晴れ間から、にわか雨、夕刻、雷雨。
忙しい梅雨の空模様。
母の居室の押入れや、クローゼットの整理。
『ああ、やっぱり・・・。』
1990年代から、最近迄の40年近い間に刊行された・・・所謂、健康雑誌が、山のように出てくる。
雑誌だけなら、まだしも・・・。
その雑誌や、他の健康本、新聞から、切り抜かれたスクラップ記事が、ドサドサっ・・・と出てきて。
切り抜いた記事をそのままに。
読んで、アンダーラインを引いて、まとめて・・・。
それで完結。
箱に入れて大事に取っておく・・・雑誌、本類は、処分するのか・・・と言えば、そんなこともなくて。
バラバラになって、渋茶で染めたような色に変色した記事類の紙束の中に、手紙やら、メモやら・・・。
漢方薬の成分表迄、自分で書いてある。
同じ漢方薬の成分が、何度も、何度も。
書いただけで、完結してしまう。
また具合が、悪くなった時のためのスクラップは、押し入れ深く日の目を見ることもなく、眠ったままの十数年間。
母の身体の具合の悪い箇所は、年々変わっていって、若い頃は、中耳炎、微熱、胃弱、胃腸の不調。
めまい、不眠、白内障、緑内障。耳鳴り。
手足の冷え、痺れ、脊柱管狭窄症による下半身の痺れ、脚の痛み。
風邪、高血圧。
ひとつひとつ、何処かが、悪くなると、現在の痛みに夢中で、他は、忘れる。
現在の痛みが去ると、他の場所が、痛む・・・その繰り返し。
そして、それらを解消するために、『効いた!治った!!驚いた!!!』のキャッチフレーズの『壮快』、『安心』、『私の健康』、『今日の健康』などの雑誌を読み漁り、御親切にも、その巻末に紹介してある各症状の特効薬、痛みを鎮める健康器具を買い求めて、一体、いくらつぎ込んだのだろう。
それを続けたひとだった。
ひと玉(1回分)3000円の日水清心丸。牛黄が金箔に包まれている高額漢方薬。
20数万円のチタンプラチナネックレス。
10万円の遠赤サポーター。
果たして、『効いた!治った!!驚いた!!!』だったのだろうか・・・???
健康への求道者だった母。
それでも、平均寿命を越えて、生きた・・・。
だから、きっと、『効いた!治った!!驚いた!!!』なのだろう。