読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

競馬シリーズ・ディックフランシスの「祝宴」

2009年07月18日 | 読書

競馬シリーズ「祝宴」(原題:DEAD HEAT)
 著者:ディック・フランシス&フェリックス・フランシス
 訳者:北野寿美枝 早川書房2007.12刊

  しばらく休筆状態にあったディック・フランシスは前作「再起」で奇跡的な復活を遂げた
 が、このたび子息フェリックスとの共著という形で、「祝宴」を世に送った。

  D・フランシスの「競馬シリーズ」は我が国で紹介されているのは39冊に及ぶが、何
 れも題材が競馬馬(うま)ないし競馬場・騎手・競馬業界に素材を取っており、読み
 進むうちに競馬に詳しくなり、いっぱしの競馬ファンらしくなるから不思議だ。
 ただ英国の競馬は紳士・淑女の親しむ国民的賭け競技だし、ブックメーカーという
 私営の賭け屋がいるし、障害競走が盛んだし、わが国の競馬環境とはいささか
 趣を異にする。

  今回の作品は、競馬の本拠地として名高いニューマーケットの競馬場とレストランが舞
 台。競馬界に身を置いた父が亡くなって、異父兄トビィに競馬調教師を譲った主人
 公マックスは、好きな料理の道に進み、今やミシュランの一つ星を得て地元でレストランを
 営む。
  ケータリングを請け負った競馬場の食事が原因で食中毒事件が起こり営業停止
 に追い込まれる。
  さらにその翌日、やはり請け負った競馬場のパーティ会場に爆弾が仕掛けられ、
 十数人が死ぬ。従業員の一人が死亡し、マックス自身も大けがを負う。

  原因を探るうちにマックスの車のブレーキに細工が仕掛けられバスと衝突したり、自
 宅が放火され危うく命を落とす危難にあったりする。食中毒事件で知り合ったキャ
 ロラインと一緒に敢然と事件の背景解明に立ち向かうマックス。
  結構スリリングなアクション場面があったりして、本作が子息フェリックスが中心になって
 執筆したというだけに、生き生きとしたエンターテイメント性溢れる作品になっている。

 次作は「フェリックス・フランシス」の競馬シリーズ続編が出るのだろうか。

        

   (以上この項終わり)

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梅干し作り(その4)<土用干し>

2009年07月17日 | その他
梅漬けの土用干し

  昨日例年より早く梅雨明け宣言が出て、今日は積乱雲っぽい雲がある夏空に
 なった。
 今日は小生は元職場の同期の連中と飲み会があるのでお出かけ。妻も二番目
 の娘・孫と越谷レイクタウンでデート。
 やや中途半端な時間しか干せないが、朝早起きして紫蘇で真っ赤に染まった漬
 け梅を樽から出して、ざるに並べた。

  いよいよ梅干し漬けの最終工程「土用干し」である。
  並べる際に4個ほど疵を付けてしまった。

      
           重石をとった状態。いい色に染まっている。

       
      

       
  


               

   
   (以上この項終わり)
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小玉西瓜その後(3)

2009年07月16日 | 畑の作物

西瓜いよいよ本番
  先週から天候も定まってきて、畑のスイカが大きくなってきた。雨続きで人工
 授粉もなかなかうまくいかなくてハラハラしていたが、何とか受粉に成功したらしく
 既に10個くらい実が着いていて、一番大きいのは7/1に授粉したもの。
テニス
 ボールくらいの大きさである。

   下の写真は現在の西瓜畑。

   

  その後毎日のように授粉しているが、しっかりしたものが多いのでなんとかもの
 になる感じ。
  今朝は授粉の手助けをしている蜂に出会った。雄花の花粉を脚に付けてその
 足で雌花にとまる。脚に付く花粉は多寡が知れてるので、人工授粉でもあまり
 ムキになって沢山つけようとしないでもいいのかもしれない。

   

  畑の小玉西瓜たち(7/1~7/14までの授粉分)

     


     


     


     

  (以上この項終わり)

コメント (1)
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牛乳パックでクラフトワーク「ミニ・ぽっくり」づくり

2009年07月12日 | その他

小さな手作り置物 [ミニ・ぽっくり]

  これは牛乳パックを利用した手のひらサイズの置物。
  サイドボードや勉強机などの片隅に似合う。

  この手作り作品は元来、我が障害者施設ボランティアグループが、授産施設での商
 品のひとつとして開発できないかとして手がけたもの。メンバーのO氏がお父上の
 手作り作品を持参しみんなで試行錯誤しながら再現したもの。マニュアルを作り施設
 側に提案したが、授産施設利用者にとっては余りに工程が多く、また細かすぎて
 ちょっと無理だろうということで、結局商品化は見送られ「ミニ・ぽっくり」は日の目を
 見なかった。

  一方折角身につけた技術をそのままにしておくのはもったいないというわけで、
 これまで何度か参加している「柏まつり」の「フリーマーケット」に並べてみようと、有志
 が3~40足作って売って見たら意外と好評。グループの活動資金として馬鹿になら
 ない収入になった。

  以来この作品を商品として並べるのは今年で3回目。
 むつかしいのは値付け。
 フリマでは「ワンコイン」が一番売れ易い。そうとはいうものの製造原価もあるし・・・。

 いずれにしても今年も店頭に並べることにして24足(2ダース)作ることにした。

   


 <製作工程>

①牛乳パックを切り開く
   十分に乾かした牛乳パックを切り開く。

   
②側板・上板・下板を型抜きする
  型板を用いて牛乳パックと模様和紙から部品となる板を型抜き(ハサミで切り抜く)
  する。
  
③模様和紙を型抜きする
  
模様和紙は糊代をとる。


   

④型抜きした側板は、木型を使ってぽっくり型に折り曲げ貼り合わせる

   

⑤模様和紙の糊代に切り込みを入れ、側板・上板に貼る

     

⑥底板を貼り付ける 

  側板上部の糊代も内側に折り曲げ貼る。

     

   

⑦上板に鼻緒の穴を開ける

     

⑦カラーラッピングタイで鼻緒をつくり、折り曲げてセロテープで貼る

     

⑧側板に上板を載せ、形を合わせて木工用ボンドで接着する
        
   
⑨沓底を貼る

   
⑩ 完成!


     

  (以上この項終わり)

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小児虐待の裏世界に挑むバーク

2009年07月09日 | 読書
サクリファイス(原題:SACRIFICE)
  著者:アンドリュー・ヴァクス(Andrew Vachss)
  訳者:佐々田雅子 早川書房1993.5刊

  「幼児虐待はいつの日か人類を裁きかねない最悪の疫病である。」
  アンドリュー・ヴァクスのバーク・シリーズを通底する問題意識は、徹底している。
 「幼児期に虐待を受けた被害者は、成長して後加害者に転化して、犯罪
 あるいは悲劇を拡大再生産していくという構図が、この作品「サクリファイス」
 でおぼろげながらわかって来たような気がする。」これは翻訳者の言で
 ある。

  日本でも最近頻繁に耳にするようになった幼児虐待。実の親が何故
 そのような虐待を我が子にできるのか。通常人には信じがたい事実を
 見聞きするにつけ、その背景には加害者自身の被虐待体験があって、
 追体験が我が子に向かっているという現状が明らかになると、いたた
 まらない気持ちになる。普通自分の悲惨なつらい体験は、我が子には
 絶対させたくないというのが親の自然の心と思うが、トラウマの発現構造
 ・プロセスはやはり常人には計り知れない。
  とりわけ本書で主題の幼児性的虐待は、欧米とりわけ米国での幼児
 虐待の殆どがそれではないかと思うほど蔓延している感じがする。
 しかも同病(というと「病気」という聖域に逃げ込ませることになるが…)
 の加害者が、ネットワークを作っておぞましい情報や経験を交換し合ってお
 り、仮に彼らを捕らえ起訴したとしても、宗教上の儀式とか悪魔崇拝主
 義の表れとか御託を並べ、弁護士と一緒になって幼児の証言を抑え込
 み、結局大手を振ってまた社会に舞い戻り、卑劣で残忍な悪魔の所業
 を繰り返す。
  作者が、その実態を知れば知るほど冒頭の「人間の最悪の疫病」と断
 ぜざるを得なくなる気持ちは伝わってくるような気がする。 

  作者アンドリュー・ヴァクスは、自身青少年犯罪と幼児虐待専門の弁護士
 で、弁護士になる前にも債権取り立て屋、ギャンブラー、タクシー運転手な
 ど雑多な職業を転々としているとか。結構悪の世界にも詳しい。
  第1作の「フレッド」、「赤毛のストリーガ」、「ブルー・ベル」、「ハード・
 キャンディ」、「ブロッサム」すべての作品を読んだが、その殆どが幼児
 虐待、青少年犯罪、売春世界、犯罪社会がテーマ。主人公の私立探
 偵バークは自身幼児虐待の被害体験があることから、幼児虐待加害者
 への限りない憎しみと「悪魔退治」に掛ける気迫が全編に漲るものとな
 っている。
  もうひとつ、この作品の幼児虐待被害者「ルーク」は、幼児期に両親
 から凄惨な虐待を受け、その苦痛と恐怖から逃れようとして多重人格
 を発現、その人格の一人が幼児殺人を犯すという悲惨な被害者となっ
 て検察から起訴を受けようとしている。バークはルークの真の背景、虐待
 のネットワークの存在を執拗に追い、復讐を企てる。一方、このルークはバー
 クの計らいで一時身を隠し、バークを取り巻く友人たちの助けで、多重人
 格のくびきから逃れ、主人格の優しい男の子に戻るところが救いであ
 る。

  私立探偵バークは自身幼児虐待の被害者であった。幼児期に辛い虐
 待を受け、悪行に手を染める。入った刑務所で覚えた処世訓を元に探
 偵になるが、探偵らしくからぬ仕事に明け暮れている。
  彼を取り巻く面々は、正しい盗みを教えるプロフ、聾唖者で拳法のツワ
 モノのマックス、連絡役で、かつ、あがりの配分役ママ、何でも作ってしまう
 モグラ、女検事補ウルフ、幼児保護施設のリリイ等々。強烈な個性の持ち主
 がそれぞれの特技・地位を生かしながら「ほんとの悪いやつら」を懲らし
 めていく。時々どこかでいかがわしい軍資金を稼ぎ出すこともやる。
  単純なハード・ボイルドではないところが面白い。

  (サクリファイスとは「生贄」。作中重要な役割を演ずる西インド諸島のヴー
   ドゥー教の巫女が登場するが、この過程で「生贄」も。また幼児虐待
   被者の暗喩でもある。)

  なお、このバーク・シリーズは本書でおしまい。

        
 
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