(写真は一緒に参加した杉尾ひでやさんのfacebookから拝借しました)
社民党を代表してご挨拶をいたしました。主に共謀罪について訴えさせていただきましたが、十分伝わったか心配なので補強して掲載しておきます。
今国会の焦点となっている、いわゆる「共謀罪」の新設を含む組織犯罪処罰法改正案は、どこが問題なのでしょうか。日本の刑法は、実際に犯罪を犯さなければ逮捕し処罰することができないことが原則です。それは最大限国民の自由を保障するという憲法の精神からきています。「共謀罪」では、実際に犯罪を実行していなくても、相談し、具体的な準備行為を行った段階で逮捕されてしまうのです。
「犯罪を未然に防ぐのだからいいのでは」「対象が組織的犯罪集団だから一般市民は関係ない」と思っている方もたくさんいますが、本当にそうでしょうか。
何が「共謀」にあたり、何が「組織的犯罪集団」にあたり、何が「準備行為」にあたるかは、捜査する警察の恣意的な判断によります。言い換えれば、いつでも、だれでも捜査の対象になりうるということです。
もし、この「共謀罪」が成立すれば、次は「盗聴法」(通信傍受法)を拡大改悪し、共謀罪を対象犯罪として、LINEやメール、GPS情報も盗聴法の対象に必ずしてきます。常に市民を監視していなければ「共謀」の事実を知ることはできません。
であるならば警察の恣意的な判断の基準は何でしょうか。戦前の治安維持法を考えれば明らかです。国家や天皇制に反逆するものを取り締まることが当然その基準となってきます。明治憲法下で、国民の思想信条の自由、表現や言論の自由が国家に統制され、教育勅語によって国策に疑念を抱かない国民がつくられて戦争に突入しました。
2012年に発表された自民党の改憲草案は明治憲法と同じように、国民のための国家から、国家のための国民に180度考え方を転換し、国防軍をつくり、公益及び公の秩序(国家)に反しない限りにおいて基本的人権を保障する内容です。
現行憲法は、権力を持つものが守るべき規範です。守らせるのは国民です。国民の自由な思想・信条、言論・表現の自由こそが権力を持つものに憲法を守らせる唯一の武器なのです。
安倍政権が行ってきた「教育基本法の改悪」「防衛省格上げ」「武器移転三原則」「特定秘密保護法」「盗聴法」「戦争法」「共謀罪」は、自民党改憲草案の先取りです。国民の自由が奪われ、権力を縛る規範である憲法の力が一枚一枚はぎ取られてきたのです。
共謀罪は組織的犯罪集団を取り締まる「羊の皮」をかぶってはいますが、国民の思想を取り締まる「狼」なのです。
20170426 「小出裕章公開講座・松本」第1回「原発の仕組み」質疑応答