院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

サルトルが理解できない

2012-06-03 04:42:18 | 読書
 哲学者のJ・P・サルトルは名前だけは多くの方がご存じだろう。ノーベル文学賞をもらった哲学者である。

 サルトルの哲学は1970年代に大流行した。学生たちはこぞって読んだ。当時学生だった私も読んだ。

 でも、さっぱり理解できないのである。

 故山本夏彦翁は、あんなに分からないものは10年もたない、と喝破した。そして、そのとおりになった。

 当時の学生たちにも分かっていなかっただろう。にもかかわらず、「即自」とか「対自」とかいうサルトル用語を使って議論していた。

 私は理解できないから、議論の輪に入れなかった。

 実は学生たちは、分からぬまま議論していたのだ。なんて無茶なことを学生たちはしていたのだろう。いや、学生のみならず、教官も議論に入っていた。教官も分からなかったくせに・・と今になって思う。

 あのときのサルトルブームは、いったいなんだったのだろう。むろん、みな翻訳で読んでいたが、そもそも翻訳者自身が理解できていたかどうか怪しい。