院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

「ピアノ売ってちょうだ~い」

2012-06-20 05:48:46 | 経済
 戦前は貧富の差が激しかった。金持ちは西洋館に住み、貧乏人は長屋に住んだ。

 ピアノは戦前から金持ちの家にはあった。それを羨ましく見ていた貧乏人が、戦後ある程度の資産ができると、こぞってピアノを買った。

 こうして子女にピアノを習わせるというブームが起こった。狭い2DKの住宅にピアノを入れて、うちも文化的な生活ができるようになったものだと、中産階級は溜飲を下げた。「三丁目の夕日」の時代の話である。

 このブームに乗ったのがヤマハとカワイだ。当時はピアノの性能が極めてよかった。しかし、やがて粗製乱造となり、材料の木材を十分に乾かさずにピアノを生産したから、20年もすると国産ピアノの質は著しく低下した。

 質の悪いピアノはすぐに音が劣化する。いま、中古市場にあるのは、この質の悪いピアノだろうと私は思う。中古ピアノの音なんて聴けたものではない。

 「ピアノ売ってちょうだ~い」というCMをテレビで流しているが、このような商売が成り立つのかと不思議に思う。

 質の悪い中古ピアノを安値で買って、高く売って利ざやをもうけるのだろうが、質の悪い中古ピアノの需要がそんなにあるのだろうか?

 現在は、ピアノブームではない。やれエレクトーンだ、やれフィギュアスケートだと、子どもたちの習い事も多様化している。

 「ピアノ売ってちょうだ~い」と言っている会社は、今どうやって儲けているのか?謎である。