう場合があります。

   e) 多くの場合、施釉した直後に窯詰めする事は少ないです。窯入れ時まで、釉の種類を記憶

     する事は難しいですから、記録を残しておきます。

     施釉した作品の色は似たり寄ったりですので、必ず紙切れ等に名前を付けて、作品の内側

     や側(そば)に置く事です。

  ) 作品全体に釉は掛けられません。即ち、棚板に接する部分には釉は塗れません。

   a) 塗ってしまった場合、窯出し時に作品と棚板がくっつき、剥がすのに苦労します。

    もし塗ってしまったら、ブラシ等で削り落とす必要があります。

    撥水剤を塗って、釉が掛けられなくする方法もあります。

   b) 底から数ミリ以内にも、釉は掛けられません。釉は高温で熔け流動性を持ちますので

    大なり小なり釉が流れ落ち、棚板まで流れる恐れがます。それ故流動性のある釉では

    5mm程度、他の作品では 2~3mm程度は、塗らない方が安全です。

以下次回に続きます。
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