院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

「念のため」の医療

2012-06-05 03:53:18 | 医療
 これまで、傷を縫合したあと、「念のため」と患部に抗生物質を注射することが多かった。細菌感染リスクを減らすためだ。

 ところが最近、それは本当かと思う医者がいて、患部に注射をする群としない群とで比較した人がいた。答えは感染リスクは「両者で差がない」というものだった。

 つまり、これまで無駄に患部に抗生物質を注射してきたことになる。

 医療で言う「念のため」というのは極めて怪しい。だが、この「念のため」が医療でははびこっている。

 「念のため」MRIを撮りましょう。「念のため」血液検査をしておきましょう。

 答えは大部分が「白」だ。

 手術前は、術野の皮膚を剃毛(ていもう)する。細菌が入らないようにするためだ。ところが数年前、剃毛は皮膚を傷つけて、かえって細菌感染を助長するという研究が出てきた。

 医療で言う「念のため」には注意しなくてはならない。

 (筆者は外科が専門ではないので、誤りがあるかもしれない。誤りがあればコメントで訂正してほしい。)