二浪の末に大学で同期となった友人が二人居て、片方は代表取締役で会社を経営しているが、
もう片方は宮仕えなので僕等より2年早く今年定年を迎える。
それでもソコソコの中間管理職の立場にあって、定年後は新たに東海地域の生産工場の責任者
としてのポストを約束されていて6月1日付で次の人生が決まっている。
壮行会でも開いてやろうと、とにかく仲間内でも一番忙しい輩に電話をした。
ところがところが・・・逆にカミングアウトが待ち構えていたんですねー。
それどころや無しに自分が『5月1日付けで愛知県の新規プラントの責任者として』転勤を1週間
前に告知されたところだと言う。
奥さんは「年老いた両親を私に投げ出して単身赴任で気楽に行く? ぐらいなら辞めたら?」と
娘さんと一緒になって退職を勧めるのだそうだ。
土地持ち・金持ちの家系の長男なので贅沢をしなければ無理に働かなくても良い家庭。
あらあら あら・・・
住宅ローンに縛られてる者としたら明日の収入が途切れるのは死活問題で、とにかく否応なしに
働かなくては埒が明かないというのに、まだ続けて言うことがいい。
「もう一年半勤めたら60になるからね、そしたら辞めて後は遊びたいねん。 それからでも
精々15年~20年しか遊ばれへんやん?」
でもね、あと一年半もしたら65歳定年制に変わってると思いますよ、世の中。
いや、それは個人の自由やけど・・・ 明日に米のメシが喰えるかどうか分からんで怯えてる者に
言う愚痴やないでしょ? と思いますやんね。
「家族は肩を叩かれてるんやでと言うけど、社長は君以外に適任者がいるかどうか周りを見てみ! と言うんよね。 まあ行くか辞めるか今月いっぱい考えてみるわ。」
なんと呑気な。
あと二人に声をかけて、毎年集まる8人の中でもとりわけ仲の良い5人で今月中に一献
傾けることにした。
その中でも一番誕生日の遅いボクだけど、気が付けば宮仕えからは卒業していて定年なんか
無かったんだよねー。
石川啄木の「一握の砂」の「我を愛する歌」
はたらけどはたらけど猶わが生活(くらし)樂にならざりぢつと手を見る が
頭の中をぐるぐる駆け巡った。
そんな今日は
友がみなわれよりえらく見ゆる日よ 花を買ひ来て 妻としたしむ かなぁ?
今夜も風(当り)が強くヒューヒュー聞こえてます。 うっ 冷える。