バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番イ短調をリュートに編曲する際の問題点や留意点をまとめてみます。
まず留意しておかなくてはいけないのは、弦が4本しかないヴァイオリンのためにかかれた一連の作品は、通奏低音を伴わないので不完全で音が不足しているととらえてはいけないということです。つまり弦や技術的な制約がある中でバッハが示したソリューションは完璧であるということです。
私は無伴奏チェロ組曲を全曲リュート用に編曲しました。リサイタルでは全曲演奏し、CDにも1~4番まで録音しました。(1番と4番はSpotifyで聴けます)それらを編曲していた頃は「バスが不足している」曲だと捉えていましたが、編曲を進めるにつれむやみに音を加えてはいけないと思うようになりました。実際バスを加えれば加えるほどいろんなところに不都合が出てきて、そのためにメロディラインを変更して、またバスを考えて・・・というような無間地獄に陥ってしまうのです。
こういうことを考えた形跡がない能天気なリュート編曲もあったり、そもそも和音を間違って理解しているような編曲もありますが、そういうものは相手にしてはいけません。そんなことを言っても一般のアマチュアの方でどの編曲を選ぶべきかはとても重要な問題です。ただここでは誰の編曲がよくて誰がよくないのかは書けませんが、全曲を録音している奏者のものなら大丈夫でしょう。確かそういう方はお二人しかいなかったと思いますが、その演奏のタブを耳コピでタブを書き演奏すればよろしい。え?耳コピなんてできない?そういう方は残念ながらもう少し修行してください。修行不足でバッハを弾くべきではありません。ましてやネットに転がっている「野良編曲」など相手にしてはいけません。
話がそれましたが、もうひとつ重要な留意点があります。それは次回に。