わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

手捻り(てびねり) 5 (紐つくり4) 仕上げ作業

2018-07-06 14:50:45 | 手捻り陶芸
作品の土台(底部)を作り、その周囲に紐を巻いて高さを出して形作るのが一般的な方法です

1) 紐を巻き(積み)上げる。(この件に付いては、以前お話しましたが再度記します。)

2) 作品に取り掛かる。

 (以上が前回までの話です。)

3) 仕上げ作業。

 仕上げ作業はどんな作品でも行う事で、より良い作品を作る事ができます。例え荒々しい

 作品であっても、それに見合った仕上げを行わないと、望んだ作品にはなりません。

 手捻りの仕上げ作業とは、形を完成させると共に、表面の質感を調整したり、全体の重み

 等を調整し、全体の調和を保ち完成度を上げる事です。

 ① 形の完成。

  ⅰ) 全体の形を見て、予定通りの形に成っているかを確認します。

   見る際には四方八方、場合によっては上下方向からも観察します。手回し轆轤上に

   置いて回転を掛けると、よりハッキリ見る事ができます。

   尚、作品に高台を設けるならば、削りか付け高台になります。削り高台であれば、

   底に削り代を残しておかなければ成りません。付け高台の特徴は好みの形に出来、

   高さも自由に決められる事です。本体が完成したらなるべく速く取り付けると、

   全体の形が見え、接着も巧くできます。

  ⅱ) 縦横高さの寸法が所定の範囲内に収まっている事。当然、当初の予定と異なる

   事は普通に起こる事ですので、その大きさで満足されるならば、必ずしも補修する

   必要はありません。

   若し過不足があれば、削り取るか土を足す(肉を盛ると言います)事に成ります。

  ⅲ) 削る道具は鉋(カンナ)等の刃物を使います。

   但し、削る場所によって刃物の形状を選択しないと、巧く削る事が出来ません。

   肉を盛るときには、良く張り付く様に「ドベ」等接着効果のある物を使用すると

   安全です。仕上げの段階になると、素地の乾燥も進んでいますので、切れる刃物

   (良く研いだ)の方が効率が良く成ります。それ故刃物類は常に切れる状態にして

   おく事が望ましいです。

 ② 肉厚を調整する。

  ⅰ) 作品には丁度良いと感じられる重さがあります。重過ぎる作品は取扱いが面倒

   ですし、軽過ぎる場合には、貧弱に見える場合もあります。重みは当然、作品の肉厚

   に大きく関係してきます。仕上げの際には、肉厚を薄くする方向で作業を行う事が

   多いです。多くの場合肉が厚い部分は底又は腰の部分です。土を積み上げる為、

   どうしても一定の厚みが必要ですが、乾燥が進んだ状態では、機械的強度が増し

   不必要になります。

  ⅱ) 外側を削ると作品の形がどんどん変化してしまいます。それ故、内側が削る事が

   可能であれば、内側のみを削り肉厚を薄くします。又、口径が小さく内側を削る事が

   困難な場合には、口径が狭くならない出来るだけ速い段階で、肉厚を調整しておきます

 ③ 作品の表面を整える。

  ⅰ) 作品の表面は必ずしも平滑とは限りません。又、手捻りの特徴を出す為、あえて

   指跡を残す場合もあります。更に、表面に模様を入れたりする場合もあります。捺印や

   竹箆(ヘラ)等で表面を荒らす場合には、素地が軟らかい方が作業し易いですが、刃物

   を使う場合はある程度乾燥が進んだ方が作業がはかどります。それ故、作品の表面を

   好みの様子に決めます。

   但し、食器の様に実用に供する場合、少なくとも内側は平滑にしておくと、食器の汚れ

   も少なくなり、食器洗いも容易になります。作品によっては、突起物が付く場合もあり

   ます。作品を手に持って使用したり、持ち運ぶ場合に指などに怪我をさせると問題です

   ので、出来るだけ先端の尖った形状は避けるべきです。

  ⅱ) ある程度広い面積を平滑にするには、「コテ」類が便利です。

   多くの食器類の内側(又は上側)は、平滑の場合が多いです。この様な時ある面積を

   押さえ込める「コテ」を使います。「コテ」には丸みを帯びた「丸コテ」形と、平面

   全体を押さえる「平コテ」があります。「丸コテ」は使う場所によって丸いカーブが

   変わるユニバーサル形の木製の物が市販されています。特殊なカーブの物は、ご自分

   で作る事も可能です。この「コテ」類を利用すると、表面を綺麗なカーブを作る事が

   できます。

  ⅲ) 作品の口縁を綺麗に仕上げる。

   作品の口縁は、作品の中でも一番目立つ場所の一つです。更に作品の断面は口縁に

   現れます。

   この口縁の形や肉厚は、作品の良し悪しを決める重要な役割を持ちますので、綺麗で

   丁寧に仕上げる必要があります。その為にも、水で濡らした「なめし皮」で綺麗に

   拭き仕上げます。

以下次回に続きます。
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