昨日は県議会一般質問でした。大飯、高浜同時事故時の避難計画・訓練がないままの再稼働は許されません。
関西電力大飯原発3、4号機(同県おおい町)の再稼働に同意した西川一誠の態度を厳しく批判しました。県内の中学校で起きた「指導死」事件に対する県教委の責任もただしました。
私は「西川知事の大飯原発再稼働容認に抗議し、撤回を求めます」と訴えました。指摘したのは、すでに再稼働している高浜原発3、4号機(同県高浜町)の近くに大飯原発があるため両原発の同時事故を想定すべきなのに防災計画策定も避難訓練もされていない問題です。
私は「これでは同時事故の際には若狭の住民を見捨てることになる」として計画策定と訓練実施を国に求めるよう強調しました。西川知事は、国が関係府県と調整し検討を進めるとしているとし、「国の考え方を確認していく」と答えるにとどまりました。
池田町立池田中学校の「指導死」事件については、直接の当事者である教員らの責任とともに、校長昇格の決定や教員採用・研修における県教委の第一義的責任を問いました。東村健治教育長は「『指導死』という言葉は第三者委員会の(調査)報告書には用いられていない」「校長を含めた学校全体で対策を取れなかったのが課題だ」とし、県教委の責任には言及しませんでした。私は「県の教育全体の中で、どう分析するかが必要だ」と指摘しました。
以下、質問内容です。
1、 福島原発事故の教訓を無視する相次ぐ再稼働問題
日本共産党の佐藤正雄です。まず、最初に福島原発事故の教訓をふみにじる相次ぐ再稼働問題について質問します。
私たち県議会も原発事故後に視察しました富岡町。これまで郡山市に町役場事務所を置いていましたが、避難指示解除をうけて、今年4月に富岡町にもどりました。しかし郡山から富岡までの長時間通勤をつづけている職員もおり、5人の役場職員が退職したそうです。また、原発立地の双葉町では、今年から職員の正採用はなく、任期付き職員しか採用しない、とお聞きしました。
10月には小浜市で原発問題住民運動全国連絡センターの交流会が開催され、福島の方々から苦悩をうかがいました。いまだに原発事故は収束せず、7万人ちかい方々が自宅に戻れません。まさに去るも地獄、残るも地獄の状況がつづいているといわざるをえません。
福島原発事故の教訓をふみにじり、忘れ去り、あたかも3.11がなかったかのように平然と再稼働へとすすむなら、スリーマイル、チェルノブイリ、福島につづく大事故はこの福井・若狭で起こるかもしれません。
西川知事の大飯原発再稼働容認に抗議し、撤回を求めます。
福島原発事故の際の教訓のひとつは、狭いエリアでの複数基の原発稼働時に、巨大災害などで複数原発が同時に損傷した場合は、対応に困難を生じる問題でした。
しかし、原子力推進委員会に変質した規制委員会と利益最優先の関西電力は、それぞれが規制基準に適合すれば良い、との判断で、高浜、大飯の双方の再稼働にすすんでいます。
しかし、政府も福井県も同時事故を想定した防災計画策定と訓練はおこなっておらず、防災面からも新たな安全神話がつくられようとしています。これでは同時事故の際には若狭の住民を見捨てることになりかねないではありませんか。
別々に高浜、大飯で訓練がおこなわれた11月26日にはお隣の石川県で国も参加しての大規模な住民参加の原子力防災訓練がおこなわれました。8市町の約1000人の住民はじめ、国や石川県の2200人が参加した大規模なものです。
ご存知のように北陸電力の原発は再稼働の見込みはまったく立っていないのです。そこで大規模訓練を国も参加してやる。もちろん使用済み燃料もありますから訓練は必要です。しかし、高浜につづいて大飯を来年にも再稼働しようという若狭で、大飯原発の単独事故想定か、高浜との同時事故想定か、はともかく、国も参加しての必要な訓練をおこなわないのは福井県民をなんと思っているのでしょうか。福井県に再稼働を要請しながら、こんなちぐはぐな政府の態度は許されないではありませんか。大飯町民の過半数が事故時の避難に不安をいだいているのです。
★県は国に早期の訓練を求めているなどと言いますが、高浜・大飯での同時事故を想定した訓練を後回しにしている内閣府などにつよく抗議し、ただちに近畿府県とも連携した同時事故時の防災計画策定と訓練実施を求めるべきではありませんか。知事の決意をおたずねします。
★あわせて、規制基準適合審査と高浜、大飯原発再稼働準備にともなう土木工事をふくむ各種対策工事などで、関電は数千億円を費用として使っている、などと報道されています。しかし、地元に考慮した発注がなされたのでしょうか。そこでおたずねします。
高浜原発、大飯原発について規制基準適合などのための工事総費用はそれぞれいくらなのか、また、そのうち県内事業者への発注額はおおよそそれぞれいくらぐらいであり、総事業費に占める割合はどの程度と推計しているのか、お答えください。
2、 生徒の悲鳴を受けとめる教育行政に―――池田中学校「指導死」から
第二に、池田中学校での指導死事件について質問します。
池田中学校の生徒自殺に関する検討委員会の報告書は全国的にすさまじい反響をよびました。それが、言葉尻の問題ではなく、事実認定として「指導死」であることを明らかにしたからです。
お母さんが学校での集会にたくされた手記には安全なはずの学校での指導により子供を失った遺族の怒りの思いが書かれています。
「遺族は、𠮟責ではなく、「教員による陰険なイジメであった」と理解しています。叱責だけではなく、罵倒するような発言、人権を侵害するような発言も多々あった、と聞いています。それを叱責と表現することに、遺族としては納得がいかず、その「教員による陰険なイジメ」で尊い命を失ったのだと感じています」。とありました。
★そこでおたずねします。この11月までの過去10年間で、県内小中高の生徒の自殺はそれぞれ何人か、うち、教員や生徒など学校環境が原因とされるのはそれぞれ何件か、おたずねします。
いま、学校現場の教員や子供たちには地雷が埋め込まれている、と言われているようです。それが爆発すると教師や生徒の自死にいたります。地雷とは、自己否定感、見捨てられる不安、傷つきやすさ、焦り、など様々です。
その地雷をいわば爆発しないように処理するのが担任やまわりの教師であったり、養護教員、カウンセラー、専門の医師などであったりするわけです。
池田中学の今回のケースは、先生たちが生徒に地雷をしかけてしまった、いわば最悪のケースとなりました。
なぜ先生たちがほんらいは生徒の中の地雷を取り除かなければならない役割なのに、逆にしかけて、追いこんでしまったのでしょうか。
どうしてもご遺族の怒りの目は個人責任に向きます。当然だと思います。
校長や担任・副担任の先生方の責任は明確に問われなければなりません。
★なぜ複数の教師が過ちを是正できなかったのか、池田中学だけの問題なのか、県教育委員会にまったく責任はないと考えているのか、教育長の見解をおたずねします。
私はこの間、県教育委員会がさまざまなサポートをおこなってきたことは当然評価いたします。しかし、昨日の答弁では知事も教育長も県の教育行政の責任についてはふれませんでした。答弁の際は一般論ではなく、校長への昇格の決定や教員採用と研修に第一義的に責任があるのは県の教育委員会であること、また、6月議会でも指摘しましたが、教員数の少ない学校であるがゆえ研修の受講に不利な面があることなどを踏まえて答弁願います。
●高校再編
さて、丹南地域の再編計画について、利害関係者となる現場の保護者、教員が置き去りで決められている、とお聞きしました。
丹南地域の保護者や、関係学校の教職員への説明と意見聴取の実態がないのは非常に問題ではありませんか。
また、丹南地区は福井市の隣であり、福井市内の中学生の進学先でもあり、すぐれて福井市の問題でもあると考えます。高校生の地域間通学は、交通費負担も生じますが、今後の北陸本線第三セクター鉄道などの経営を考えても、地域間を鉄道や電車などで通学する生徒の進学先を縮小させていくことは、今後の地域公共交通にも少なからず影響を与えると考えます。
★そこでおたずねします。丹南地域の保護者や、関係学校の教職員への説明と意見聴取の状況、ならびに、現在の丹南エリアの高校に福井市など丹南エリア外から通学している生徒数と割合、うち、JR、電車を利用して通学している割合はどの程度か、お答えください。
3、 国保、
つぎに国民健康保険について質問します。
来年4月から導入される国保広域化は、市町村国保本来の住民密着型の機能をそこなう大きな危険があります。それは今回目指すか、福井のように数年後に目指すかの違いはありますが保険料算定の統一化です。そのなかで現在行われている市町独自の一般会計からの繰り入れ解消なども求められます。
つまり、本質は大阪などでおこっている事態が来年におこるのか、数年後におこるのか、の違いだけだといわなくてはなりません。保険料が統一される大阪では、年間所得300万円の40歳代夫婦と未成年の子ども2人の4人世帯で、年間の保険料は、大阪市で年約7万9千円増、高槻市で同約14万千円増との試算です。各自治体独自の減免制度も廃止されます。
市役所、町役場は住民の生活を考えることができなくなり、県が決めたように一般会計からの繰り入れをなくし課税すればいいだけになります。県の下請けで、自治体独自の計算はなにも考えず、機械的課税と、税金取り立てだけをおこなう市役所、町役場におとしめていいのでしょうか。ゆきつく先は地方自治ではなく、痴呆自死の自治体になりかねないのではないでしょうか。
★そこでおたずねします。大阪のように統一保険料や自治体独自の取り組みの廃止をすすめれば、福井県でも保険税負担の上昇に直結し、社会保障制度の機能が歪められ、県民生活を圧迫する懸念があるのではありませんか、県の見解をおたずねします。
ところで、私はこれまで、国保税が子育て世帯により過酷な仕組みになっていることの是正を再三求め、今回、県単位国保に広域化されるのであれば、この機会に福井県庁がイニシアチブを発揮すべき、と求めてきました。
担税力のない子どもの多い世帯ほど増税になるという子育て支援、少子化対策に逆行する制度を改める気があるのか、ないのかはっきりさせてください。
今回発表された仮算定結果で試算すれば福井市でいえば、医療分で一人28912円、後期高齢者分で一人8487円が、小学生に中学生にも課税されるのです。3人っ子の家庭なら、子どもの分だけで112197円にもなります。18年間なら約200万円の子育て世帯への負担です。同様に敦賀市では1人なら4万円、3人っ子家庭では12万円の負担です。
そもそも所得がない子どもへの課税が問題です。さらに、小学生にまで75歳以上の後期高齢者医療分を負担させるのは筋違いです。また、子育て支援で医療費は無料化しながら、子どもへの保険税課税は継続するのも矛盾です。
もちろんこれは、根本は自民党政治の責任であり、このような子育て世帯をいじめる政治を長年続け、子育てしづらくしてきた問題の解決が必要です。
★県はこれまで「国に要望する」などと答えてきました。しかし、国保県単位化のなかで県や市町が協力して抜本的に子育て中の世帯の負担軽減は可能であります。来年4月から、子育て世帯で子どもの数が多いほど増税となるような仕組みの改善を福井県が率先しておこなうようつよく求めます。県が財政でイニシアを発揮できるようになる瞬間だからこそ少子化対策と逆行する負担の在り方を是正すべきではありませんか。知事の決意をおたずねします。
4、 最終処分場
最後に、県の廃棄物行政について質問します。
いま、県の廃棄物行政をみていて、かつての敦賀民間最終処分場事件、いわゆるキンキ事件の反省を忘れたのか、と思わざるをえません。福井市清水地区に計画の民間最終処分場では住民の不安の声が広がり続け、2000名を超える反対署名が県に提出されましたが、県みずからは地域住民に説明していません。福井市光陽中学校そばの通学路沿いの住宅地に福井市内ではじめて感染性医療廃棄物の積み替え保管施設をつくることについても、地域住民、PTA関係者に不安が広がり500名を超える署名が県に提出されましたが、その直前に県は許可しました。どちらも住民の懸念に背を向けるという県の姿勢は敦賀キンキ事件と同様です。
私はこれらの経緯をみて、福井県はほんとうにあの敦賀事件の反省をして、教訓にしているのかな、と思います。
また、廃棄物行政に関する事務は福井市の中核市移行に伴い、再来年から福井市に移ります。県が突然、駆け込み的に許可をする緊急性はありません。県が許可して、事業者が問題を起こせば、その責任追及の矛先は許可した県ではなく、事業を移管された福井市に向かうことになります。
敦賀キンキ事件当時も、知事はご存知のように敦賀市では市民の間で不安が広がり、県へも再三の要請がおこなわれていました。しかし、県は住民の不安にはなんら応えないまま、許可した以上の廃棄物の違法持ち込みが隠せなくなり、明らかになったとたんに事業者に処分場を維持するためにと称して違法営業継続を認める、というとんでもない失態を犯したのです。
福井県庁が違法営業を認めた、という県政史上に残る汚点は、その直後、わたしども日本共産党によって正されました。
そのとたんに、事業者であるキンキクリーンセンターは経営を投げ出し、処分場の維持管理を放棄するという暴挙にでたのです。
知事、あなたは当時副知事でしたから、この一部始終をご存じであり、責任があります。
理事者の中で当時も今も責任ある立場にあるのは知事一人です。
当時、敦賀市民の懸念や不安の声を県庁がもっと早くからよく聞き、警察などとも協力し早めに対処することが可能だったはずです。
★そこで知事におたずねします。敦賀民間最終処分場事件で敦賀市民、県民の不安の声に耳をかさず、県行政が重大な誤りを犯した点についての教訓をなぜいかさないのですか。そして今回、住民の懸念にもかかわらず、県が地域住民への説明責任を果たさないまま、民間最終処分場許可にすすむことに問題を感じないのか、知事の見解をおたずねします。
あわせて、敦賀事件で、代執行などにより、投入された公費の総額は現在までにいくらになっているのか、お答えください。
さて、先日、県の廃棄物処理施設等設置・適正管理検討会が開催されました。清水地域の住民のみなさんとともに私も傍聴いたしました。
検討会の委員長の荒井先生は、「福井豪雨のように時間70ミリから80ミリの豪雨が5時間も6時間も続くとなると、防災調整池があふれることも考えられる」「残土は隣接地に盛土して保管するが、63万立米。相当大規模な盛土の構造物になるので、防災と環境について慎重な計画をお願いしたい」などと懸念材料を指摘されました。
また、「地域住民からは、県外から搬入される汚染土について心配される」との意見がだされました。事業者は法律に則り対応する、とし、放射能測定装置で計測する、などと回答していました。
★そこでおたずねします。福井県は、今回の処分場計画について、最近の短時間雨量が増大している災害への様相変化や全国で相次ぐ盛り土災害を確実に防止するために、どのような対策を事業者に求めているのか、また、敦賀の最終処分場が許可された時点と、今回の最終処分場の場合と、処分場で処分可能な放射性物質についての国の基準がどのように変わっているのか、ご答弁ください。