院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

「同一労働同一賃金」という詭弁(現代の奴隷その3)

2014-11-11 05:10:27 | 社会

(いすゞ自動車タイ工場。日経新聞Web版より引用。)

 さいきん再び「同一労働同一賃金」ということが言われます。むかしは女性の労働を買いたたかないという趣旨でこの標語は用いられました。

 現在では「成果主義」を正当化するために用いられます。つまり、報酬は「成果」すなわち「儲け」に与えられるべきで、「立場」や「職位」に与えられるべきではないということですね。

 これまでのように「年功序列」で賃金を決めていると、海外の賃金体系とズレを生じ、人材の国際流通ができなくなって日本が置き去りにされるという主張です。グローバリゼーションに遅れるなというわけです。

 ちょっと待っていただきたい。中国や東南アジアはグローバリゼーションの対象ではないのですか?初めのうち、工賃が低い中国で製品を作らせ、中国の人件費が上がると東南アジアへ乗り換えてきたのは、「同一労働同一賃金」を認めていなかったからできたことでしょう?

 「成果主義」を適用しやすい分野は、プロスポーツとか囲碁将棋のような限られた世界です。この業界は天才的な人しか必要とされません。そして、サラリーマンの世界でも最上級のサラリーマンはすでにそれだけの報酬を得ています。カルロス・ゴーンしかり、原田 泳幸しかりです。

 ですが、圧倒的多数の平凡なサラリーマンに、プロスポーツ界やプロ棋界のような天才性を求めるのは酷というものでしょう。「年功序列」を待つしか楽しみのない大勢のサラリーマンを見捨てて「成果主義」をとったなら、「一将功成って万骨枯る」という結果になります。

(運も年功も無視した「純粋な成果主義」に対応できるサラリーマンなんてほとんどいません。それなのに、そうではないように思いこませられたとしたら、サラリーマンはすでに奴隷化しているのではないでしょうか?)


※今日、気にとまった短歌

  棟上げに家族四人で立ち会えり親は家を見子は親を見る  (常滑市)村田修