goo

躁うつ病とアルコール依存症!

2015年10月10日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」
先日、『心が雨漏りする日には』中島らも著(青春出版社2002年10月刊行)を読み終えました。ちょっと長いですが、本書で参考になった文章と、タバコが登場するフレーズを抜き書きしてみました。ちなみに、中島らもさんについては、20年以上も前に、現在は大阪で大学の先生をしているS君から『今夜、すべてのバーで』を強く勧められ、その面白さに圧倒されて以来、エッセイを含めて愛読してきました。本書も期待にたがわず、一気に読み終えました。

【22ページ】
印刷屋のミスというのほ信じられないような箇所に現れる。細かい、小さな文字を間違うことはあまりない。それらりはむしろ一番目立つ箇所の、一番ポイント数の大きい文字を得てして間違ってしまうのだ。「カネテツ」を「カネテシ」にしてしまうのな。

【26ページ】
モミイさんと一緒にいると、いつもその独特のセンスに笑わされた。
例えば、モミイさんはタバコを値切る。
タバコが値上がりするたびに高いと感じる人はいても、タバコ屋で、
「おばちゃん、なんとかならんかいな」
と値切る人をおれは他に知らない。

【103ページ】
まあ、バリのときは他の要素も介在していた。マリファナである。ロケハン隊がちゃっかりマリファナだけは入手していたのである。躁状態で、そのうえマリファナもキメて、だからおれはいつもより過敏に、土地が放つ霊気のようなものを嗅ぎ分けたのかもしれない。
うん、精神状態が良くないときのマリファナもよしたほうがいいな。

【114ページ】
ただパジャマでいたのではどうしても酒と手が切れない。そこで、病院というフゥルターで酒を遮断してもらったのだ。そうでもしてもらわないと、自力ではどうしても飲むのをやめられないほど、アルコールに対する依存度は高くなってしまっていた。

【116~117】
古来、酒を飲みたいものが弾圧から逃れる方法には枚挙にいとまがないのだ。墓場まで供え物の酒を盗みにいくというのもよく聞くし、どうしてもアルコールが欲しい奴は化粧品だって飲み干すのだ。終わらないいたちごっこである。

【119ページ】
飲まなかった理屈はもう一つあって、劇団の若い役者が、
「らもさんが廃人になってしまう」
と泣いたというのだ。
けれが効いた。人を悲しませてまで飲む必要のある酒がどこにあるのか。
飲み始めるのにきっかけはいらないが、やめるのちは何かが必要だったのだ。これがその「何か」になってくれた。

【136ページ】
じゃあ、タバコはどうだ、ティッシュはどうだ、といろいろ試した挙句、ようやくお金を出して切符を買うことができた。冗談をやっている表情ではなかったはずなので、係員はさぞかし気味が悪かっただろう。思わず「ノー、ノー」と英語を使ってしまった彼の気持ちもよくわかる。

【151~152ページ】
「人間はもともと球体をした生き物で、それが半分に断ち割られで今の姿になった。だから自分に欠けている片方を探して回るのだ」(プラトン)
新郎新婦様、欠けている片方が見つかってよかったね、英語では配偶者のことをベターハーフなんていうんだよ、これで2人は完全な球体に戻ったね、とおれのスピーチは締めくくられる。
プラトンの言葉は、なにも新婚カップルにだけ適用されるわけではない。それどころか、広く人間一般の本質をついている。多かれ少なかれ、人は何かに依存して生きている。おれの場合は、それがアルコールだったり、睡眠薬だったわけだが、この依存するという行為は自分の欠けている部分を埋めようとする行為なのだと思う。欠けているところがあれば、そこを埋めようとするのは実に自然な感情で、だから人間は何かに依存することで、自分の穴を埋め続けていくのだ。
ギャンブルに依存する人がいたり、恋愛に依存する人もいる。子育てに執念を燃やすそれも一緒の依存だ。仕事、学問、貯蓄----形は違えど、それを取り上げられたらパニックになってしまう対象を誰でも持っている。
開き直ってしまっていいんじゃないかと思う。

【153ページ】
おれの持論なのだが、人間は無数にある選択肢の中で、自分が選べる選択肢だけを選んで人生を生きている。選べない選択肢を選ぶことは絶対にないのである。

【181ページ】
夜の12時に起きて、タバコを5、6本吸い、コーヒーを飲み、頭がすっきりしてきたら原稿用紙に向かう。夕方の7時くらいになったら酒と食事を摂る。1日1食は相変わらずであるが、合い間にミルクをたくさん飲む。

【189ページ】
インドはおれも10日間位くらい行きましたけど、やっぱりカルチャーショックですろね。おれが行ったのは5年くらい前ですけど、食堂でカレーが40円くらいだったですね。外国人のヒッピーがやたらにいまして、道でマリファナを吸ってましたね。

【190ページ】
そこはスモーキングクラブと言う6畳1間くらいの板張りの部屋で、そこにインド人の、ほとんどおじいさんでしたかね、みんなでマリファナを吸っているの。チラムという陶器製の逆三角形の形をした道具で吸うんですけど、これは強烈でね。6服目くらい吸ったときに、これはもう倒れる、失禁するというくらいに効いてきたんです。

【114ページ】
ドイツ人の場合には「この苦しみから逃れたい」ということで自殺する方が多いんです。日本人の場合はそうじゃなくて、死ぬことですべて清算する、カタをつけるという感じですね。武士の切腹みたいな意味合いですかね。
goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )