前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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松本善明、松本清張、松川事件

2009年09月14日 | Weblog
日本民主主義文学会発行の「民主文学」九月号に、津上忠「作家談義 第六回」が掲載されている。
   ここに、前進座と松本清張の「秘話」が明かされている。また、清張夫妻のエピソードも紹介されていて面白い。

また、この号は「松川事件 60年」特集号としても組まれている。
共産党元衆議院議員の松本善明氏も「松川事件は生きている」と題して書いている。
氏は、第一に、「足利事件で警察は謝罪したが、松川事件ではいまだに何の謝罪もない」と指摘している。正すべきものを正さなければ政治も司法もよくならない、と批判している。また、このような事件が、現在の短期間の裁判員制度では手におえないことも明らかだ、と指摘し、最低限、捜査過程の全面可視化を求めています。

第二に、「冤罪事件は何故あってはならないか」では、「無実の人を長期にわたって拘束した責任があると同時に、真犯人の捜査をおこなわず、犯罪の被害者にたいする国家の責任を放棄している」と喝破しています。福井女子中学生殺人事件の経過をみても、まったくその通りです。

第三に「松川事件の被害者は誰か」として、列車転覆で死亡した乗務員、被告とされた方々、当時の松川町民、そして日本共産党と労働者階級だ、としています。
松川事件のように共産党と労働者を陥れる謀略について、「その時期にそのときの政治を左右するために行われるものです。それはそのときの政治情勢に決定的な影響を与えるので、その政治的被害は甚大で回復不能です。この被害は日本共産党のみならず、日本国民すべてに及んだことはいうまでもありません」と述べています。
当時、福島県で活動し後に共産党中央の幹部になられた方が、「共産党の街頭宣伝に市民から石を投げられた。なぜ国民のためにがんばっている政党がこんな目にあうのか、涙がでた」と振り返った文章を読んだことがあります。何者かが国民と共産党との間に大きな壁をつくろうとしておこした謀略事件。そのなかで真実を探求し、知らせて、たたかってきた歴史に胸があつくなります。

第四に「松川事件を引き起こしたのは誰か」。
当時、昭和33年11月、担当弁護士だった松本善明氏のもとに真犯人からの手紙がとどきます。内容は、「真犯人は私たち七人だ。共産係二人が関係している。被告の皆さんには申し訳ないが自首するまで被告の皆さんを守ってやってほしい」。
また、裁判に米軍将校などアメリカ占領軍関係者も接触していました。

第五に、「松川事件を語り継ぐことの現代的意義と三大謀略事件の解明の可能性」について語ります。
松本清張は「日本の黒い霧」のあとがきで米軍の謀略であった可能性を冷静に帰納的に書いた事情を書いていること、これを半藤一利さんが解説で高く評価していることを述べ、「あらためてこの二つの文章を読みなおし、この作品の価値に感動するとともに両氏に深い敬意を表しました」。
そして、「大きな変革の時代に対応するような松川事件の継承がいま必要なのではないでしょうか」と結んでいます。
 
考えるに、いまだに日米軍事同盟のもと、あまたの米軍基地と「おもいやり予算」、国民生活の各分野でアメリカ発の「改革」が押しつけられている日本。こういう時代を招来させるための「謀略」の仕掛けだったのか。
真相究明と松川事件の継承の必要性をつよく感じた。