松本地区護憲連合が毎月行う「9の日行動」。憲法9条を守る!そのことに焦点をあて、戦後60年に当たる2005年5月から続けられてきました。本日は、労組会議議長横内裕治、同事務局長平谷哲治、松本地区護憲連合代表中川博司がリレートーク。
(動画あります)
今朝の新聞で、安保法制の違憲訴訟が「訴えの利益がない」という理由で窓口で却下された記事が出ていた。
裁判は、現実的救済を目的とするので取消判決により原告の救済が達成できなければ、訴えの利益は認められない。(ウィキペディア)
今回の安保法制は、憲法違反であることは間違いがない。今後、国家賠償法に基づく訴訟や、実際に法が施行されて自衛隊員が犠牲となったときに「訴えの利益」に基づいての訴訟も考えられるだろう。
しかし、砂川判決により示された「統治行為論」により、国の安全保障にかかわることは裁判所は判断しないことが予想される。
だから、裁判も闘うが基本は安保法制の問題点を広く市民に広げ安部政権を打倒して、廃止法をつくらなければならない。
(再掲)
日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか
矢部宏治著2014年10月29日集英社インターナショナル
p45*砂川判決―正確には「日米安保条約のごとき、主権国としてのわが国の存立の基礎に重大な関係をもつ高度な政治性を有するものが、違憲であるか否かの法的判断は(略)裁判所の司法審査権の範囲外にある解するを相当とする」(「判決要旨六」)という判決でした。
p44・・・つまり安保条約とそれに関する取り決めが、憲法をふくむ日本の国内法全体に優越する構造が、このとき法的に確定したわけです。
p45・・・この砂川裁判の全プロセスが、検察や日本政府の方針、最高裁の判決までふくめて、最初から最後まで、基地をどうしても日本に置きつづけたいアメリカ政府のシナリオのもとに、その指示と誘導によって進行したということです。この驚愕の事実は、いまから六年前(二〇〇八年)、アメリカの公文書によって初めてあきらかになりました。
p45統治行為論
この判決の根拠を、日本の保守派は「統治行為論」とよんで、法学上の「公理」のようにあつかっています。政治的にきわめて重要な、国家の統治にかかわるような問題については、司法は判断を保留する・・そうした重要な問題は、最終的には国民が選挙によって選択するしかないのだと。
(引用 中川)
*参考2015年7月30日第4次厚木基地爆音訴訟東京高裁判決に対する弁護団声明
「厚木飛行場の使用に関し、『(国が)一方的に米国との間に合意の内容を変更したり米国の権利の得喪を生じさせたりし得ることの根拠となる規定は存在しない』として米軍機の飛行差止請求を斥けた判断は、厚木基地が、昭和46年以降、日米地位協定2条4(b)が適用され、日本が管理し、米軍に対して米軍専用施設への「出入りのつど使用を認める」とされる施設に使用転換された事実を無視している。
判決は、米軍の使用を限定した閣議決定について、「重要な意味を持つものとは解され」ないとして、「実質的には」日米合同委員会合意と異ならない、とするが、その根拠を欠くと言わざるを得ない。
米軍機により騒音を、違法であるとしながら、「第三者行為論」により飛行差止請求を斥けたことは、人権救済機関としての司法の責務の放棄であるといわざるを得ない。」
p46・・最高裁はその理由を「米軍は日本政府が直接指揮することのできない『第三者』だから、日本政府に対してその飛行の差し止めを求めることはできない」という、まったく理解不能なロジックによって説明しています。
(引用 中川)
*『白熱講義!集団的自衛権』小林節著 2014年9月20日 KKベストセラーズ
p116「戦争と平和という国家の存続に関する歴史的決断は、選挙で選ばれていない非民主的な存在である司法の判断になじまず、内閣や国会、ひいては総選挙で主権者国民自身が決定を下すべき事柄である。」
◎中川
論点は、第1に爆音訴訟にみられるように基本的人権が侵されているのに、最高裁が判決を逃げることができるのかという点。第2は、小林節氏は「総選挙で国民自身が決定を下すべき」とするが、日米安保条約や日米地位協定を変更することを争点とした選挙が仮に行われ、変更することを主張した政党が勝利したとして、本当に変更できるのか。のちにでてくるが日米原子力協定などは、アメリカの合意がなければ改定も、効力も失わない。