先輩から電話が入って、久しぶりに喫茶店で会うことになった。先輩は87歳で耳が遠いので、ついつい大きな声になってしまう。格別な用件がある訳では無く、誰かと話がしたいのだ。先輩がバックからスマホを取り出して、ふたりの間に置いた。
何をするのだろうと思っていると、スマホがふたりの会話を文字にしていく。さすがに三菱重工で宇宙開発チームにいたと言うだけあって、最新技術を駆使できる。いつものように行政への不満を声高に語る。
「行政に文句を言うと、議員を通してくれと言う。それで、議員に話しても、ちっとも役に立ってくれない。議員は何をやっているのか」と愚痴を言う。議員ひとりの力は小さくても、議会の決議は大きいと話す。
先輩のカミさんは、喉頭ガンで話すことが出来ない。今は身体の調子も良くないみたいで、彼が流動食を作っているようだ。ふたり暮しの高齢者は、行く先の不安を抱えている。そんなケースは彼だけでなく、私の周りでも見聞きする。
ダンナの定年を契機に、離婚する夫婦もある。長年暮らしてきたのに、カミさんは「解放されたい」と願うようだ。カミさんの苦労を見ていないダンナは、何が不満なのか分からない。熟年離婚のふたりは、これからどう生きていくのだろう。
私は昨日のブログで「思うように生きればいい」と結んだが、若い人たちがブログを見たら、「ジジイはお気楽でいいね」と嘲笑されそうだ。昨年の小中高生の自殺者は527人、高校生が349人、中学生が163人、小学生が15人とある。
生きていることが辛い、いっそのこと死んで楽になりたい、そんな苦しい思いをあの子たちにさせてしまっているのかと驚く。いや、大人も自殺する人が多いから、生き辛い世の中になっているのだろう。
私にはどうしたらいいのか分からないが、せめて話す相手がいれば、もう少し変わるのかも知れない。ジイジでよければ聞くよと伝えたいが、高齢者では無理かも知れない。私が出来ることは、同年代の高齢者の愚痴を聞くことくらいのようだ。
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