俳句大学投句欄よりお知らせ!
〜 季語で一句 41 〜
◆2023年『くまがわ春秋』4月号が発行されました。
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永田満徳:選評・野島正則:季語説明
季語で一句(R5.4月号)
凧(たこ) 「春-生活」
中野千秋
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切れ凧や男のためにもう生きず
【永田満徳評】
「凧の空女は男のために死ぬ 寺田京子」という句とは反対で、どんな深い中であったとしても、「切れ凧」のように、縁が切れればそれまでである。未練なく、縁を切る「女」の潔さが窺われて、心惹かれる。
【季語の説明】
「凧」とは春風の力を利用して空中に揚げるもので、木や竹などの骨組みに紙・布・ビニールなどを張って作られる。江戸時代中期以来、神事と結びつき村ごとの凧揚げ合戦など、村同士が互に絡ませ合って、相手の糸を切り墜落させる凧合戦なども行われた。やがて凧は子供の玩具となり、形や絵柄も多彩になった。
蜂(はち) 「春-動物」
西村楊子
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女王蜂邪馬台国に說二つ
【永田満徳評】
「蜂」は一匹の女王蜂と多くの働き蜂で構成されている。「女王蜂」のような卑弥呼が君臨する「邪馬台国」の所在地が九州説と畿内説とに分かれていることを踏まえて、女王蜂をおもしろく取り合せている。
【季語の説明】
「蜂」が花から蜜を採集し、巣が蜂蜜を蓄え、人が蜂蜜を採る。人を刺す蜂として有名な「スズメバチ」「アシナガバチ」「ミツバチ」、危険性の低い「クマバチ」など、多種多様な蜂が生息している。スズメバチとアシナガバチは幼虫のエサとして昆虫や蜘蛛などを狩る狩り蜂で、ミツバチは花の蜜を集める花蜂である。
ものの芽(もののめ) 「春-植物」
野島正則
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ものの芽や地球誕生四十億
【永田満徳評】
「ものの芽」は春の大地の息吹である。天体という大きな「地球」と、小さな生命体である「ものの芽」との取り合せ。地球の誕生とその地球に育まれる生命の誕生とのドラマが描き出されていて、心惹かれる。
【季語の説明】
「ものの芽」は早春に萌え出るもろもろの草木の芽のことで、春の訪れを実感することのできる言葉。春は多くの植物が芽吹くが、これという特定の草木のことではない。草の芽が地中から萌え出ることとする歳時記もある。「木の芽」、「草の芽」は別の季語。ものの芽というと、春の実感を感じ取れる句にするのが難しい。
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