院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

解剖学の進歩

2012-06-13 04:31:39 | 学術
 解剖学という地味な学問がある。

 最初は解体新書に代表されるような、目で見てすぐに分かるような「マクロ解剖学」だった。これは、すべて分かってしまうと、それ以上の発展はなかった。

 相前後して、顕微鏡が発明されて、臓器は顕微鏡的にはどのようになっているのかが研究され、ミクロ解剖学が発達した。(今でもがん細胞は顕微鏡で見分ける。)だが、「ミクロ解剖学」もすぐに限界が来た。

 続いて電子顕微鏡が発明された、普通の顕微鏡が発明されたときと同じく、電子顕微鏡的解剖学が、私が学生のころまで研究されていた。

 今、解剖学はどうなっているのだろうか?たぶん、生化学と融合して生体膜の研究や、遺伝子的な研究が行なわれているのだろう。

 ほとんどの自然科学的な学問がそうだが、進歩はいつもテクノロジーに負うている。素粒子の世界もサイクロトロンの建造なしには発展しなかった。

 その点、法学や哲学はさしあたりテクノロジーと関係がないから、進歩は遅々としている。でも、それらの学問はテクノロジーにはよらないけれども、実は時代背景という大きな流れに影響されているのだ。