クライマックスシリーズ

　プロ野球のクライマックスシリーズで、中日ドラゴンズが優勝した。その試合を見ていたのかというと、見ていなかった。たまたま見たときが、中日の岩瀬投手が巨人の最後のバッターから三振を奪い、優勝が決まった瞬間だった。私の友人たちには巨人フアンが多いから、さぞかしガッカリしているだろう。我が家ではカミさんも娘たちも孫娘も巨人フアンであるから、今日の試合に望みを託していた。それで負けてしまうと、巨人の選手の不甲斐なさを非難するよりも、「なによ！落合のヤリ方は！」と中日の落合監督を非難している。

　それにしても、ペナントレースで優勝しながら、このクライマックスシリーズで負け、日本シリーズへの出場ができない仕組みは腑に落ちない気がする。巨人フアンはさぞ納得できないだろう。ペナントレースで巨人に敗れた落合監督は、フアンから非難に応えて「クライマックスシリーズで勝てばいいでしょう」と言っていたように思う。ペナントレースの終盤に来て、彼は密かにこの新しい仕組みであるクライマックスシリーズの作戦を考えていたのではないだろうか。

　私は、野球もサッカーも相撲もボクシングもＫ１も見る。見るけれどものめり込むほどのフアン意識を持ったことがない。スポーツはおもしろいと思う。何よりも必死なプレーが感動させてくれる。高校野球は目が離せないくらい見てしまう。マラソンだって、箱根駅伝だって、タダひたすら走っているだけで、なにがおもしろいのかわからないが、それでも見入ってしまうのは、見る人を惹きつけるなにかがあるのだろう。

　自分でも、小学校の時はソフトボールを、中学ではバスケットをやった。高校はサッカーの名門校だったので、体育の授業は本当にサッカーが多かった。私はソフトボールやバスケットよりも、サッカーはおもしろいと思ったが、その頃はもうメガネをかけていたので、メガネを壊して父親に負担をかけることが心苦しかった。スポーツは意外にお金がかかる。高校ではスキー教室もあったけれど、お金がかかるので参加しなかった。

　そんな貧乏人根性からか、プロスポーツに夢中になることがない。プロはお金をもらってやっている。それで見る人が楽しく思うのは当然のことだ。芝居でも歌でも、お金を払ってまでして見るのは、プロスポーツを見るのと同じで、それで気持ちが何かスッとするからなのだろう。人の心を揺さぶり、感動させ、高揚させるものがあり、それを求めて出かけたり、テレビで見たりするのだろう。お金を払うからにはよりよいものが見たい。そう思うと、ちょっとやそっとで、キァーキァー騒ぎたくない、そんな気持ちが私に働いてしまう。

　さてさて、明日は７７歳の姉のお供をして大阪まで行くけれど、姉は大の巨人フアンだから、道中はずぅーとクライマックスシリーズの話を聞かされることになるのかな。