鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『シダの群れ』~大人しすぎた阿部サダヲ

2010-09-12 21:01:21 | Weblog
猛暑復活・・・。

気温34℃の中、昨日は、Bunkamura・シアター・コクーンへ、『シダの群れ』を観劇に。

相変わらず、渋谷駅から劇場のある東急本店までの文化村通りは、人ばかりで、もうウンザリ・・・。
かなり昔な話だけれど、駅に隣接した東急東横店には、『東横劇場』があった。
1度しか行ったことがなかったし、その後、かのオーチャード・ホールが、東横本店に出来て、それ以来、渋谷の演劇は、文化村とパルコ劇場が二大メッカ?みたいなカンジになっているようで・・・。
パルコ劇場も昔は、西武劇場だったもんな・・・。

閑話休題。
『シダの群れ』。
所謂、ヤクザもの・・・ということなんだけれども、このヤクザという世間とは、違う構造の中で、まともな人間なら、生きて行けないだろう・・・気がヘンになる・・・そんな構図を焙り出すかのようなストーリーで、岩松了さんの静かな?という表現しかできないのだけれど、不思議な舞台だった。

恥ずかしながら、2幕目が、はじまるまで、このドラマの登場人物の相関関係がよく理解出来ず、ちと混乱気味だった。
組長の2号さん役の伊藤蘭さんの息子(タカヒロ)が、江口洋介さんで・・・というあたり。
島崎組二代目組長襲名をめぐり、長男は、2号さんの息子で、次男が、正妻の息子という対立の構図が明らかになって行く中で、長男は、邪魔な存在となり、消される運命を受け入れる(受け入れたんだろうか?)
次男には、既に、正妻の産んだ子供がいて、更に、愛人は、妊娠中で、このまま行けば、多分、同じ対立構図が、展開されることになる未来を暗示させるのだけれど。
(この正妻と愛人の関係についても、迂闊にも2幕目まで、理解できなかったのだった)

しかし・・・この作品。
主役は、ヤクザ歴?4年目で、江口さん演じるタカヒロを慕う森本(阿部サダヲさん)なのだけれど、どうも、今回の阿部さん・・・いつもと違って、なんだか、大人しすぎるのだった。
岩松脚本では、阿部サダヲを使い切れていなかったのだろか・・・?
それとも、阿部サダヲが、この役になり切れていなかったのだろうか?
観客は、たぶん、いつもの阿部サダヲをみたいのでは、ないかと思う・・・。
いつもの阿部サダヲ・・・。
宮藤官九郎脚本では、ピチピチと跳ね捲くるような阿部サダヲというか・・・。

それとも・・・もしかすると、主役は、タカヒロ役の江口洋介さんだったのだろうか?
ムショ帰りのスタイリッシュなヤクザを、爽やかに格好よく演じていた。一服の清涼剤みたいな・・・そんんなカンジ。
いつみても、舞台映えのする俳優さんで、もしかするとテレビより、舞台向けのなのでは・・・???

大人計画の近藤公園さんは、相変らず、きちんとした脇役で、ワタシは、個人的に好きな俳優さんだ。
地味なんだけど、いつも、きっちりしていると言うか・・・。

風間杜夫さん演じる水野の謎かけが、理解できた観客はいたのだろうか?

岩松了さんのこの脚本の本当の意図を理解できた観客は、いたのだろうか?