(世界最大規模のドイツのメガソーラー。Power-Technology.com より引用。)
2022年までに原発を全廃するドイツでは、政府の介入によりエコ電力(風力、ソーラーなど)が総電力に占める割合が25%に達しているといいます。その影響で電力相場が下落しました。
一方、エコ電力は供給が不安定なので、安定供給のためにはどうしても火力発電所を稼働させなくてはなりません。ところが、減価償却が終わっていない新式の火力発電所は稼働させれば稼働させるほど赤字になります。
仕方なく減価償却が終わっている褐炭・石炭発電所を稼働させます。ですが、これは旧式なので、エコ電力導入以前よりかえってCO2 の排出が多くなるというパラドックスが生じています。
自然経済にまかせないと、こうなります。エコ電力の供給の不安定さは宿命ですから、ドイツではもっと深刻な問題が起こってくるでしょう。
九州電力がエコ電力の募集をやめた理由は 2014-10-01 に書きました。週刊ダイヤモンド誌10月18日号によれば、菅政権時代のエコ電力を3年間高値で買い取るという方針に、一儲けを狙う山師たちが殺到したのだそうです。同誌は彼らを「有象無象」と呼んでいます。
九州電力の説明会で「なぜ募集を中止するのか!」と怒っていた連中は「有象無象」だというわけで、正しい表現だと思います。
テレビ局は「有象無象」を「被害者」のように報道していましたから、放送局の記者たちもよく分かっていなかったのでしょう。
ドイツでは電気料金が上がっているそうです。2,3日前の中日新聞愛知県版では、ドイツ国民の69%がエコ電力が大切と考えているという調査を引用し、日本人も見習うべきだと論じました。しかし、エコ電力の矛盾がさらなる電気料金の上昇をドイツ国民にもたらしたとき、彼らがいっせいに反対に回るのは火を見るより明らかです。
むかしからそうですが、私は新聞社、放送局のあまりの想像力のなさに、今回もまた驚いています。
(「メガソーラー構想、はや崩壊!」の記事(2013-12-10)もご覧ください。私の別の記事「メガソーラーを疑う」(2013-05-01)では、私とソーラーパネル専門家との激論(?)が見られます。)