パリ五輪の女子マラソン代表を目指して行われた、名古屋女子マラソンを見た。五輪に出るには、1月の大阪国際女子で前田選手がマークした、2時間18分59秒を上回らなくてはならない。出場した国内の有力選手は、いずれも3分ほど足りない。
それでも海外選手と安藤・加世田・鈴木選手は、前半は互角だった。しかし、中間点を過ぎた辺りで、前田選手に勝てない記録だった。やっぱり無理か、外国人選手が優勝か、そう思いながら見ていたら、腕を振らない「忍者走り」の安藤選手が躍り出て来た。
ゴールのバンテリンドームを目の前に、先頭を走っていたバーレーンの選手を抜いた。その後ろから、地元で最も期待されている鈴木選手が追ってくる。果たして追いつけるだろうかとハラハラする。結局、1位で安藤選手がゴールし、2位はバーレーンの選手、3位に鈴木選手だった。
スタートして10キロの最初の給水地点で、鈴木選手はスペシャルドリンクを取り損ねた。それを見た加世田選手が鈴木選手に近づき、自分のドリンクを差し出した。ライバルに対する思いやりに、思わず涙したのは私だけでは無いだろう。
途中まで、加世田選手は安藤選手と並走していたが、安藤選手が前に出ると追いつくことは出来なかった。さらに後ろから来た鈴木選手にも抜かれ、結局ゴールしたのは4位だった。マラソンを見ていると、もっと早くから先頭にいれば、1位でゴール出来そうなのにと思ってしまうが、実際に走っている選手は過酷な戦いを強いられているのだろう。
スポーツを観戦している側は、何で出来ないんだ、どうして頑張らないんだ、そんな思いを抱いてしまう。子どもに対しても、子どもの気持ちを無視して、ガンバレガンバレと励ますことが親の務めだと思っている。そんな親の励ましがプレッシャーになって、自殺する子までいるし、逆に親を殺して楽になろうとしたケースもある。
人を見て、自分のこととして受け止めるのは、口では言えても心から理解するのは難しい。今日から大相撲が始まった。私は横綱・照ノ富士と大関・貴景勝がしっかり取り組んで欲しいと願い、宮城野部屋の閉鎖は白鵬へのいじめではないかと心配している。全く野次馬でしかないと思いながら。