昨日と今日は気温が低くて、暖房が欲しいくらい寒い。
ほんの少し前までの暑い日々がまるで夢のよう。
季節はすっかり秋になり、怪談話をするには時期外れになってしまったが、先日知人からちょっと怖い話を聞いてしまった。
それは知人が仕事で、一人暮らしをしている男性の住むアパートを訪ねた時のことだそうだ。
男性が住んでいるのは、6部屋あるアパートなのだが、今はそのうちの2部屋しか人は住んでいない。
知人の話によると、そこはいわくつきのアパートで、知人が知るここ1~2年の間に二人が孤独死をしているそうだ。
亡くなった二人は、どちらも身寄りのない男性だったが、お一人の方は精神を病んでいて被害妄想がひどく、知人に対しては亡くなる直前まで、思い当たる事もないことに対して、恨みつらみを延々と書いた手紙を何度も送りつけていたそうだ。
ところが、お二人が孤独死をされてから他の部屋では不思議なことが色々と起こるようになったとか。
そこでアパートに住んでいた人は「こんな怖いところに住んでいられない」と、2世帯がアパートを出て行ったが、知人が今回訪問した男は、そこがいわくつきだということは知らずに引っ越ししてきて間もない方だったそうだ。
「ところで最近、部屋に居ると、どこからか線香のような匂いが漂ってくるんですよ」と、知人に対して男性が話し始めたそうだ。
その男性は精神疾患で通院しているのだが、そのことを医師に話すと「それは幻臭ですね」と言われたそうだ。
男性は幻聴というのは知っていたが、幻臭というのもあるのかと思って帰宅したが、その後もたびたび幻臭というにはやけにはっきりとした、お線香の匂いが部屋の中でするという。
そこまで話していたところで、突然、部屋にあったテレビがついて、大音量で音が鳴り出したそうだ。
テレビ画面は何も映っていない砂嵐状態。そして、ざーっという大音響で、まるで貞子が出てきそうだったと知人は言った。
「それまでテレビのスイッチは入っていなかったから、もう驚いたのなんのって。なんで急にテレビがつくんだと思って、全身鳥肌が立った」と知人が言った。
その部屋の住人男性も驚いていたが、「うちのテレビは古いから誤作動を起こしたのかもしれない」とおっしゃっていたそうだ。(繰り返しになるが、その方は、アパートがいわくつきの物件だということを知らない・・・)
知人はあまりの恐怖で「ちょっと急用があるので」と嘘をついてすぐに部屋を出たそうだが、被害妄想とはいえ自分に恨みの手紙を書いて亡くなった人がいるので怖くて仕方がないといった。
その現象は、単なる幻臭と古いテレビのせいなのか、それとも心霊現象なのか。他にも怪奇現象によってアパートを出た方々がいるので、多分後者ではないかと思う。
それにしてもこのような話を聞いたり経験すると、人は肉体は無くなっても消滅することはないということをあらためて確信する。
とは言え、何に未練が有るのか知らないが、いつまでもこの世に居て、生きている人に迷惑をかけるのは頂けない。自分もさぞ苦しいことだろう。
いつかは自分もいなくなるが、できれば「やれやれ、やっと逝ける日がきたか」と、スキップしながらこの世をあとにしたいというのが望みだ。(できるかな〜)
水のように流し、風のように軽やかに、、、キャンプで見た川の流れと風の音を思い出している。