俳句大学投句欄よりお知らせ!
〜 季語で一句 61 〜
◆2024年『くまがわ春秋』12月号(第105号)が発行されました。
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永田満徳:選評・野島正則:季語説明
季語で一句(R6.12月号)
村芝居(むいらしばい) 「秋―生活」
野島正則
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木戸銭は畑の野菜村歌舞伎
【永田満徳評】
「村芝居」は演じるだけでなく、舞台作りから何から何まで地元の自分たちが中心になって作り上げる。「木戸銭」(入場料)が「畑の野菜」であるという。いかにも秋の収穫後の「村芝居」らしいところがいい。
【季語の説明】
「村芝居」は地芝居、田舎芝居とも呼ばれ、農繁期を終え、労をねぎらうために村人たちが演じる芝居。秋になると、町内の各神社ごとに例祭が行われ、その前夜祭、本祭で演じられる。歌舞伎役者が避暑をかねて盛んに地方巡業した遺風で、地方に芝居熱が高まり、祭礼や盆や秋の収穫後などに素人が演じた。
嚔(くさめ)・咳(せき) 「秋―生活」
外波山チハル
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大嚏して取り戻す視界かな
【永田満徳評】
「大嚏」は一回、数回痙攣状の吸息を行なった後、急に強い呼息を発すること。「大嚏」であればあるほど、目をつぶってしまう。嚏が収まってしまうと、目を開けてしまう。一瞬の出来事をうまく捉えている。
【季語の説明】
「嚔・咳」は冬の冷たい空気などで鼻孔が刺激をうけたときの呼吸器系の反応をいう。免疫力が低下しやすい冬は乾燥や風邪の炎症などによって喉が刺激されて咳が出ることが多い。咳には湿った咳や乾いた咳などの種類があり、咳き込む姿はいかにも辛そうに見える。「咳く(せく・しわぶく)」と詠まれたりもする。
鴨(かも) 「秋-動物」
佐竹康志
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口軽き男と鴨を見ておりぬ
【永田満徳評】
「鴨」は早朝や夜間に草の実や水草を採りに行き、昼間は水に浮いて日向ぼこをしている。ぷかぷかと浮かんでいる「鴨」とそれを見ている「口軽き男」とが軽やかな浮遊感という点で似通っていて、俳諧味がある。
【季語の説明】
「鴨」は秋にシベリアなどの寒地から日本に渡ってきてそのまま越冬し、春また北方へ帰る。湖沼に住んで穀物を好む種類と、海を主たる居住区として魚を主食とする類に分けられる。古くから日本人に親しまれて来た。種によって、河川・湖沼や海上・江湾・荒磯などで見られる。鴨と雁はガンカモ科で、形や習性が似ている。
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