読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

米澤穂信の『黒牢城』を読む

2024年08月02日 | 読書

◇『黒牢城

       著者:米澤穂信     2024.5   講談社 刊

     
荒木村重は戦国・安土桃山時代の武将である。 
豪胆をもって知られ、信長に用いられたが秀吉の西国攻めへの援軍命じられたり折り
重臣の讒言により信長に反旗をひるがえし、 望月城に籠城した 。
また籠城のさ中,信長への帰順を勧める使者の黒田官兵衛を土牢におしこめた。

援軍の派遣を頼む毛利軍の支援は動かず1年。ついに自ら城を出て援軍を求める旅
に出るが、討手に逢い逃げるように西の毛利を目指す。しかし
信長の威勢を恐れた西
国の将は動かず村重は失意のまま放浪した。

この辺りの話は、史実はともかくいろんな書物等で知識としてあったが、この間の村重
及び官兵衛の心の裡をかくも巧みに描くだけでなく謎解きのエピソードも加えるなどな
かなかの作品である。

魑魅魍魎の跋扈する戦国の世にあって、下克上を果たしなお且つこ難かしい信長の  
懐に飛び込んだ村重はここでは単なる性豪胆な武将ではなく、実は物事に細心の注
意を払い意を決するや断固として行動するリーダーとして描かれている。

更に村重が信長に従うことを是 としなかったわけは、女子供年寄りも含め何百何千と
いう無辜の民を殺したやり口を嫌ったというのは
、もしかしたら新らしい視点ではない
だろうか。

                     (以上この項終わり)

 

 

 

 

し、

 

 

 

 


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