永井荷風作の小説に『四畳半襖の下張』という【春本】の類があって、それはもう多感な
高校生活を送っていた1973年に 『四畳半襖の裏張り』と名を変えて日活ロマンポルノで
映画化されたりして・・・
いやいや、そんな妖しい話をしようとしたのではない。
長崎県の対馬市峰町木坂にある古民家のふすま4枚の下張り紙に、江戸時代後期のもの
とみられる大量の古文書が使われているのが見つかったのだそうだ。
今夏に大学生らを宿泊で受け入れるため、3月上旬からふすまの張り替え修理をしていたところ、
上紙の下に古文書が何枚も広げて貼ってあるのを発見。
ふすま1枚当たり200枚以上の古文書が入っていたという。
古文書は1800年前半のものとみられ、中には当時の対馬藩の公文書も発見されたようだ。
そこには、天草の船が朝鮮国南部に漂着し、対馬藩が日本を代表して船員の身柄を引き取り、
長崎奉行所へ送り届けた記録が記してあったらしい。
本業(住宅リフォーム)の一環で襖や障子の新調や貼り換えの依頼を受けることもあるけれど
よほどの古民家でもそんな経験をしたことが無い。
よくお客様に「大判小判や金目の物があったらもらって行きますよ。」と冗談で言うこともある。
しかし、タマーに1円玉か5円ぐらいが出てくる以外はまあ、ゴキブリや蜘蛛などの干からびた
残骸ならまだ良い方で、ロクな物が出てきた試がない。
公文書意外にキリシタンではない証明書類、料理目録、掛け算表などさまざまな分野のものが
あったというから、今までいかに触れられなかったものかと思う。
先日、襖の貼り換えを依頼されたお宅も駅傍で、昔は今で言うビジネスホテルだった古家を
買い取って部屋数の多い一般住宅として使ってこられたところでした。
襖を預かって帰って調べてみると過去に7回ほど貼り換えをされていた形跡があって
捲ったりせずに何度も何度も上に貼り重ねてありました。
もう骨の部分が突っ張って大変! 重ね貼りも精々3枚ぐらいが限度で、もうゴワゴワに
なっていて職人泣かせでした。
この長崎の古民家は14代藩主・義和が宿泊所としていた記録があることから
「特に格式が高い家。貴重な文書があるかもしれない」とされているそうです。
由緒ある伝統のお宅でお住まいのみなさん! この際調べて見られては?