わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 254 市販されている粘土類 1

2016-10-04 15:55:43 | 素朴な疑問
陶芸材料店や各メーカーのカタログ等では、色々の種類の粘土類を見る事ができます。

場合によっては、焼き上がりのサンプルを、見る事が出来る場合もあります。

余りにも種類が多く、どの土を使ったら良いのか迷う事も多いと思われます。

値段も安い物から、かなり高額の物まであり(1kg、20kg単位で)、必ずしも高額な土が良い訳でも

有りません。

当ブログでも、カテゴリー「粘土について」の中で、何度かお話しましたが、今回は別の見方で粘土に

付いて述べたいと思います。

1) 初心者や陶芸を始めて年数が浅い方は、先生や指導者が指定した粘土を使う事が多いのですが

  陶芸に慣れて来るに従い、別の種類の土を使ってみたくなりますし、実際に今まで使った事の無い

  土を使う事によって、土の違いが会得できる様になります。当然ですが、各々の土にはその土特有

  の性質を持つ物も多いです。交通網の発達していない昔であれば、その土地で採取された土を

  使うのが常識でしたが、現在では各地の土を取り寄せる事は容易に成っています。

2) 土を選ぶ基準は何か?

  土に何を期待して選ぶかという事です。例えば、轆轤挽きで作り易い物(土が良く伸び、腰が

  ある物等)。大きな作品を作るのに向いている土(縮み量が少なく、軽く出来る土など)。

  絵付けに向いた肌理(きめ)の細かい白い土。細かな細工のし易い土。ゴツゴツした野生的で

  無骨な雰囲気のある作品に向いた土(ハゼ石を含む土など)。釉が映える土や無釉の焼締めに

  向く土。更には 従来には無い土(この場合には独自に土をブレンドする事が多い)。

  個性的な特徴のある癖のある土等、土を選ぶ基準は幾つもあります。又あえて使い難い土を

  無理して使い、その土の持つ個性を引き出して、自分なりに使いこなす事に魅せられた作家さん

  も多い様です。使い難い土の場合には、何あらかの技法を開発し作る事にもなります。

  当然、一地方のみで理想の土を見付ける事が難しく、多くの土地の土をブレンドして自分独自の

  土を調合する作家さんも多い様です。

3) 粘土の主成分は、骨格となる珪石類と、これを熔かす長石や石灰石(楳熔類)、更に粘りを

  与え、加工し易くする粘土類に水を加える事で、成り立っていると言われています。これらは

  お互いに影響し合い、これらを調整 する事で、お互いの欠点を補強し、新たな特性を導き出す

  事も出来ます。

 ① 粘土類は焼き物を作り易くする大切な成分であり、焼き物の質を決定する物質です。

  粘土類と呼ばれる物に、カオリン(カオリナイト)、蛙目粘土、木節粘土などがあります。

  他の要素を混ぜる事なく、この粘土類のみで、粘土として完結した物もあります。

 ② 楳熔類は、長石や石灰石、木灰等に含まれる、カルシュウム、マグネシウム、カリウム、

  ナトリム等のアルカリ成分があります。主に焼成温度を下げ、土を焼き締め強固にする働きを

  担います。

 ③ 珪石類は、シリカと呼ばれる成分で、地球上で一番多く存在する岩石で、これを粉末状にして

  (又は自然界で粉末にたった状態)使用します。尚岩石にはアルミナ成分も多く含まれています

 ④ 粘土に色が付くのは、酸化鉄などの酸化金属や腐食した木片などが微量に灰っている為です。

  代表的な物に赤土と呼ばれる土があります。酸化鉄の含有量によって、生では赤い色をしていま

  すが、焼成後には黄色から褐色、黒へと変化します。又炎の当たり方によって、窯変と呼ばれる

  特別な色(赤やピンク等)が出る場合もあります。

 ⑤ 市販されている粘土は、制作し易いように、これらの要素を適度にブレンドした物です。

   多くの場合、練り土(水分を含む)の状態で市販されています。

   尚、同じ様な土であっても、メーカーによってブレンドに差がありますので、同じ様に焼き

   上がる訳ではありません。

4) 粘土類は母岩と呼ばれる岩石が、風化して出来た物です。

以下次回に続きます。
 
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