朝方の冷え込みと澄んだ秋の晴天。
今週明けも、先週に引き続き、相方と朝から、映画『億男』を鑑賞。
おカネは、紙幣、硬貨それ自体には、殆ど価値がない・・・。
ごくまれに、エラー印刷、エラー鋳造、紙幣のゾロ目、発行数が、少ないなど・・・そんなおカネには、なにやら、特殊な、希少性的な価値がつき、とんでもない値段が、つくことが、あるには、あるけれど。
おカネは、物品や情報、サービスと交換して初めて価値の出るもので、紙幣、硬貨自体には、ソレ程、価値はない・・・(最も、あの偽造防止のための物凄く細かい印刷や、各国のデザインの美しいコインなどは、見ていて楽しいけれど・・・)。
そんな『おカネ』に振り回されて・・・兄の借金の保証人になり、3千万円返済のため、昼間は、図書館の司書、夜は、パン工場で働く一男(佐藤健)は、疲れ切っている。
返済終了まで、30年。
家族とは、別れて暮らしているけれど、いつの日か、一緒にくらすことを夢見て、休む間もなく働いている。
そんなとき、宝くじ3憶円が当選。
3千万円を返済する予定であったが、銀行から、高額当選者の悲劇などを聞かされ、不安を募らせ、富豪となった大学時代の親友・九十九(高橋一生)のもとを訪ねるも・・・。
キャッシュで、3億円を、九十九の家に持込み、酔っ払って目覚めると、3憶円と九十九が、消えていた!
一男は、九十九の行方を捜しながら、おカネに翻弄されたひとびとを、目の当たりにする。
今が、旬というか、佐藤健と高橋一生演じるおカネと友情の物語。
学生時代は、一男と九十九で、(1+99=100)パーフェクト。
普段は、吃音の九十九が、落語研究会で、大作『芝浜』を、すらすらと演じる姿が、象徴的に描かれている。
映画の中盤、美しいモロッコを旅する一男と九十九のエピソードが、織り込まれている。
透明な空気感の中に、ふたりの俳優の純粋さが、溶けていく。
ヒトが、いきなり、大金を手に入れたら・・・。
おカネは、人生の選択の幅を広げてくれるし、世の中、殆どのことは、おカネが、あれば、解決できることが多い。
けれども、ほんの数パーセントは、おカネで、解決できないこともある。
現代の日本人は、数パーセントを除けば、おカネに奴隷になっている。
おカネを使うのではなくて、おカネに使われ、仕えている。
イヤな会社に、満員電車に乗って、定刻どおり、出金し、イヤな仕事をして、イヤな人間関係にも、我慢を重ね、イライラし・・・おカネが、ないと生きていけないから・・・。
わずかなおカネのために、自分の人生を切り売りして生きている。
おカネ(しかも大金)に関わった、それでいて、爽やかな後味の作品に仕上がっているようだ。