リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

フレット

2008年04月10日 12時44分12秒 | 音楽系
リュートは現代のギターと異なり、フレット(日本語でいうと勘所かな?(笑))が固定の金属フレットではなく、ガットを巻いたものです。従って可動式ですので、微妙な調整が可能です。扱いとしては固定式の方が断然楽でしょうけど、重量増やバランスの変化を避けるために固定フレットにすることはありません。

モダンギターの場合は弦を弾くと胴体は当然よく振動して響きますが、ネックはあまり振動しません。リュートではかなり振動します。これが同じギターでも18世紀-19世紀頃に使われていたギターとかもう少し前のバロック・ギターでは、リュートと同様胴体だけでなくネックや糸巻きの先も含めて楽器全体が振動します。このあたりの事情があってガット巻きフレットにしているわけですね。



ついでながら、糸巻きも金属ギヤにしないでペグにしているのは、同様の理由からです。少なくともバロック音楽が盛んであった時代に、少なくとも金属ギヤ製糸巻きを作る耕筰技術はあったと思いますが、あえてそれを使わなかったのは、音に影響するからでしょう。

フレットがへたると当然音もキレがよくなくなります。弦と違い、フレットはコンサートの直前に替えても問題はありません。あさってコンサートですから、ぼちぼち替えないといけませんですね。(笑)