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『自衛隊失格』を読む

2018年07月11日 17時16分38秒 | Weblog

  タイ北部の洞窟に閉じ込められた13人全員が無事に救出された。18日間もよく真っ暗な洞窟の中で耐えたと感心する。雨降りのため洞窟内の水量が増え、これ以上は延期できないと判断し、泥水で何も見えない中を、ベテランの潜水士が子どもたちを抱え込むようにして、奇跡の救出を成し遂げたようだ。あまり報道されなかったがこの過程で、ひとりの潜水士が酸欠で死亡している。

 雨の止んだ西日本では、それでも泥水の流出は止まらず、行方不明者の捜索は難行している。警察や消防はもとより、自衛隊も災難救助活動に出動している。それぞれが与えられた任務を黙々と遂行している様子をテレビで見る。学生ボランティアも駆けつけているが、やはり警察や消防、自衛隊の動きは力強い。

 豪雨が迫る5日の夜、安倍首相は自民党議員ら約50人と、赤坂の衆院議員宿舎で酒杯をあげていたが、今日は早速、被災地に足を運び見舞いの言葉をかけていた。政治家の感覚と現場にいる警察や消防、自衛隊の感覚とは大きなズレがあるようだ。いつの時代も、決定権を持つ者は安全なところにいて命令を下すが、実行部隊は常に危険と隣り合わせだ。

 新聞広告で見た『自衛隊失格』(伊藤祐靖著・新潮社)を書店に頼んで取り寄せ、一気に読んだ。小説や論文とは違い、自衛隊にいた人物の自伝だから読みやすい。日体大に推薦で入学し、高校の体育教師が約束されていたのに、「このままでは一生不完全燃焼で終わってしまう」と教員の道を蹴って自衛隊に入隊する。安全で安定した生活、それを「生ちょろい生き方」と受け止めたのだ。

 私より20歳若い彼は自衛隊に入ってみたが、「命を懸ける」ほどの気概を持った仲間がいないと感じたり、「フリ」だけしていて「本気」が見えないと落胆したり、そして「特殊部隊の創設」に生きがいを感じて夢中になるが、結局は「自衛隊失格者」と気づいて退職するまでを書き綴っている。この人は日体大と自衛隊しか知らないから仕方ないが、どこの会社に勤めても、公務員になっても、同じものを見たであろう。自衛隊員のことがよく分かって面白った。


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