トムラウシへ行ってきた。
トムラウシは少し前に行った十勝岳と同じ大雪山系の山だが、ガイドブックによると、トムラウシ山は、登山の難易度5段階のうち最も難度の高いグレート5の「大雪山の極めて厳しい自然に挑む登山ルート」とあって、本格的な登山などしたことがない私はもちろん下から眺めるだけ。
一応、トムラウシ山の登山口までは行ってみたが、十勝岳の登山道入り口とは違って、うっそうとした草木の中に細い登山道が続いていた。
トムラウシ山と言えば、2009年7月の遭難事故が思い出される。
8名もの方がお亡くなりになったが、悪天候の中、ツアーを決行したガイドさんの判断の誤まりが原因とされた。
変わりやすい山の天気に的確な判断など、山へ登るにはそれなりの知識や経験が必要なのだろう。
そんなことを思っていたせいか、トムラウシ山は、なんとなく素人(私)が気楽な気持ちで登ってはいけないような気がした。
それにしても下から眺めたトムラウシ山は、そこだけがまるで別世界のように美しく見えた。
実際にトムラウシ山は、昔からカムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)とあがめられてきた山だそうで、特に山頂付近は、人の手が入っていない湖沼や花畑があり、壮大な大自然が息をのむほど美しいのだとか。
一度は見てみたいものだと思いつつ、今回は温泉を堪能してきた。
登山口のすぐそばに立つトムラウシ温泉東大雪荘。
山奥にあるため「秘湯」と呼ばれているが、すぐそばまで迫る森林を見ながらの露天風呂は最高だった。
ところでトムラウシは新得町の中にある地名だが、大きなダムによって新得町から隔離されている。
トムラウシに行くには、大きなダム川を渡る。
渡り切ってしばらく行くと、トムラウシの集落が見えてくる。
集落と言ってもぽつんぽつんと家があるくらいで、あとは大自然なのだが、そんな大自然の中に可愛らしい学校があった。
豊村牛小中学校。(トムラウシをあて字で漢字にするとこうなるらしい)
この学校は山村留学生を受け入れており、映画にもなった「羊と鋼の森」は、作者の宮下奈都さんが、お子さんの山村留学でトムラウシに滞在していた時に書かれたそうだ。
主人公の外村(とむら)は、もしやトムラウシのトムラかな?
ところで宿へ向かう途中にたくさんの鹿がいた。
周囲を金網で囲われた中にたくさんの鹿がいる。
飼っているのかと思ったが、鹿は我が家の周辺でもいるくらいなので、わざわざ繁殖させることもないだろう。
そこで宿の方に聞いてみた。
すると「あれは鹿をキャッチしているんです」と教えてくれた。
金網の柵は罠で、入ってきた鹿を食肉用にするそうだ。
私も鹿肉を食べた事があるが、こうして鹿を見ると、なんだか可哀想だなあ、、、と思う。
というわけで、鹿は食べなかったが、新鮮な山の空気を胸いっぱい吸い込んで、山のエネルギーを頂いて元気になって帰って来た。