リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

さよならマツダ6

2024年01月21日 22時01分38秒 | 日々のこと

数少ない国産Dセグメントのセダン・ワゴンであるマツダ6が4月に国内向け生産販売を中止されます。このクラスのセダンはクラウンなんかがまだありますが、ワゴンは同車が最後になるのかな。

今やSUV全盛で、セダン・ワゴンは人気が低迷、ワゴンに至っては一クラス下でもレガシー、カローラだけになったのかな?

かくいう私は20数年前はホンダのUSアコードワゴンに乗っていました。テオルボも楽に積めるし、ファミリーにとっても充分な大きさを備えたいい車でした。それが今では子供も独立し、今のミニ・クロスオーバーで充分。テオルボも斜めにしないでも積めます。(今もっているテオルボはフレンチテオルボで長い弦の長さは118cmです)

マツダ6はアテンザという名で誕生し、現行車が三代目になります。2019年にマイナーチェンジをして名前もアテンザからマツダ6に変更しました。

とても流麗なスタイルで、マツダのバッジがなければヨーロッパの高級ワゴンと言っても通用するくらいそのエクステリア・デザインは秀逸。ディーゼル車もラインナップされており価格もリーズナブル手とても良心的な車だと思います。

ただ私の世代は残念ながらマツダブランドには多少の抵抗があるのも事実。小学生の時我が家に初めてやってきた車がマツダのR360クーペ。とてもかっこいい車でしたが、クーペは今ぐらいの季節になるとエンジンがすぐにかからずときどき家族総出で「押しがけ」をしたものでした。故障も多かったです。もう少し年月が経ち免許を取る頃にはマツダ効果、マツダ地獄ということばもよく耳にしました。

今の若い人はマツダ車はかっこいいとイメージが強いでしょう。実際ここ10年くらいのデザインは国産車の中ではピカイチだし、ロータリーエンジン、ロードスターをずっと作り続けている姿勢も評価できます。

マツダ6の生産販売停止は車の主流がワンボックス、SUVになってしまった流れを受けてのことでしょうけど、マツダ6は正統派のセダン・ワゴンとして残っていてほしかったと思います。


BWV1003のリュート編曲(8)

2024年01月20日 20時48分58秒 | 音楽系

ただイ短調で行くにしてもいろんなポジションや運指が考えられますが、それらを弾きながら何度も検討していき、大体定まった時点で曲はほぼ技術的には問題なく通るようになるというのがいつものパターンです。このあたりが編曲の大変なところで、最初からきちんと検討されたタブが存在しているリュートのためのオリジナル楽曲と大きく異なるところです。

シベリウスでは上の段の5線譜を先に打ち込みます。前にも言いましたがこのときに声部の構造は無視してタブみたいに音の入りだけ打ち込みます。全て打ち終わったらそれを下の6線タブにコピペします。

これでタブ譜が一応できあがるわけですが、手書きでやっていた時代はここまででも相当な労力が必要でした。今は楽になったとはいうものの、実はここから先が大変なのですです。

予めざっと眺めて全く演奏不可能な部分は修正しておいて(このあたりまでAIでやってくれるとありがたいですが)その後実際に画面を見ながら弾き、修正し、の繰り返しです。さらにバスを付け加えるかどうかの検討も必要です。ポジションや左右の運指は無限ではないですけどとても多くの可能性があり、一番自分にとって弾きやすく自分の音楽的な主張や感性にあったタブを作り上げるまでには相当の試行錯誤が必要です。というかこの作業は完成することがなく永遠に終わらないかもしれません。ホピーとのレッスンのとき彼も同じようなことを言っていました。


BWV1003のリュート編曲(7)

2024年01月19日 15時17分40秒 | 音楽系

実際にイ短調版とト短調版を比較してみましょう。

フーガの冒頭です。
まずオリジナルと同じ調のイ短調版です。

次に一音下げたト短調版です。

曲は3小節目の応答からすぐにホ短調色が出てきますが、8、9小節目あたりはト短調版ではニ短調でとてもナチュラルな響きです。イ短調版だとローポジションだと少し押さえにくくなり音が切れてしますので、上の図版のポジションあたりが妥当な線だと思いますが、これでもそう簡単ではありません。それに音が少し曇った感じになります。私が今まで使ってきた楽器によってはこのあたりのポジションの音がとても貧相になる場合がありますが、幸いLarsの楽器はこのポジションでもとても美しく豊穣に響きますので全く問題ありません。

話はすこしそれますが、ミドルポジション(5-7フレット)あたりの2コースから5コースの響きが貧相になる(要するに鳴らない)楽器が実はとても多いです。いいバロック・リュートであるかどうかの目安になります。そのあたりがきちんと豊かになる楽器はバスもしっかりした音でなります。1コースの高い音ばかりシャンシャンと鳴る楽器にだまされてはいけません。

さて一見よさそうなト短調版ですが、実は大きな問題があります。それは音が全体的に低く、音楽が低い音域に入るところではとても弾きにくくなるのです。ポジション的には大半がローポジションになるので、開放弦を多く使える割には響きが暗くなります。同じト短調の曲でも例えばBWV1000や1001のフーガとは随分使っている音域が違うのです。

ですので、指的には少し弾きづらいところも出てくるのですが、イ短調で行くのか良さそうです。


富士通の事件?

2024年01月18日 15時20分03秒 | 日々のこと

富士通のアプリに関することが原因でイギリスでえん罪事件が起こっています。郵便局で使われているシステムに問題があったようで、コンピュータ会計上の売り上げと実際の現金の金額が合わず、横領の罪に問われている人が沢山出ているという事件です。

富士通の現地幹部が議会で謝罪したという報道がありましたが何か違う感じがします。あくまでもえん罪事件ですから、富士通が罪をかぶせたわけではありません。郵便局と司法当局にまず一義的な責任があるとように思います。郵便局や司法当局は謝罪したんでしょうかねぇ。

でもどこの国でも当局はなかなか謝罪なんてしないですよねぇ。それで思い出すのは私の知り合いでスピード違反取り締まりのオービスにひっかかった人がいました。オービスを設置したときは、機器の手前何キロの地点に「無人速度取締中」という表示をしなければならない決まりがあるそうです。

県警から違反の通告を受けて知人は、「無人速度取締中」という表示がなかったことに気づいていたので、そのことを県警の係官に伝えました。何日か経ってまた県警から電話があり、そういう違反は最初からない旨の連絡を受けました。表示がなかったので「まけてあげる」ではなくて最初からないことにしましょう、ということですね。

当局は決して非があることは認めないということですね。となると件の事件はどうなるんでしょう。富士通が全部かぶるのかしら?


リュートを海外に送る

2024年01月17日 16時13分19秒 | 日々のこと

新しいアッティオルバートを送ってもらう送料をラースに尋ねたら日本円で14万ほどかかるとのことです。日本からだと日本郵便の国際小包で1万円台で送れるのですが、スウェーデンにはそういう仕組みがないとのことです。日本から楽器を送るときは国際小包で、長さ150cmと横周の合計300cmのものまで安価で送ることができます。

引っ越しするときのスーツを入れる段ボール箱にこのサイズにぴったりあてはまるものが市販されていて、この段ボール箱にはテオルボ以外の楽器は全て入ります。ケースに入れて隙間に発泡スチロール製の緩衝材を詰めます

いままでもそのサイズの箱でこちらからスティーブン・マーフィーにラソオマ製の軽量ケースを送り、折り返し同じ箱にラソオマ製のケースに入れた楽器を送ってもらったことがありました。モーリス・オッティジェーにもその箱に入れて楽器の修理を依頼したことがありました。

今回もラソオマ製の軽量ケースにアッティオルバートを入れる予定ですが、もう一度スウェーデンから安く送る方法がないか、件の段ボール箱のサイズを示して尋ねてみようかと思います。なにせ14万は高すぎます。もっとも取りに行くよりはこれでもずっと安いのですが。


どうするタウンエース!

2024年01月16日 21時10分34秒 | 日々のこと

ダイハツの検査不正に「天罰」!?厳しい是正命令が下りました。なんとグランマックスの型式認証取り消しです。(トヨタのタウンエース、マツダのボンゴも)

先日の当ブログのエントリーではタウンエースをテーマにしましたが、そのタウンエースはダイハツのOEMです。ダイハツの自社車名はグランマックス(なんか大きそうなイメージの名です)、さらにマツダにもOEMで出していて、マツダ名はボンゴです。三兄弟ですね。

型式認証が取り消されると製造、販売ができなくなるみたいですが、現在走っている車についてはどうなるのでしょうか。三兄弟は結構前に発売された車ですので、もうこのまま消え去るということかも。よく働く車でしたのに。

そういやトヨタのプロボックスも開発がトヨタと共同、製造はダイハツで検査はダイハツが行ったというらしいので、また検査不正が発覚、型式認証取り消しということもあり得ます。この車もよく働く車で、名古屋市の中心部を走っているととても多く目にします。もっとも多く走っている車種のひとつだと思います。ひょっとしてナンバーワンかも。でもほぼ全て営業車で形も色も地味なのでその存在を主張することはありません。まるでステルスカーです。


BWV1003のリュート編曲(6)

2024年01月15日 15時17分25秒 | 音楽系

さて件のBWV1003は平行調指向か属調指向か。リュートにとってはちょっと残念ですが基本的には属調指向です。第1楽章は2部形式ではないですが12小節目にホ短調のカデンツが出てきます。第2楽章のフーガは、フーガという形式そのものが属調に向かう形式です。第4楽章の前半部はもう典型的な属調指向で半分くらいはホ短調近辺で動いています。

この曲をイ短調に編曲すると頻繁に出てくるホ短調の部分で苦しめられそうです。ただフーガの終りの速いパッセージなんかはそのままで結構弾きやすそうです。速いので大変ではありますが。

一方一音下げてト短調にした場合は、属調はニ短調になりますのでこれはリュートにとってとても都合がよろしい。ただ音が低くなるので弾きにくくなる可能性もあります。音が低ければ弾きやすくなるとは必ずしも言えません。

イ短調かト短調か、どちらが弾きやすく(プレイヤビリティが高く)リュートにとって美しく響くのかは、部分的に見るのではなくトータルで判断する必要があります。そのためには実際に2つのタブを作り弾いてみて比較する必要があります。


Liuto attiorbato 出来!

2024年01月14日 19時20分00秒 | 音楽系

スゥェーデンの製作家、ラース・イェンソンに頼んであったリウト・アッティオルバートが完成しました。約三年半待ちでした。

14コース、シングル弦仕様です。弦長は64cm/90cmです。マテオ・セラスのモデルですが、オリジナルモデルが何々というのは実はあまり音には関係のない話で、実際は作った製作家の音になります。同じセラスでもラースが作ればラースの音、モーリスが作ればモーリスの音になり、音の共通点はとても少ないと思います。でもある製作家の楽器はどのモデルであっても共通のサウンドが聞こえるものです。

弦は私が選定したものを張ってもらうので、今スウェーデンに向かっているところです。選定した弦は、1,2コースがガムートのナイロン、あと残りはサヴァレスのKF(カーボン弦)ですで、張力は3.5kg - 3.0kgの間です。弦は昨年の11月に発注しているのですが、在庫がないのですぐには揃いませんでした。そうこうしているうちにクリスマスにひっかかり、結局全部揃ったのは今年に入ってからです。

楽器はスウェーデンまで取りに行くつもりをしていましたが、リサイタルがあるので3月後半しか行けません。ですので送ってもらうことにしました。ラースにはまた暖かくなってからでも会いに行きましょう。でも今来るとリサイタルの練習に差し支える!?


NHK大河ドラマ

2024年01月13日 21時18分15秒 | 音楽系

今年のNHK大河ドラマは平安時代ものでちょっと方向が変わりました。信長や家康なんかが出てくるのはもう見あきましたので今度はどうだろうかと第1回を見てみました。

第1回からなかなかの展開で面白かったです。久しぶりに毎週録画予約をセットしました。ただ惜しいのは藤原為時役の役者さんがちょっとミスマッチ。為時は和歌や漢籍に通じているインテリですが、そのインテリ感というか学者感がちょっと乏しいですなぁ。もうちょっと知的な感じの人がよかったです。

以前の平安時代ものでは「平清盛」がありましたが、吉松隆が音楽を担当すると言うので何回か見ました。画面のトーンが少しくすんだ感じでよく時代の雰囲気を出していていい感じでしたが、どっかの知事さんが画面が汚いとかおっしゃって、それにNHKが忖度したのか急に途中からトーンが妙に明るいものに変わりましたのでもう見るのを止めました。あれってカメラさんや映像を担当している人たちは悔しかったでしょうねぇ。

いつぞやの大河の音楽はハリウッド映画みたいな感じだったですが、平安時代ものにはさすがにそれはあわないでしょう。今回音楽を担当する冬野ユミのサウンドもなかなかいい感じです。はたして私は飽きずにこの連続ドラマを1年かけてみることができるのでしょうか。


BWV1003のリュート編曲(5)

2024年01月12日 23時22分54秒 | 音楽系

さて具体的にBWV1003を見てみます。まず何調で弾くかを決めなければなりませんが、この曲の場合は原調のイ短調か一音下げてト短調でしょう。

実際のタブを制作するにはまず原調のままSibeliusに打ち込みます。あとでタブに移すときに便利なように「音の入り」だけ書くようにします。声部に分けてしまうとあとでタブに移したときいろいろ面倒になります。

その前に原曲のまま一度弾いてみるといいでしょう。そうそうオリジナルの楽譜コピーに小節番号をきちんとふっておきます。オリジナルの楽譜(イ短調)をそのまま弾いてみるとそれほどリュート的に問題なく弾けそうですが、なんといっても問題になりそうなのはホ短調の部分が何か所か出てくることです。

ニ短調調弦の楽器にとってホ短調とロ短調は鬼門というべき調です。ヴァイスはホ短調とロ短調のソナタは書いていません。(楽章としてはありますが)それはこの二つの調は恐ろしくプレイヤビリティが悪いからです。

短調の2部形式曲の場合、前半部は平行調指向と属調指向の2種類があります。属調指向の場合は、イ短調の楽曲ならホ短調に向かい前半の最後はピカルディ3度で一旦終止します。ト短調だと前半部の最後はDmajorです。平行調指向の場合は、イ短調曲だと前半の最後はハ長調の主和音になります。

ヴァイスの短調のソナタではほとんどの曲の前半は平行調指向です。ですからイ短調曲の前半部ならCmajorの和音で一旦終止します。