バッハの無伴奏作品はヴァイオリンやチェロで弾くために最適化されています。従ってそれをそのまま別の楽器で弾くといろいろ問題が出てくる、というのが前回までのお話。
その解決策として参考になるのはバッハ自身が無伴奏作品をキーボード用にアレンジした作品です。BWV1003をバッハ自身の手で鍵盤楽器用にアレンジした作品がBWV964になります。
BWV964
バンヤマン・アラールのクラヴィコードによる演奏です。聴くときは思いっきりボリュームをしぼって聴いて下さい。
無伴奏ヴァイオリン版と比べるとものすごく沢山の音が付け加えられています。
バッハによる無伴奏楽器から他の楽器への編曲はまだあります。
無伴奏チェロ組曲第5番BWV1011←→リュート組曲ト短調BWV995
無伴奏ヴァイオリンパルティータ第3番ホ長調BWV1006←→リュート組曲BWV1006a
単楽章だとリュートのためのフーガBWV1000とオルガンのためのフーガBWV539と無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番のフーガ/BWV1006&1006a第一楽章プレリュードとカンタータBWV29の冒頭シンフォニアとBWV120aの第4曲があります。
ここから得られることはバッハはそれぞれの楽器に合わせて最適化したソリューションを書いていることです。鍵盤楽器で無伴奏ヴァイオリンの曲を一音も変えないでアレンジしているわけではありません。
ではリュートではどのくらいのテクスチャが適切なのでしょうか。これはBWV995と1011、およびBWV1006とBWV1006aの「濃さ」の違いが参考になります。
まとめ:
リュートでそのまんまはいけません。バッハもそうはやっていません。
「濃さ」の違い(音を付け加える程度)はバッハの仕事を参考に。