刈谷市美術館で9日(土)まで開催中の、「宇野亜喜良展」を観て来た。あの繊細で圧倒する作品が多数展示されていて、とても疲れた。刈谷市美術館の学芸員によるインタビューや、宇野さんが制作したアニメの上映コーナーもあり、平日なのに大勢の人で賑わっていた。
宇野亜喜良さんは名古屋生まれ、今の名古屋市工芸の卒業生で、私よりも10歳年上である。私が愛知工業高校に就職した頃はすでに有名人だった。愛工と名市芸は県立と名古屋市立の違いからか、交流は全くなかった。たまたま名市工芸のデザイン科の先生の個展で出逢ったのをきっかけに、名市芸を訪ねた。
愛工とは違って、とても自由な雰囲気だった。宇野亜喜良さんは入学すると人形劇に関心を持ち、人形作りから演出まで手がけたそうだ。高校2年の時には新聞に、「壁画・塑像なんでもあっぱれな少年芸術家」と賞賛された。19歳で「日宣美」に入選し、グラフィックデザイナーの道へ進んだ。名市工芸の先生が、東京へ行く手立てをしてくれた。
カミさんはアニメに感動してズーと観続けている。アニメ作りを知っている私としては、卒業生の土方君が作っていたレベルと同じに見えた。宇野さん自身がインタビューに答えて話していたが、前衛を目指した訳でも、奇異を狙った絵でもなく、日常から生まれたものなのだろう。
絵描きは誰もが、他人と違う作品を目指しているとカミさんに説明するのだが、「出来なかった人の妬みね」と笑われてしまった。全くその通りだ。私も昔、宇野さんを超える作家を思い描いていた。
刈谷市は私が生まれ育った街。美術館の南にある中学校に私は通った。けれど、全く別の世界に変わっていた。市中のどこを見ても、子どもの頃の景色は見当たらない。小学生が先生に引率されて、歩いて行くのが見えた。
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